
ホンダフィットは、適切なメンテナンスを行うことで20万キロ以上の走行が十分可能な車種として知られています。実際に、多くのオーナーが20万キロを超える走行距離を達成しています。
あるフィットオーナーの例では、2011年12月に購入したフィットハイブリッドが11年11ヶ月で20万キロを達成しました。この車は北海道の道の駅制覇に貢献し、これまで大きな故障もなく走り続けています。事故も少なく、保険を使ったこともないという実績を持っています。
また別の例では、2010年製のフィットハイブリッドを2017年に中古で購入したオーナーが、2022年12月に20万キロを超えたケースもあります。この車は年間平均約27,600kmを走行し、燃費は約24km/Lという優れた性能を維持していました。
フィットの耐久性の高さは、ホンダの優れたエンジン設計とシンプルな構造に起因しています。特に「i-VTECエンジン」を搭載したモデルは、基本的なメンテナンスを定期的に行えば、長期間にわたって安定した性能を発揮します。
実際、適切な管理を行えば30万キロ、場合によっては40万キロ以上の走行も不可能ではありません。ディーラーの整備士によると「オイル整備をしっかりしていると走行距離20万〜30万kmまで乗れる」とのことで、実際に30万キロ近く走行している営業車の例も報告されています。
フィットで20万キロを達成し、さらに長く乗り続けるためには、以下のメンテナンスが重要です。
1. エンジンオイルの定期交換
エンジンオイルは5,000〜7,000km毎に交換することが理想的です。特に高走行距離車では、オイルの劣化が早まる傾向があるため、こまめな交換が必要です。同時にオイルフィルターも交換しましょう。
2. タイミングチェーンの点検
フィットのほとんどのモデルはタイミングベルトではなくタイミングチェーンを採用しています。チェーンは基本的に長寿命ですが、20万キロを超えると緩みや摩耗が生じる可能性があります。異音がする場合は早めの点検が必要です。
3. 冷却系統のメンテナンス
冷却水の定期的な交換と冷却系統の点検も重要です。20万キロを超える車では、ラジエーターやウォーターポンプの劣化が進んでいる可能性があります。オーバーヒートを防ぐためにも、定期的な点検と交換が必要です。
4. ブレーキシステムの点検
ブレーキパッドやディスクの摩耗状態を定期的に確認し、必要に応じて交換します。また、ブレーキフルードは2年ごとの交換が推奨されています。
5. 足回りのメンテナンス
サスペンションやショックアブソーバー、ブッシュ類などの部品は、走行距離が増えるにつれて摩耗します。これらの部品の交換を適切に行うことで、車両の安定性や乗り心地を保つことができます。
6. トランスミッションオイルの交換
CVTを採用しているフィットでは、トランスミッションオイルの定期的な交換が重要です。特に高走行距離車では、オイルの劣化が進みやすいため、4〜5万km毎の交換が推奨されています。
フィットハイブリッドを20万キロ以上走らせる場合、最も気になるのがハイブリッドバッテリーの寿命です。ハイブリッドバッテリーは一般的に10万〜15万キロで劣化が始まるとされており、20万キロを超えると交換が必要になるケースが増えてきます。
ホンダのハイブリッドバッテリーの保証期間は「新車登録日から5年間(ただしその期間内でも走行距離が10万kmまで)」となっています。しかし、公式情報によれば「基本的には車両と同等の耐久性を備えている」とされ、理論値では25万キロ程度の寿命があるとの情報もあります。
実際の交換時期は使用状況や環境によって大きく異なりますが、バッテリーの性能低下が顕著になった場合は交換を検討する必要があります。性能低下の兆候としては、燃費の悪化、アイドリングの不安定さ、加速時のパワー不足などが挙げられます。
ハイブリッドバッテリーの交換費用は15万〜40万円程度と高額です。これは200Vという高電圧のバッテリーが使用されており、専門スタッフによる交換が必要なためです。自分で交換を試みることは危険なので、専門店への依頼が推奨されています。
一方、補機バッテリー(12Vバッテリー)の寿命は約3〜5年で、交換費用は数万円程度です。ハイブリッドモデルでは、通常のガソリン車と比べてセルモーターの使用頻度が低いため、補機バッテリーの劣化が遅い傾向があります。
フィットは20万キロを超えても、適切なメンテナンスを行えば優れた燃費性能を維持することが可能です。ガソリンエンジンのフィットでは、市街地走行で1リットルあたり約15〜17km、郊外走行では18km/L以上の燃費を期待できます。
一方、ハイブリッドモデルでは、20万キロを超えても市街地で約20km/L前後、郊外や高速道路では24km/L以上の燃費を達成することが可能です。ただし、バッテリーの劣化が進むと燃費が低下する傾向があるため、注意が必要です。
20万キロを超えるフィットの維持費については、以下のポイントを考慮する必要があります。
20万キロを超えるフィットの下取り価格は、一般的に低くなりますが、メンテナンス履歴がしっかりしていて状態が良い車両であれば、それなりの評価を受けることも可能です。
フィットで20万キロを達成した後、さらに30万キロを目指すためには、より徹底したメンテナンスと予防的な部品交換が必要になります。以下に、30万キロ達成に向けたポイントをまとめます。
1. エンジン内部の徹底管理
エンジンオイルの交換頻度を上げ(例:3,000〜5,000km毎)、オイルの品質にもこだわりましょう。また、エンジン内部の洗浄剤を定期的に使用することで、カーボンの蓄積を防ぎ、エンジンの効率を維持することができます。
2. 予防的な部品交換
20万キロを超えた時点で、以下の部品の予防的な交換を検討しましょう。
これらの部品は突然故障すると、大きなトラブルにつながる可能性があります。予防的に交換することで、長距離走行時の安心感が増します。
3. 足回りの総点検と交換
サスペンションやショックアブソーバー、ブッシュ類、ベアリングなどの足回りの部品は、20万キロを超えると劣化が進んでいる可能性が高いです。これらの部品を総点検し、必要に応じて交換することで、走行安定性と乗り心地を改善できます。
4. 電装系統の点検
配線やコネクターの劣化、センサー類の不具合などをチェックし、必要に応じて修理や交換を行います。特に、エンジン制御に関わる電装部品は重要です。
5. エアコン系統のメンテナンス
エアコンガスの補充やコンデンサーの清掃、コンプレッサーの点検などを行います。20万キロを超えるとエアコン系統のトラブルが増える傾向があります。実際に、あるフィットオーナーは28万キロでエアコンのコンデンサーが故障し、交換に5万円ほどかかったという報告もあります。
6. ハイブリッドシステムの専門点検(ハイブリッドモデルの場合)
ハイブリッドモデルでは、モーターやインバーター、バッテリー制御システムなどの専門的な点検が必要です。ディーラーや専門店での定期的なチェックをお勧めします。
30万キロを達成したフィットの例として、あるオーナーは10年間で約30万キロを走行し、その間にエアコンの故障とスターターとエンジンを繋ぐ「オーバーランニングクラッチ」の不具合を経験したものの、基本的なメンテナンスを続けることで長距離走行を実現しています。
フィットが20万キロを超えると、車検や下取りに関して考慮すべきポイントがいくつかあります。
車検について
20万キロを超えたフィットの車検では、通常より多くの部品交換が必要になる可能性があります。特に以下の点に注意が必要です。
車検費用は通常より高くなる可能性がありますが、事前に整備工場やディーラーで見積もりを取ることをお勧めします。突然の高額修理を避けるためにも、車検前の事前点検が重要です。
下取り価値について
20万キロを超えたフィットの下取り価値は一般的に低くなりますが、以下の要素が価値に影響します。
20万キロを超えたフィットの下取り価格は、状態にもよりますが数万円〜20万円程度が一般的です。ただし、個人売買やオークションなどの方法を選べば、より高い価格で売却できる可能性もあります。
メンテナンス履歴をしっかり残しておくことで、高走行距離車でも「大切に乗られてきた車」として評価されやすくなります。
フィットは適切なメンテナンスを行うことで、20万キロを超えても十分に使用可能な信頼性の高い車です。定期的なオイル交換や消耗品の交換、予防的なメンテナンスを行うことで、30万キロ、場合によっては40万キロまで走らせることも不可能ではありません。
特にハイブリッドモデルでは、バッテリーの状態管理が重要ですが、適切なケアを行えば長距離走行でも優れた燃費性能を維持することができます。
20万キロを超えたフィットを所有している、または購入を検討している方は、この記事で紹介したメンテナンスポイントを参考に、愛車との長いお付き合いを楽しんでください。適切なケアと予防的なメンテナンスが、フィットの寿命を大きく延ばす鍵となります。