

ブラボー(三菱)で「走り出しの数秒だけカタカタ」「加速でブルブル」「一定速を超えるとこもるような音」などの訴えが出た場合、まず“音の出方”を走行条件とセットで固定しておくと、その後の点検が速くなります。プロペラシャフトは回転体なので、回転数(車速)に比例して振動が増減しやすく、速度域で症状が変わるのが典型です。
また、異音が「常に同じ」ではなく「発進・変速のタイミングで一瞬だけ出る」ケースは、ジョイント部の摩耗や引っ掛かりの初期症状として現れることがあります(現場では“たまに鳴る”ほど放置されがちです)。メーカー資料でも、自在継ぎ手部(ユニバーサルジョイント)の潤滑性能低下→ベアリング摩耗進行により異音・振動が出る、と原因系統が明示されています。
さらに重要なのは、異音・振動を長期放置した場合「損傷してプロペラシャフトが外れ、走行できなくなる恐れ」がある点です。単なる快適性の問題で終わらないため、問診段階で“安全に関わる可能性”として扱うのが整備士側の基本線になります。
ブラボーを含む対象車では、プロペラシャフトの自在継ぎ手部点検がメーカー指定の点検項目に追加され、点検整備時期は「24か月毎」、シビアコンディション(年間走行距離2万km以上)では「12か月毎」とされています。
ここで現場的に効いてくるのは、入庫時にユーザーの使用状況を必ず聞くことです。「距離だけ」ではなく、短距離・高頻度、積載、雪道・凍結防止剤、未舗装の粉じんなどで下回り環境が悪いと、ジョイント部の負担や劣化が進むことがあるため、点検周期を“実態”に寄せる判断が必要になります(点検周期は守っていても、実際は前倒しが妥当な車両があります)。
また、メーカーは点検・整備を実施した場合、メンテナンスノートの点検整備記録簿(分解整備記録簿)の「その他必要となった点検整備の内容および主な交換部品」欄へ記載するよう求めています。記録が曖昧だと次回入庫時の判断が鈍り、同症状の再発時に“いつ何をやったか”を追えないため、整備品質の一部として扱うのが無難です。
点検の入口は目視で、プロペラシャフトの「へこみ、損傷、亀裂」を点検し、異常があればプロペラシャフト交換、という方針が示されています。ここは“音が出ているからジョイントだけ”と決め打ちせず、まずシャフト本体の損傷有無を潰す順番が安全です。
同じく目視で、ユニバーサルジョイント部とオイルシール部の「亀裂、破損」を確認し、異常があればユニバーサルジョイント交換(U40系でかしめタイプ使用車種はプロペラシャフトAssy交換)とされています。年式・型式の幅が広い車両は“同じブラボー”でも仕様差があるので、Assy交換条件に該当するかの確認が、見積りの精度に直結します。
作業前条件として、M/TはN、A/TはN、4WDは2WD位置にする、と点検要領に明記されています。下回り点検は車両状態の前提が崩れると結果も崩れるため、基本操作ほど声出し確認しておくと手戻りを減らせます。
がた点検は、フランジヨーク側を手で押さえ、チューブ部分へ回転方向・軸方向・直角方向に力を加えてガタの有無を確認する、と具体的に示されています。ポイントは“どの方向に力を掛けたか”をチーム内で揃えることで、担当者が変わっても同じ判定に近づけられる点です。
同様に、スリーブヨーク側もフランジ部分を押さえ、チューブ側へ同じ3方向(回転・軸・直角)でガタ確認を行い、ガタがあればユニバーサルジョイント交換(条件によりAssy交換)となります。ここは「触った感じの違和感」を“気のせい”にしがちなので、異音の再現が取れない個体ほど、ガタ点検の結果が診断の軸になります。
意外と見落とされるのが、ガタが“ゼロか100か”ではなく、初期は微小で、しかも温度・負荷で変動する点です。メーカーが点検項目として追加した背景自体が「想定した使用限度を超える使用で潤滑低下→摩耗進行」という時間経過型なので、初期段階で拾えるかがコストと安全性を左右します。
独自視点として強調したいのは、“分解手順の一言”が再発防止に直結する点です。メーカー要領では、デフ側フランジヨーク部を外して屈曲不良を点検する際、取付ボルトを外す前に「位相合わせマークを付ける」、そして「この時、スリーブヨークは抜かない」と明記されています。
ここを雑に扱うと、症状が改善しても別の振動・違和感を作り込むリスクがあります。プロペラシャフトは回転バランスと位相の影響を受けやすいので、現場では“外したら元の位置に戻す”を作業標準として徹底し、マークの付け方(塗料・ポンチなど)も統一しておくと事故が減ります。
屈曲不良点検そのものも、ジョイント部の作動可否や引っ掛かり感を確認し、異常があればユニバーサルジョイント交換(条件によりAssy交換)という流れです。つまり「ガタはないが引っ掛かる」「音はあるがガタが薄い」個体を拾うのがこの工程の価値で、ここが弱いと“原因不明のまま様子見”になりやすい領域です。
プロペラシャフト点検要領・点検周期(24か月/シビア12か月)・記録簿記載の根拠(メーカー一次情報)
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/support/recall/others/tenken/detail_004.html