ステアリングシャフト グリスアップで異音と高額修理を防ぐ方法

ステアリングシャフト グリスアップで異音と高額修理を防ぐ方法

ステアリングシャフトのグリスアップで異音と高額修理から愛車を守る

「グリスを塗っておけば、しばらく大丈夫」と思っているなら、グリスの入れすぎが部品を壊すことがあります。


この記事でわかること
🔩
ステアリングシャフトの基本構造

ユニバーサルジョイントとスプラインという2つのグリスアップポイントを理解することで、どこに何をすべきかが明確になります。

🛠️
グリスの種類と選び方

モリブデングリスとリチウムグリスでは使える場所が異なります。間違えると逆に部品を傷める原因になるので要注意です。

💰
放置すると最大10万円超の修理費

グリスアップの費用は5,000〜10,000円程度ですが、放置してシャフト交換まで至ると3〜10万円以上かかります。早期対応が節約の鍵です。


ステアリングシャフトのグリスアップが必要な構造と理由





ハンドルを回したとき、その動きは「ステアリングシャフト」と呼ばれるシャフトを通じてタイヤの向きに伝わります。この部品は一見単純に見えますが、実際には複数のパーツが連結された複雑な構造を持っています。


主に注目すべき部分は「ユニバーサルジョイント」と「スプライン」の2箇所です。ユニバーサルジョイントは、ハンドルとステアリングラックを角度をつけて連結するための自在継手で、日本語では「自在継手」とも呼ばれます。一方、スプラインとは軸方向に刻まれた溝状のギヤのことで、シャフトの長さ方向の動きを吸収しながら回転を伝える役割を持っています。


どちらも「金属と金属が直接こすれ合う」構造です。そのため、グリスという潤滑剤がなければ、ハンドルを切るたびに金属同士がじかに摩擦し続けることになります。つまりグリスアップが必要です。


車を普通に乗り続けると、数年〜数万キロの間にグリスは徐々に劣化・流出していきます。グリスが切れた状態を「グリス切れ」と呼び、これが異音の最大の原因になります。特に走行距離が10万kmを超えた車では、ステアリングシャフト周辺のグリス劣化が顕著になるケースが多く報告されています。


路面からの振動や衝撃も、グリスを劣化させる要因になります。山道やデコボコ道をよく走る方ほど、グリスの消耗は早くなるため、定期的な確認が欠かせません。




ステアリングシャフトの構造や役割について詳しく解説されています。


ステアリングシャフトのグリスアップのサインとなる異音の見分け方

グリスアップが必要なサインとして最も多いのは、ハンドルを切ったときに出る異音です。この異音を「たいしたことない」と放置している方が多いですが、それが後に高額修理につながるケースがあります。


代表的な音のパターンを整理しましょう。































異音の種類 発生タイミング 主な原因
ギギギ / ゴリゴリ ハンドルを切ったとき ステアリングシャフトのグリス切れ
コトコト / カタカタ ハンドルを切り始めたとき ユニバーサルジョイントのガタ・摩耗
グググ 据え切り・低速旋回時 タイロッドエンド・ボールジョイントの劣化
キーキー ハンドルを大きく切ったとき ブーツ破れによる摩擦音




「ギギギ」や「ゴリゴリ」が典型的なグリス切れのサインです。ただし、同じ異音でも車の状態によって原因が異なる場合があるため、自己診断だけに頼るのは危険です。


もう一つの特徴的なサインは「冬の朝だけ異音がする」というケースです。気温が下がるとグリスの粘度が上がり、潤滑性能が一時的に落ちます。そのため、暖機後は音が止まることがあります。これは「グリスが完全に切れていないが、劣化が始まっているサイン」と解釈できます。見逃さないでください。


また、駐車直後のエンジン始動時にだけ音がするケースも同様です。長時間の駐車でシャフト表面のグリスが流れ落ちてしまい、動き出しに摩擦音が生じやすくなります。異音が消えたからといって安心するのは禁物です。


ステアリングシャフトのグリスアップに使うグリスの種類と選び方

グリスアップをするうえで、最も重要なのがグリスの種類の選択です。間違ったグリスを使うと、部品を傷めたり、逆効果になることがあります。


主なグリスの種類とステアリングシャフトへの適否をまとめます。





  • モリブデングリス(二硫化モリブデン入り):金属同士の摩擦が激しい部分(スプラインやユニバーサルジョイント)に最適。高負荷・高圧力の環境で威力を発揮します。ただし、ゴム製シールやアルミ・真鍮製の部品には使用不可です。

  • 極圧グリス(EP グリス):スプレータイプでも販売されており、ロングノズルと組み合わせれば狭い場所へのアクセスがしやすく、DIYに向いています。

  • ⚠️ リチウムグリス(万能グリス):汎用性は高いですが、ステアリングシャフトのように高負荷がかかる部位には単体では不十分な場合があります。モリブデンと配合されたタイプを選ぶのがベターです。

  • シリコングリス:主にゴム部品や電気系パーツ向けです。ステアリングシャフトの金属摺動部には向きません。




つまり「モリブデン配合の極圧グリス」が原則です。市販のスプレーグリスでは「耐熱極圧グリス」と記載されているものを選ぶとよいでしょう。


ホームセンターや自動車用品店(カー用品店)では、30cmほどのロングノズルと組み合わせて使えるスプレー缶タイプが入手できます。ノズルを車のアンダーカバーの隙間から差し込むことで、比較的スムーズに作業できます。一缶あたり1,500〜2,000円程度で購入できます。これは使えそうです。


グリスの量にも注意が必要です。「多く入れれば安心」と思われがちですが、グリスの入れすぎはシール部分を圧迫して逆に劣化を早めることがあります。ニップルからわずかに滲み出る程度が適量とされています。




グリスの種類と選び方について、専門的な情報が掲載されています。


グリスとは 選び方とちょう度の使い分け - モノタロウ


ステアリングシャフトのグリスアップをDIYで行う手順と注意点

「整備経験のない自分でもできるのか」と思う方も多いですが、スプレーグリスを使った簡易的なグリスアップは、DIYでも十分に対応できます。ただし、正しい手順と注意点を守ることが前提です。


【準備するもの】



  • 🔧 耐熱極圧スプレーグリス(モリブデン配合タイプ推奨)

  • 📏 ロングノズル(30cm程度。スプレーに付属していない場合は別途用意)

  • 🧤 使い捨てゴム手袋

  • 🧻 ウエス(拭き取り用の布)

  • 🔦 ライト(暗い場所での確認用)




【作業手順】


まず、エンジンを止めた状態で車を平坦な場所に駐車します。エンジン停止直後はエキゾースト系が熱くなっているため、数分待ってから作業を始めましょう。


次に、車の下に潜るかしゃがんで、ステアリングシャフトのユニバーサルジョイント部分を探します。多くの車では、フロアトンネルの脇か、エンジンルーム側のシャフト付け根あたりに位置しています。ゴム製のラバーブーツ(蛇腹状のカバー)がついていることが多く、その根元のジョイント部がターゲットです。


ブーツに亀裂や破れがないか目視で確認します。ここが破れていると、グリスを補充しても水や汚れが混入して効果が薄れます。破れている場合はブーツ交換も合わせて検討してください。


ロングノズルをジョイント部の隙間に差し込み、スプレーを2〜3秒プッシュします。そのまま少しハンドルを左右に動かして、グリスが満遍なく行き渡るようにすると効果的です。作業後は拭き取り用のウエスで余分なグリスを除去します。


作業自体は30分以内に完了することがほとんどです。試走してみて異音が解消されていれば、グリス切れが原因だったと判断できます。音が残る場合は、別の原因(タイロッドエンド摩耗など)の可能性があるため、プロに診てもらうのが安心です。




ステアリングジョイントへのグリスアップ作業の実例が紹介されています。


ステアリングジョイントにグリースを注油(みんカラ CR-Z整備手帳)


ステアリングシャフトのグリスアップを放置すると起きること|費用と車検への影響

グリスアップをせずに放置し続けた場合、どこまで影響が広がるのでしょうか?


段階ごとに起きることを整理します。





  • 📢 第1段階(グリス切れ初期):ハンドルを切ったときだけ「ギギギ」と鳴る。この段階ならグリスアップ(5,000〜10,000円程度)で解消できます。

  • ⚠️ 第2段階(摩耗が進行):ユニバーサルジョイントやスプライン部に金属摩耗が始まります。異音が常時発生するようになり、ハンドル操作に「引っかかり」や「ガタ」を感じるようになります。

  • 🚨 第3段階(ベアリング・ジョイント破損):ステアリングシャフト本体またはユニバーサルジョイントの交換が必要になります。修理費用は部品代・工賃込みで3万〜10万円以上が目安です。

  • 🚗 最悪のケース(ステアリングラック損傷):ステアリングラックごと交換となると、6万〜13万円以上の費用が発生します。




費用の差は歴然です。グリスアップを1万円以内でこまめに実施していれば、その後に来る10万円超の修理を防ぎやすくなります。痛いですね。


さらに注意が必要なのが車検への影響です。ドライブシャフトブーツやステアリングラックブーツが破れていると、車検で不合格になるケースがあります。ステアリングシャフト周辺のゴムブーツ類は、破れた状態で放置すると内部にグリスがなくなり、車検の保安基準「ステアリング系の整備不良」に該当する可能性があります。


グリスアップを怠ったことで車検に通らなくなり、追加の整備費用まで発生するというのは、知らないと損する典型的なケースです。車検は2年に1度ですが、ブーツの点検とグリスアップはその間にも実施することが推奨されています。目安は1万km走行ごと、または半年〜1年に1回です。




車検でドライブシャフトブーツやステアリング系が不合格になる原因について詳しく解説されています。


自動車の車検項目を徹底解説!(carlife.tokyo)


ステアリングシャフトのグリスアップ頻度と、プロに任せるべきケースの判断基準

「どのくらいの頻度でやればいいのか」という疑問は多くのドライバーが持っています。これが基本です。


【推奨頻度の目安】



  • 🗓️ 通常使用(舗装路中心):1年に1回、または1万kmごとを目安にする

  • 🏔️ 山道・悪路走行が多い場合:6ヶ月ごと、または5,000kmごとに実施を推奨

  • ❄️ 寒冷地・豪雪地域:春先に1回追加で実施すると安心。融雪剤の影響でグリスが流れやすい環境のため

  • 🚗 走行距離10万km超の車:定期的な異音チェックと合わせて、年2回程度の確認が望ましい




また、DIYでのグリスアップで対応できるのは「アクセスできるジョイント部への補充」に限られます。以下のケースはプロに任せる必要があります。



  • 🔴 すでにガタや引っかかりが出ている(グリスで解消しないレベルの摩耗)

  • 🔴 ラバーブーツが破れており、内部がサビ・汚れまみれになっている

  • 🔴 ハンドルが直進時でもふらつく・重い感触がある

  • 🔴 グリスアップ後も1〜2週間以内に異音が再発した




プロに依頼した場合の費用感は、グリスアップ単体で5,000〜10,000円程度です。ディーラーや整備工場では車検時に合わせて点検・グリスアップを依頼できることが多く、一緒に頼むことで工賃を節約できる場合があります。


一方でDIYなら材料費1,500〜2,000円程度で済みます。ただし、正確に患部に届かなかったり、ブーツを傷つけてしまうリスクもゼロではないため、「怪しいと感じたらプロに」という判断を優先するのが結論です。


頻度だけ覚えておけばOKです。日常的には「1万kmか1年に1回の確認」を習慣にしてください。それだけで、ステアリング系の深刻なトラブルをかなりの確率で防ぐことができます。




整備工場でのグリスアップの費用や作業内容について詳しく解説されています。


車検でグリスアップの基本と費用相場を徹底解説 - 若林カーサービス




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