
WRX S4を購入後に後悔する最も多い理由の一つが「乗り心地の硬さ」です。特に初代WRX S4の前期型(アプライドA〜C型:2014年〜2017年7月頃まで)は、サスペンションが非常に硬く設定されています。スポーツカーとしての走行性能を追求した結果、日常使いでは路面の凹凸を拾いやすく、長時間のドライブや街中での走行で疲れを感じるオーナーが少なくありません。
ある現役スバル車オーナーは「初代前期型の乗り心地は人によっては『拷問のようだ』と評することもあるほど硬め」と表現しています。特に一般道での快適性を重視するユーザーにとっては、この硬さが大きな不満点となっているようです。
ただし、2017年7月以降に登場した大幅改良型(アプライドD型)以降は、足回りのセッティングが見直され、サスペンションのしなやかさが増しています。現行の2代目モデルでは、電子制御ダンパーを搭載するグレードも用意されており、ドライブモードに応じて乗り心地を調整することが可能になりました。
購入を検討している方は、どの世代・グレードのWRX S4を選ぶかによって、乗り心地の印象が大きく変わることを理解しておくことが重要です。特に日常使いを重視する方は、2017年以降のモデルか、現行の2代目を選ぶことで、この「後悔ポイント」を回避できる可能性が高まります。
WRX S4の購入後に多くのオーナーが直面するのが、予想以上に高額な維持費の問題です。高性能スポーツセダンならではの出費が、家計を圧迫する要因となっています。
まず燃費面では、WLTCモードで10.8km/Lとカタログ値が示されていますが、実際の街乗りでは8〜9km/L程度まで低下することが一般的です。さらにWRX S4はハイオク仕様のため、年間1万キロ走行した場合のガソリン代だけでも約20万円に達することがあります。
消耗品の交換頻度と費用も見逃せないポイントです。高性能な走りを支えるタイヤやブレーキパッドは通常の車両よりも早く摩耗し、交換費用も高額になります。タイヤ交換には約5〜10万円、ブレーキパッドの交換にも同程度の費用がかかることがあり、スポーツ走行を楽しむほど交換頻度は上がります。
さらに、自動車税は排気量に応じて課税されるため、2.4リッターエンジン搭載の現行モデルでは年間約45,000円の自動車税がかかります。任意保険料も高性能車であることから割高になりがちで、特に若いドライバーにとっては大きな負担となります。
これらを総合すると、WRX S4の年間維持費は33万円から43万円程度に達することもあり、購入前の想定を超える出費に後悔するオーナーも少なくありません。購入を検討している方は、車両価格だけでなく、これらのランニングコストも含めた総所有コストを事前に試算しておくことが重要です。
WRX S4のトランスミッションに対する不満も、購入後の後悔につながる要因の一つです。WRX S4はCVT(無段変速機)を採用していますが、これがスポーツカーとしての走行感覚に影響を与えることがあります。
特に「スポーツカー=マニュアル」というイメージを持つドライバーにとって、CVTの特性は違和感を覚える原因となっています。加速時にエンジン回転数が上がり続け、不快な音や振動を感じるケースがあります。また、アクセルを踏んでから実際に加速するまでにわずかなタイムラグ(ターボラグ)が生じることもあり、スポーティな走りを期待していたドライバーにとっては物足りなさを感じる要因になっています。
2代目WRX S4では「スバルパフォーマンストランスミッション(SPT)」と呼ばれる改良型CVTが採用され、従来よりも応答性が向上していますが、それでも「MT車信仰」が強いドライバーにとっては満足できない部分があるようです。
この不満を軽減するためには、マニュアルモードを積極的に活用することで、より直接的な走行感覚を得ることができます。また、社外マフラーの導入によってサウンドを改善し、走行の楽しさを向上させるオーナーも多くいます。
購入を検討している方は、試乗時にCVTの特性をしっかりと確認し、自分の運転スタイルに合うかどうかを見極めることが重要です。「MT車でなければスポーツカーではない」という固定観念がある方は、WRX S4の購入を再考した方が良いかもしれません。
WRX S4はスポーツカーとしての性能を追求した車両であるため、日常使いにおいては実用性の面で限界を感じることがあります。これが購入後の後悔につながるケースも少なくありません。
まず、後方視界の悪さが挙げられます。WRX S4はスポーティなデザインを重視しているため、リアウィンドウが小さく、後方視界が制限されています。駐車や車線変更時に不安を感じるオーナーも多く、特に狭い駐車場での取り回しに苦労することがあります。
また、後部座席のスペースも限られており、身長170cm以上の大人が快適に座れる空間とは言い難い状況です。家族や友人を乗せる機会が多い方にとっては、この狭さが不便に感じられることがあります。
さらに、トランクスペースも一般的なセダンと比較すると小さめで、大きな荷物や多くの荷物を積載する際に制限を感じることがあります。
加えて、アイサイトXなどの先進安全装備も、過剰に介入することがあり、カーブや車線変更時に誤作動することで運転の楽しさを損なうケースもあります。
これらの実用性の限界に対処するためには、バックカメラやサイドミラーの調整、駐車支援システムの活用など、各種補助機能を上手に使いこなすことが重要です。また、荷物の積載量が多い場合はルーフボックスやキャリアの使用を検討するなど、工夫することで実用性の限界をカバーすることができます。
購入を検討している方は、自分のライフスタイルとWRX S4の実用性が合致するかどうかを事前に確認し、日常使いにおける制約を受け入れられるかどうかを冷静に判断することが後悔を防ぐポイントとなります。
WRX S4の購入を検討する際に見落としがちなのが、将来的なリセールバリューの問題です。スポーツカーは一般的に中古市場での価値の下落が早い傾向があり、これが長期的な視点で見た場合の後悔につながることがあります。
WRX S4は高性能スポーツセダンとしての魅力がある一方で、中古市場では限られた層にしか需要がないため、一般的な実用車と比較してリセールバリューが低くなりがちです。特に、燃費の悪さや維持費の高さが中古購入者にとってネックとなり、売却時の価格に影響することがあります。
例えば、新車で購入してから5年経過した場合、一般的なセダンが新車価格の50〜60%程度の価値を保つのに対し、WRX S4では40〜50%程度まで下がることもあります。これは、購入時に400万円台の車両が、5年後には200万円前後まで価値が下がる可能性があることを意味します。
このリセールバリューの低下を最小限に抑えるためには、人気のグレードやカラー(特にWRブルーなど)を選ぶこと、アイサイト搭載車を選ぶこと、定期的なメンテナンスを欠かさないことなどが重要です。また、過度な改造を避け、純正状態を維持することも中古市場での評価を高める要因となります。
しかし、最も重要なのは購入時の心構えです。WRX S4は「投資」ではなく「趣味」として捉え、長期的に所有することを前提に購入計画を立てることが後悔を防ぐ鍵となります。短期間での乗り換えを考えている方には、リセールバリューの観点からWRX S4は向いていない可能性が高いでしょう。
長期所有を前提とした場合、定期的なメンテナンスによって車両の状態を良好に保ち、走る楽しさを長く味わうことで、リセールバリューの低下を気にせず、愛車として大切に乗り続けることができます。
WRX S4の購入を検討している方が後悔しないためには、事前に自分のライフスタイルや価値観と照らし合わせて、慎重に判断することが重要です。以下に、購入前に確認すべきポイントをチェックリスト形式でまとめました。
これらのチェックポイントを事前に確認することで、購入後の「こんなはずじゃなかった」という後悔を防ぐことができます。特に重要なのは、WRX S4の特性をしっかりと理解し、その長所と短所を含めて受け入れる覚悟があるかどうかです。
試乗は必須であり、可能であれば1日以上の長時間試乗で日常使いの感覚を確かめることをおすすめします。また、現オーナーの声をSNSやオーナーズクラブなどで直接聞くことも、リアルな使用感を知る上で非常に参考になるでしょう。
WRX S4は間違いなく魅力的な車ですが、すべての人に合う車ではありません。自分自身の優先順位や価値観と照らし合わせて、冷静な判断をすることが、満足のいくカーライフを送るための第一歩となります。