

TRDサスペンションを交換しても、車種によっては車高がまったく変わらない仕様が存在します。
TRDとはToyota Racing Developmentの略称で、トヨタ自動車の直系ワークスブランドです。スーパーGTをはじめとするモータースポーツ活動で得た技術と、トヨタのテストドライバーによる公道評価を掛け合わせた「二刀流開発」が最大の特長です。
一般的なアフターパーツメーカーがデータ計測後に製品化するのに対し、TRDは発売前の開発車両を使ってテストを行える唯一のブランドです。これにより「車両発表と同時発売」という他社では不可能な体制を実現しています。つまり純正同等の完成度が担保されているということです。
開発現場ではトヨタ東富士研究所の本格テストコース(1周10kmの高速周回路を含む)を使用し、240km/h超の超高速域まで走行テストを実施しています。一般的なダウンサスやアフターショックの評価では到底実施できないレベルの検証が行われているわけです。これは使えそうです。
具体的な評価項目は以下のとおりです。
口コミサイト「みんカラ」では226件以上のレビューが蓄積されており、「高速走行での安定性とハンドリングが改善された」「コーナリング時のロール量が明らかに減った」といった評価が多数を占めます。アフターパーツにありがちな異音も極力排除されているのがユーザーからも高く評価されています。
なお、TRDサスペンションは「1年または2万km」の部品保証付きです。他社アフターサスペンションの多くが保証なしであることを考えると、この点だけでも大きな差別化ポイントといえます。信頼性が条件です。
参考:TRDスポルティーボサスペンションの開発コンセプトと評価項目の詳細はこちらで確認できます。
TRD公式:Sportivoサスペンションセットの特長・開発背景・適合車種一覧
サスペンションを交換すると乗り心地が硬くなる──そう思い込んでいる方は多いです。しかしTRDサスペンションの設計思想はむしろその逆です。
TRDの乗り心地に対する考え方は「車体全体が大きくフワフワ揺れるよりも、収束性が高くフラットな動きのほうが長距離ドライブでの疲労が少ない」というものです。バウンシングやピッチングを積極的に抑制し、路面の凹凸を乗り越えた後の余分な揺れを素早く収束させることで「質感のある乗り心地」を実現しています。
実際のユーザー評価をまとめると次のような傾向があります。
特筆すべきなのは後部座席への配慮です。一般的なスポーツサスは運転席優先のセッティングになりがちですが、WayDo Sportivoシリーズは運転席・助手席・2列目・3列目すべての座席で高い快適性を確保するよう設計されています。家族乗りのミニバンオーナーにとって重要なポイントですね。
なお、プリウス(ZVW30 マイナーチェンジ後)用スポルティーボは、ボディ剛性が大幅に強化されたことを受けて「車高を変えないセッティング」を採用しています。乗り心地とストローク量を優先した結果の判断です。これが基本です。
参考:プリウスとアクアのTRDスポルティーボ試乗インプレッションはこちら。
autoc-one.jp:TRDアクア&TRDプリウス Sportivo 試乗レポート(今井優杏)
「TRDサスペンションはいくらかかるの?」と調べると本体価格だけが出てきます。しかし実際に交換する際の総額は想像より高くなりがちです。
TRD Sportivoサスペンションセットのメーカー希望小売価格は車種によって大きく異なります。代表的な例を挙げると以下のとおりです。
ここに取り付け工賃が加わります。4本交換の工賃相場は30,000〜40,000円程度です。さらに見落とされがちなのがアライメント調整費で、相場は15,000〜30,000円程度が一般的です。痛いですね。
つまり、本体9〜14万円台の車種でも、トータルでは15〜20万円前後を想定しておく必要があります。これだけ覚えておけばOKです。
アライメント調整を省略するとタイヤが偏摩耗し、高速走行でハンドルが取られるリスクが生じます。タイヤ1本のコストが2〜3万円であることを考えると、最初からアライメント調整をセットで依頼するほうが結果的に安上がりになることが多いです。
| 費用項目 | 目安金額 | 備考 |
|---|---|---|
| TRDサスペンション本体 | 70,000〜148,000円 | 車種・セット内容による |
| 取り付け工賃(4本) | 30,000〜40,000円 | ショップにより異なる |
| アライメント調整 | 15,000〜30,000円 | 交換後は必須 |
| 合計目安 | 115,000〜218,000円 | 車種によって幅あり |
参考:サスペンション交換後にアライメント調整が必要な理由と費用感について詳しく解説されています。
ユーイチバン:車高調・ダウンサス取付け後のアライメント調整が必須な理由
TRDサスペンションは万能品ではありません。車種ごとにセッティングが異なり、同じTRDブランドでも「スポルティーボ」「GRサスペンションセット(全長調整式)」「ショックアブソーバー単品」など複数のラインアップが存在します。
大きく分類すると次の3系統です。
車種別の特性について補足すると、ミニバン系(アルファード・ヴォクシー系)では約20mmのローダウンと高速安定性向上が主な評価ポイントです。一方、スポーツ系(86・GR86)ではバネレートが固めになるため、街乗り主体のユーザーには「少し腰に来る」という意見もあります。どういうことでしょうか?要するに、自分の使用スタイルに合ったグレード選びが重要なわけです。
また、クラウンアスリート(AWS210)のようにAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション)搭載車向けには専用AVSサスペンションが用意されており、AVS機能を生かしたまま装着できるのもTRDならではの強みです。これは使えそうです。
参考:みんカラでのTRDサスペンションセット(SUSPENSION SET)ユーザーレビュー226件以上が閲覧できます。
みんカラ:TRD SUSPENSION SET パーツレビュー一覧(226件以上)
TRDサスペンションを選ぶ際、多くの人が注目するのは乗り心地や走りの変化だけです。ところが意外と見落とされているのが、交換後に継続的に発生しうる維持費のリスクです。
まず知っておきたいのは、スプリング(バネ)の寿命についてです。スプリングの寿命の目安は走行10万km・約10年程度とされています。ただしスポルティーボのように純正よりバネレートが変わっている場合、純正と同じ感覚で乗り続けると予想より早く「へたり」が来ることがあります。みんカラのレビューでも「高額な割にスプリングがすぐにへたる」という指摘が一部に見られます。
次に、交換後のアライメントのズレは一度調整すれば終わりではありません。車高を変えることで地面に対するタイヤの角度(キャンバー・トー・キャスター)がずれ続けるため、年1回程度の再確認が理想とされています。アライメントがズレたまま走ると、タイヤが内側や外側だけ偏摩耗し、タイヤ交換が早まります。タイヤ1本2〜3万円として4本交換なら8〜12万円の出費になります。
さらに気をつけたいのは「片側だけ交換禁止」のルールです。ショックアブソーバーは左右バランスが崩れると車が直進しづらくなり、危険な状態になる可能性があります。交換はかならず左右同時・4本セットで行うことが原則です。
交換前にトータルの維持コストを把握しておくことが、後悔しない選択につながります。長期的に見た出費を計算した上で、他のアフターサスペンション(HKSハイパーマックス・TEIN・ブリッツなど)との比較検討を行うのも賢い選択です。これが条件です。
参考:サスペンション交換後のアライメント調整について実際の整備現場からの解説。
クラフト:サスペンション交換後のアライメント施工について現場レポート