

バルクヘッドの防音対策をしないままでいると、エンジン音が室内に10倍以上大きく響いてしまうことがあります。
バルクヘッドとは、フロントボディ(エンジンルーム)と乗員室(キャビン)を仕切る鉄製の隔壁パネルのことです。 元々は船舶用語で「隔壁」を意味し、それが自動車工学にも転用された言葉です。 日本では「ダッシュパネル」と表記されることのほうが一般的で、整備書やメーカー資料ではこちらの呼び方が主流になっています。 goo-net(https://www.goo-net.com/knowledge/10614/)
車のどこにあるかというと、ボンネットを開けたときに奥に見える、エンジンルーム後方の壁がそれです。運転席・助手席の目の前——つまりダッシュボードの真裏——に位置しています。縦方向(垂直部)と水平方向(ダッシュボード裏の水平部)の2面で構成されており、フロントガラス直下から床面にかけて広がっています。 minkara.carview.co(https://minkara.carview.co.jp/userid/11691/car/1569906/2763655/note.aspx)
つまり「ダッシュボードの骨格そのもの」がバルクヘッドということですね。
外から見ることはほぼないため、一般の運転者が意識することはほとんどありません。しかし後述するように、この部品は乗員の安全・快適性・車両価値すべてに深く関わっています。
バルクヘッドには大きく分けて3つの機能があります。
特にファイヤーウォールとしての役割は重要です。 エンジンルームで燃料漏れや電気系統のショートが起きた場合、バルクヘッドが延焼をせき止める数十秒〜数分間が、乗員の脱出時間になります。これは命に直結する機能です。 goo-net(https://www.goo-net.com/knowledge/10614/)
衝突安全の面では、近年の自動車設計では「クラッシャブルゾーン」と呼ばれる変形を許容するフロント構造と、バルクヘッドによる室内空間の保護を組み合わせた設計が標準になっています。バルクヘッドが曲がってしまうような大きな衝突は、修復歴(いわゆる「事故車」判定)の対象となることが多く、中古車査定に大きく影響します。
バルクヘッドの状態が車の価値を左右する、という点は意外と知られていません。
エンジン音の伝わり方には「空気伝搬音」と「固体伝搬音」の2種類があります。バルクヘッドはエンジンルームに直接面しているため、この両方の経路において室内とエンジンルームをつなぐ最大の接点になります。 deadening(https://www.deadening.net/example4.html)
防音の専門家によると、バルクヘッドへの施工はデッドニングの中でもエンジン音を抑えるのに最も効果が高い場所とされています。 ドアデッドニングに比べると、体感差が出やすいのが特徴です。 deadening(https://www.deadening.net/example4.html)
これは使えそうです。
特に軽自動車やコンパクトカーは、エンジンが車室に近い位置に搭載されているため、バルクヘッドの遮音性能が車内静粛性を大きく左右します。アクア(MXPK系)のバルクヘッドデッドニングでは、オーディオテクニカ製の高比重・高耐熱のヴァージンシートが使用されるなど、素材選定も効果を大きく変えます。 cs-azumi147(https://cs-azumi147.com/%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%82%BA%E4%BD%8E%E6%B8%9B%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%80%80mxpk%E7%B3%BB%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%80%80%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%98%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%87%E3%83%83/)
バルクヘッドには、配線・ホース類を通すためのグロメット(ゴム製の貫通部品)が複数あります。このグロメットが経年劣化で硬化・縮小すると、わずかな隙間からエンジン音が室内に侵入してきます。防音対策をしても効果が出ない場合は、このグロメットの劣化を確認することが基本です。
グロメット確認が先、というのが原則です。
バルクヘッドの防音施工(デッドニング)は、プロに依頼することも、DIYで行うことも可能です。作業の大まかな流れは以下のとおりです。
注意したいのは、エンジンルーム側の水平部(カウルトップと呼ばれる部分)にも施工できる場合があることです。 ここへの施工でロードノイズが大幅に低減したという報告もあり、バルクヘッドの「縦面だけ」で終わらせるのはもったいないと言えます。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=COB1ScZ55oE)
素材の選び方も重要です。エンジンルームに近い場所は温度が非常に高くなるため、耐熱性のない素材を使うと剥がれたり、最悪の場合に熱で溶けたりするリスクがあります。ゼトロ耐熱吸音シートや、オーディオテクニカ製の高耐熱素材など、バルクヘッド専用の製品を選ぶことが基本です。 deadening(https://www.deadening.net/example4.html)
耐熱素材の選定が条件です。
プロへの依頼費用の目安は工賃込みで2〜5万円程度が一般的です。DIYなら素材費だけで5,000〜15,000円程度に収めることも可能ですが、ダッシュボードの着脱は車種によって難易度が高く、初めての場合はプロへの相談を推奨します。
バルクヘッドは鉄製であるため、経年や水分の侵入により錆が発生することがあります。特にフロントガラス下のカウル部分は雨水が溜まりやすく、錆が進行すると鉄板自体が薄くなり、最終的には穴が開くケースもあります。 intaa(https://intaa.net/archives/59636)
ランドローバー・ディフェンダーなどのクラシック系車両では、バルクヘッドの錆は有名な持病のひとつです。 日本の一般的な乗用車でも、フロントガラス周辺の錆が内部のバルクヘッドまで進行しているケースは少なくありません。 reddit(https://www.reddit.com/r/LandroverDefender/comments/1nlgw5s/bulkhead_repair/)
厳しいところですね。
錆によってバルクヘッドに損傷が生じると、以下のような問題が連鎖します。
中古車を購入する際は、フロントガラス下のシール部分や、エンジンルームとダッシュボードの接合部を目視で確認しておくことを推奨します。プロの整備士に「バルクヘッドの状態」を一言確認するだけで、後のトラブルを防げます。
バルクヘッドの状態確認が条件です。
定期的な洗車の際にエンジンルームも簡単に確認する習慣をつけると、錆の早期発見につながります。専門のカーショップや整備工場でのエンジンルーム洗浄・点検サービス(5,000〜10,000円程度)は、バルクヘッドの状態を把握するのにコストパフォーマンスが高い選択肢です。
バルクヘッドについてさらに詳しい構造説明は、以下の専門サイトが参考になります。
バルクヘッド(ダッシュパネル)の定義・役割・用語説明。
グーネット自動車用語集「バルクヘッド」
バルクヘッドへの制振・防音施工の具体的な手順と素材選定。
deadening.net バルクヘッド防音対策(エンジンルーム編)
バルクヘッド上部(カウルトップ)の制振施工例と効果。
がとらぼ INTAA.NET「古い車の近代化改修 バルクヘッド(隔壁)の制振」