

プロシードマービーは同じ車名でも、ガソリン2.6L(G6)とディーゼル2.5Lターボ(WL-T)で整備の地雷が変わります。ガソリンの代表例として「2.6 マービー 4WD」は型式E-UV66Rで、エンジン型式G6(2605cc)・4AT・3列7名が掲載されています。
一方、ディーゼルターボ系では「1996年3月のベースグレード」が型式KD-UVL6R、エンジン型式WL-T(2499cc)で、パートタイム4WD・4AT・車両重量1800kg・燃料タンク70Lなどの仕様が確認できます。
現場で重要なのは、同じ「冷却水が減る」「白煙が出る」「加速が鈍い」でも、WL-Tだと過給・噴射・冷却が絡んで診断が重くなり、G6だと点火・吸気・冷却の基本系統に戻して詰めやすい点です。型式とエンジン型式は、入庫時に最初にカルテへ固定情報として書き込むだけで、部品手配ミスと診断の遠回りが減ります。
冷却水トラブルは「とりあえずサーモ交換」になりがちですが、古いSUVは複合要因が多く、順番を間違えると再発しやすいです。まずは冷間でリザーブ量とラジエータ口元の液面を確認し、減っているなら漏れ跡(ホース継ぎ目、ラジエータコア、ウォーターポンプ周辺、ヒータコア下)を“乾いた状態”で探します。
次に、キャップの保持圧不良は地味に効きます。保持圧が落ちると沸点が下がり、負荷がかかった瞬間だけ吹く/戻る症状を作るので、キャップは試験交換が早い場面があります。冷却水を補充した直後に「直ったように見える」車両ほど、キャップや微小漏れを見落としやすいです。
意外に盲点なのがエア抜きです。冷却水交換後に気泡が出続ける、走行後に吹き返すのに水温計が大きく上がらない、といった“違和感のある挙動”は、エア噛みや局所沸騰、コア詰まりなどの可能性を示します。冷却系は錆や劣化で能力が落ちる話もあり、交換サイクルが延びるほど錆の発生が目立つという指摘もあるため、冷却水の状態(色・濁り・スラッジ)を診断情報として残すのが有効です。
冷却系トラブルの考え方(錆・詰まり・劣化の説明)
冷却水によるトラブル(錆や詰まり、劣化の考え方)
ディーゼルのWL-Tは、走行距離が伸びると燃料噴射と過給まわりが“修理費の山場”になりやすいです。ユーザー投稿ベースですが、12万kmでタービン交換、17万kmで噴射ポンプ交換といった具体例が挙がっており、現実にそのレンジで大きめの出費が来る可能性は見ておくべきです。
整備士向けの実務としては、入庫時ヒアリングで「冷間始動性」「アイドルのハンチング」「黒煙/白煙」「踏み増しでの加速遅れ」「高速巡航での息つき」を分解して聞き、試運転で“再現条件”を固定します。ここで曖昧にすると、噴射ポンプ不調なのにEGRや吸気漏れ、逆にタービン不調なのに燃料系と決め打ちして工数を溶かしがちです。
また、冷却系の不調がディーゼルの熱負荷に直結し、結果的にヘッド系統まで波及しうる点が怖いところです。上記の投稿例でも「ヘッド交換」という重整備が出ており、冷却水の管理が軽視されると大きな故障に繋がるリスクを示唆します。
プロシード/マービー系は、4WDの使い方と駆動系の状態で違和感の出方が変わるため、「2WD/4WDの切替頻度」や「ハブの仕様」は問診で聞く価値があります。実際、マービーの“フリーハブ”を話題にした整備記録もあり、前輪ハブ側の扱いがテーマになる車種です。
一般論として、ハブの連結状態が想定とズレると、4WDに入れたのに前が噛んでいない/戻らない、異音、引きずり感など、症状があいまいに出ます。オーナー側も説明が難しいため、整備側が「いつ・どの路面で・切替後にどうなったか」を具体化して記録し、再現性のある点検(リフトアップでの回転確認、ガタ、ブーツ状態)に落とし込むのが安全です。
駆動系トラブルを冷却系や燃料系の不調と混同しないためにも、試運転で「加速不良=エンジン」「振動=足回り/駆動」「切替時の違和感=トランスファ/ハブ」というように、現象を系統で一度切り分けてから深掘りすると手戻りが減ります。
この年代の車で避けられないのが、部品の製廃・欠品と納期の不確実さです。マツダの部品供給は「生産終了から10年前後が目安で、部品により短くなることもある」という情報が紹介されており、プロシードマービー(1990年代中心)では“新品が出ない前提”で見積もり段取りを組むのが現実的です。
対策は大きく3つで、(1) リビルトの活用(噴射ポンプ等)、(2) 社外品・互換品(ブーツ類など供給がある部位は残ることがある)、(3) ワンオフ・現物修理(ステーや配管の加工、補修)です。中古市場にはドライブシャフト周辺の社外部品が出回る例もあり、消耗部品から“生き残っている供給”を拾うのは有効です。
あまり知られていないが効く話として、見積もり提示の段階で「出る部品/出ない部品」「代替案(リビルト・中古・加工)」「納期リスク」を1枚の表にして説明すると、後からのトラブル(聞いてない・高い・時間がかかる)を減らせます。古い車ほど“整備内容そのもの”だけでなく、“整備の進め方”が品質になります。