

チェックランプが点いていなくても、クランク角センサーはすでに壊れていることがあります。
クランク角センサー(クランクシャフトポジションセンサー)は、エンジンのクランクシャフトの回転角度と回転数をリアルタイムで検出し、その情報をECU(エンジンコントロールユニット)へ送る部品です。ECUはその情報をもとに点火タイミングや燃料噴射タイミングを制御しているため、このセンサーが正常に動かなくなると、エンジン制御そのものが乱れます。
故障時に最も多く見られる症状が「エンジンがかからない」または「走行中に突然エンストする」です。セルモーターは回るのにエンジンが始動しない場合、バッテリーやセルモーターを疑いがちですが、クランク角センサーの不具合も十分考えられます。代表的な症状を以下にまとめます。
注意が必要なのは、症状が「間欠的」に現れるケースです。朝は普通にエンジンがかかるのに、エンジンが熱を持った後だけ不調になる、というパターンがよく報告されています。これは熱によってセンサー内部の素子や配線が膨張・変形し、信号が不安定になるためです。つまり「たまに調子が悪い」という段階がすでに故障の前兆です。
また、クランク角センサーの異常はチェックランプが点灯しないケースもあります。みんカラでの実際の整備事例には「クランク角センサーの異常だとチェックランプはつかない車種がある」という記録もあり、警告灯だけを信頼するのは危険です。症状で判断することが大切です。
参考:車のエンジン警告灯とセンサーの関係についての詳細な解説はこちら
異常時にエンジン警告灯を点灯させるセンサーの種類と症状|グーネット
クランク角センサーは、エンジンブロックやトランスミッションケース付近という、熱・振動・オイルが集中する過酷な環境に設置されています。構造上、劣化は避けられない部品です。
主な故障原因は大きく3つに分類できます。
まず経年劣化による内部損傷です。センサー内部の半導体素子や磁気コイルは使用年数とともに劣化します。一般的に走行距離が10万kmを超えると故障リスクが急増するとされており、10万kmはトヨタ「アクア」の横幅(約1.7m)を約58,000枚並べた距離に相当します。それだけの振動と熱にさらされれば、精密部品が傷むのも当然です。
次に配線・コネクタの劣化や断線です。センサー本体が正常でも、コネクタの錆びや配線被覆の劣化で接触不良が起きるケースがあります。特に冬季に融雪剤を多用する地域や、未舗装路を頻繁に走行する車では、配線が泥水や塩分にさらされて劣化が早まります。
そしてセンサー取り付け部のガタつきです。専門整備士のブログでも報告されていますが、センサーが取り付けられているトリガーホイール(歯車状のローター)が長期使用で摩耗してガタが生じると、本体は壊れていないのに回転位置を正確に拾えなくなるケースがあります。これは診断機で見つけにくい厄介な原因です。
カム角センサーとの混同も故障発見を遅らせる原因の一つです。どちらも回転センサーで症状が似ているため、片方を交換しても直らないと悩む事例が多くあります。両方同時に交換を検討する整備士も多いのはそのためです。
参考:クランク角センサーのトリガーローター起因の珍しい故障事例
クランクアングルセンサのトラブル|マルハモータース
修理費用は依頼先と車種によって大きく変わります。一般的な目安として、カープレミアのデータではクランク角センサー単体交換の平均費用が14,390円(9,150円〜36,470円)となっています。これは部品代と工賃を含んだ金額です。費用感は下の表のとおりです。
| 依頼先 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ディーラー | 約20,000〜50,000円 | 純正部品・保証付き。輸入車は5万円超えも |
| 整備工場 | 約8,000〜35,000円 | 社外品使用でコストを抑えやすい |
| DIY交換 | 約2,500〜10,000円(部品代のみ) | 工賃ゼロだが工具・知識が必要 |
センサー本体の部品代は純正品で5,000〜15,000円前後が相場です。工賃は整備工場の場合1.4時間分(時間工賃7,500円の工場なら約10,500円)が目安ですが、センサーの取り付け位置が奥まっている車種は工数が増えて費用が上がります。
費用が膨らむケースとして注意が必要なのが「放置した結果のセット交換」です。クランク角センサーの不調を放置してECUへの誤信号が続くと、関連するカム角センサーや点火系部品への負担が増します。カム角センサーと同時交換になった場合の平均費用は29,180円(13,610円〜115,240円)と、単体交換の倍以上になるデータもあります。早期対応が費用を抑える最善策です。
複数の整備業者から見積もりを取ることも重要です。同じ作業でも工賃は工場ごとに異なるため、2〜3社に相談してから判断すると安心です。
「まだ走れるから大丈夫」と思っていると、最悪の事態を招く可能性があります。これが重要です。
クランク角センサーの故障が怖いのは、症状が「間欠的」から「完全停止」へと段階を踏まずに急変することがある点です。普段は問題なく走れていたのに、突然高速道路の本線上でエンジンが止まる——こうした事例が実際に報告されています。高速走行中のエンストはハンドルが重くなり、ブレーキの効きも変化するため、後続車との衝突など重大事故につながるリスクがあります。
症状の進行パターンは、多くの場合このような順番です。
軽度の段階では「そのうち直るかも」と放置されやすいのが現実です。しかし、センサーの劣化は熱が加わるたびに加速します。特に夏場は外気温と走行熱が重なりセンサーへの負担が増すため、軽度症状が出た段階で点検に持ち込むことが推奨されます。
また、エンジン不動でレッカー移送が必要になると、レッカー費用だけで1〜3万円、さらに保険ロードサービスの上限を超えた場合は全額自己負担になります。修理費に加えてレッカー費用まで発生するケースを考えると、早めの点検・交換のほうがトータルコストを大きく抑えられます。
故障が心配な場合、OBD2スキャナーをコンビニや家電量販店と同じ感覚でカー用品店(オートバックス・イエローハット)などで3,000〜10,000円で入手でき、Bluetooth接続のスマホ連携タイプなら駐車場でもエラーコードの確認ができます。異常コード「P0335」が記録されていたら、すぐに専門業者へ相談しましょう。
センサーを交換しても不調が続く場合、多くのドライバーが「交換した部品が不良品だった」と思いがちですが、実はECUのリセット・再学習を行っていないことが原因のケースが少なくありません。これは意外ですね。
クランク角センサーを新品に交換した後、ECUは古いセンサーデータをメモリに保持したままの状態になっている場合があります。この状態では新しいセンサーの信号を正しく活用できず、アイドリング不安定や加速不良が続くことがあります。
ECUリセットの方法は2種類あります。
さらに一部の車種(特に日産・ホンダ系)では、クランク角センサー交換後に「クランク角センサーの再学習(リラーン)」という手順が必要です。この手順を踏まないとエンジン回転数が安定しなかったり、燃費が悪化したりします。再学習はエンジンを特定の回転数で一定時間保持する手順で、整備マニュアルや公式の手順書に従って行う必要があります。
交換後も症状が改善しない場合は「部品が悪い」と決めつける前に、ECUリセット・再学習の確認が先です。これがセンサー交換における盲点のひとつです。整備工場に依頼する際は「交換後にリセット・再学習の手順も実施してもらえるか」を事前に確認しておくと安心です。
参考:クランク角センサーと診断コードP0335の詳細情報
クランクシャフトポジションセンサーのテスト方法と故障診断|Volgen Power

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