

イスズ suvを現代の文脈で語るなら、海外で販売されるmu-Xが中心になります。mu-Xは1トン積みピックアップ「D-MAX」の派生車で、PPV(Pick-up Passenger Vehicle)に属する7人乗りモデルと明記されています。
構造面のキモは、フレーム付きボディ(ラダーフレーム系)を前提に「悪路走破性と耐久性、牽引性能」を評価されている点です。 整備側はここを読み替えて、乗用モノコックSUVの感覚だけで下回り点検の優先順位を組まないことが大切です。
実務的な点検ポイントを、現場で抜けやすい順にまとめます。
意外に見落とされがちなのが「車両の売られ方」です。mu-Xは世界60以上の国や地域で販売とされ、使用環境が過酷な地域(高温・砂塵・高負荷)も含みます。 並行・輸入・逆輸入を整備する場合、同じmu-Xでも仕様差や整備履歴の粒度が違う前提で、現車優先の確認(型式情報、エンジン型式、診断機の対応範囲)を最初に固めてください。
参考)いすゞ、「MU-X」を大幅商品改良 ~世界60以上の国や地域…
参考:mu-Xの商品改良(エンジン/トルク/最小回転半径など仕様の根拠、どの市場での位置づけか)
いすゞ公式:MU-X大幅商品改良(PPV、7人乗り、4JJ3仕様、販売地域など)
mu-Xの最新世代として、4JJ3(2,999cc)ディーゼルの出力・トルクが示されており、トルクは450Nm(1,600〜2,600rpm)です。 こうした「低回転・高トルク」型は、街乗りでも扱いやすい反面、整備側はEGRや吸気系の汚れ、DPF再生の成立条件など“燃焼の前後”を意識しないと症状がループします(加速不良→煤→さらに加速不良、のような流れ)。
また、いすゞの4JJ1はコモンレール式直噴のディーゼルとして紹介されており、世代としてもコモンレール前提の診断が必要です。 コモンレールの基本は「高圧化した燃料を共通のパイプ(レール)に蓄え、そこから各気筒へ分配する」方式で、従来の分配と思想が違います。
参考)【東京モーターショー】いすゞ自動車、排ガス浄化性能と燃費を両…
現場で役に立つ“切り分けの型”を、イスズ suv整備にも転用しやすい形で書きます。
「診断機の数値は正しい」と思い込みすぎるのも罠です。センサの反応遅れや特性ズレは、波形や実測と突き合わせて初めて見えることがあります(特に圧力系)。
イスズ suvの整備で、古い車種を避けて通れないのがビッグホーン系です。4JX1搭載車では、燃料噴射装置(インジェクタ)の組立て不適切により、Oリングの変形・損傷で軽油がエンジンオイルへ混入し、油量増大→ブローバイ経由で吸気へ回り、エンジン回転が上昇するおそれがある、という国交省のリコール届出が公開されています。 整備士としては、これは「不調」ではなく安全案件として扱うべき情報です。
点検の入口は、オイル量と粘度・油面上昇、軽油臭の有無、ブローバイ系の汚れ方です(該当が疑わしければ走らせない判断も必要)。そして履歴が追える個体なら、リコール対策の実施有無を必ず確認してください。
参考)https://www.mlit.go.jp/jidosha/recall/recall05/11/recall11-041.html
また、4JX1系は“症状が多彩に見える”のが厄介です。整備記録の例として、始動不良・アイドル不安定・加速不良に対し、オイルレール圧力センサの特性ズレ/反応速度低下が疑われたケースが公開されています。 こうした圧力センサ系は、単体不良だけでなく配線・コネクタの接触不良、オイル管理不良が複合して再発することもあるため、交換だけで終わらせず周辺の状態(オイル劣化、汚れ、ハーネスの張り)まで同時に潰すのが再入庫防止につながります。
参考)http://kiroku.bufsiz.jp/TOP/TOP2/top66.html
参考:リコール内容(不具合状況と改善措置の公式根拠、整備説明の裏取り)
国交省:いすゞ車のリコール届出(インジェクタ不具合、オイル混入の危険性)
検索上位はmu-Xの話題が多い一方で、現場では「たまに入ってくる絶版SUV」の難易度が高いです。例えばビークロスは、コンセプトカー由来の大胆なスタイリングで話題となり、ビッグホーンのショートをベースに市販された経緯が紹介されています。 また、ビークロスは乗車定員4名の2ドアで、バックアイカメラ連動カラー表示モニターなどを標準装備とする、といった装備面の記述もあります。
ここからが整備士向けの“独自視点”です。絶版のイスズ suvは、故障診断の前に「部品戦略」を立てないと詰みます。つまり、作業見積の段階で次の3点を先に整理します。
さらに、ビークロスやミューのような個性派は「オンロード志向」「見た目重視」で買われた個体もあり、下回りは想像以上に当たっていないのに、ゴム類だけ時間で終わっている(ブーツ破れ、ブッシュ硬化)ことがあります。 逆に、オフロード遊びをしていた個体は、外装がきれいでもフレーム側に打痕が集中していることもあるため、「外装がきれい=程度が良い」を疑うのがプロの初動です。
参考)ミューとビークロスの比較
この章での狙いは、イスズ suvを“車種の好き嫌い”で語るのではなく、整備の段取り(入庫→見積→部品→作業→再発防止)まで含めて価値提供することです。mu-Xのような現行・海外主力と、ビッグホーン/ビークロスのような旧車が同じブランド内に共存するのが、いすゞSUV整備の面白さであり難しさでもあります。
参考)ビークロス