

ウラカンEVOスパイダーは、5,204ccのV10自然吸気で最大出力640CV(470kW)@8,000rpm、最高速325km/h、0-100km/h加速3.1秒が公式に示されています。
整備士の現場では、この「高回転・高発熱」を前提に、暖機不足のまま負荷を掛けた個体や、短距離移動の繰り返し個体を疑うだけで初期トラブルの当たりを付けやすくなります。
カタログ系情報としても、640ps/8000rpm・600N・m/6500rpm・V10 DOHC 40バルブ・総排気量5204ccと整理されており、点検記録や問診時に“仕様の共通言語”として役立ちます。
このクラスで重要なのは「数字そのもの」より、数字が示す整備の勘所です。例えば、
といった前提を、入庫時のヒアリング項目に落としておくのが有効です。
参考:公式スペック(出力・加速・最高速などの基本データ)
ランボルギーニ公式 Huracán EVO Spyder
スパイダーの整備で最も“症状が出やすいのに原因が散らばる”のが、ルーフ開閉まわりです。
ウラカンEVO RWDスパイダーの発表情報では、ソフトトップは50km/h以下なら走行中も操作でき、収納(開閉)時間は17秒以内とされています。
この仕様は、ユーザーが「走行しながら普通に開閉する」運用をしやすいことを意味し、結果として“風圧・車体ねじれ・電圧変動”が絡む条件で不具合が顕在化しやすい点に注意が要ります。
点検・切り分けを速くするコツは、機械側だけでなく使用状況をセットで聞くことです。
特に雨漏り案件では、ユーザーが“完全閉”だと思い込んでいるケースがあり、ロック完了の作動音・表示・実車の当たりをセットで確認すると再現試験が楽になります。
参考:走行中開閉の条件(50km/h以下)と開閉時間(約17秒)の根拠
モーターマガジン:ウラカンEVO RWDスパイダー発表(ルーフ開閉条件)
ウラカンEVO系の理解で外せないのが、LDVI(Lamborghini Dinamica Veicolo Integrata)という統合制御です。
公式説明では、LDVIはHuracán EVOのテクノロジーを束ねる「頭脳」とされ、ドライビングダイナミクス管理の調整を担うユニットとして説明されています。
また日本語記事でも、LDVIが車両のダイナミックシステムと設定を統合し、ドライバーの動きとニーズを予想して判断する、といった趣旨で紹介されています。
整備現場の“あるある”として、LDVIの介入で挙動が変わった結果、ユーザーが「ミッションが滑った」「デフが壊れた」「ブレーキが抜けた」と表現することがあります。
そのため、診断の順番は、
のように、機械単体の分解に飛びつかない手順が有利です。
参考:LDVIの位置づけ(公式の説明)
ランボルギーニ公式 Huracán EVO(LDVIの説明)
EVO系は“見た目の違い”が空力や冷却の成立条件に直結し、結果として整備品質にも影響します。
中古車解説系の情報では、Huracán EVOはバンパー形状やアンダーボディ形状の変更などにより、従来モデル比でダウンフォース7倍、空力効率6倍の性能向上に触れています。
この手の進化は、フロント開口部やアンダーパネル、整流部材が“正しく付いていること”が前提になるため、軽微な接触や不適切な補修でズレると、高速域の安定性だけでなく冷却の余裕まで削る可能性があります。
点検で効くのは、事故歴の有無だけではなく「空力パーツの作り込み」の確認です。
“エンジンは元気だが夏場だけ水温が落ち着かない”のような相談では、冷却系単体より先に、この系統の目視が当たることがあります。
参考)Lamborghini Hurac叩n EVO Spyder…
参考:EVOの外装変更と空力性能向上(ダウンフォース/効率の言及)
タジマプレミアム中古車:ウラカンEVO解説(空力の説明)
検索上位の一般記事は「速い・音が良い・屋根が開く」に寄りがちですが、整備士向けなら“オープン+高回転NA+統合制御”が作る独特の入庫パターンを押さえるのが差別化になります。
例えば、幌を開ける頻度が高い個体は、キャビンの気圧変化や粉じんの侵入が増えやすく、内装スイッチ類の接触不良・異音相談が出やすい一方、ユーザーは屋根やエンジンの大物故障を疑いがちです。
また、LDVIのような統合制御が入る車両では、センサー系の小さなズレ(タイヤ条件、舵角・ヨーレート周辺の前提崩れ)が、体感的には“大きな異常”として現れることがあるため、問診テンプレを作っておくと再現と説明が楽になります。
実務で使える「問診テンプレ(例)」を、入庫受付に置いておくと強いです。
この車種は「高級車だから壊れない」ではなく、むしろ“成立条件がシビアだからこそ、整備の段取りで差が出る”タイプです。