
ステップワゴンをトランポ仕様にカスタマイズする際には、様々な専用キットが用意されています。これらのキットを適切に選ぶことで、バイク積載の安全性と利便性が大幅に向上します。
まず基本となるのが「床板キット」です。このキットは荷室の床をフラットにするためのもので、特にRKシリーズやRPシリーズ向けに専用設計されています。床板キットを使用することで、2列目や3列目のシートを倒した状態でもバイクを安定して積載できるようになります。市販の床板キットを購入する方法もありますが、コンパネ(合板)を使って自作する方も多いです。
次に重要なのが「タイダウンフックキット」です。これはバイクを車内で固定するために必須のアイテムで、荷室の床面や側面に取り付けて使用します。ステップワゴンには標準でタイダウンフックが装備されていないため、別途取り付ける必要があります。特に大型バイクやオフロードバイクを積む場合は、しっかりとした固定が求められるため、耐荷重の高いフックを選ぶことが重要です。
また、バイクを車内に積み込むための「ラダー(スロープ)」も重要なトランポキットの一つです。アルミ製の軽量タイプが人気で、折りたたみ式のものは収納にも便利です。特にアーチ形状のラダーは、車高の低いバイクでも腹を擦ることなく積み込めるため、多くのユーザーに選ばれています。
さらに、「フロントホイールクランプ」もバイクの安定性を高めるために役立ちます。これはバイクのフロントタイヤを固定する装置で、走行中の前後の揺れを抑える効果があります。特に長距離移動や高速道路走行時には、このクランプがあることで安心感が増します。
これらのトランポキットは単体でも販売されていますが、セットで購入することでコストパフォーマンスが良くなる場合もあります。自分のバイクのサイズや用途に合わせて、最適なキットを選ぶことが大切です。
RK型ステップワゴン(2009年〜2015年モデル)は、トランポ仕様として特に人気の高いモデルです。その理由の一つが3列目シートを床下に格納できる構造にあります。この特徴を活かして、効率的な床板キットを自作する方法を紹介します。
まず準備するものは、コンパネ(合板)、防水の塩ビシート、アルミレール、接着剤、カッターナイフ、ジグソー、電動ドリルなどの工具です。コンパネは厚さ9mm程度のものが適しており、サイズは1810×910mmのものが一般的です。
床板製作の最初のステップは、正確な型取りです。段ボールなどを使って荷室の形状に合わせた型紙を作ります。この際、3列目シートを格納した状態で測ることがポイントです。型紙ができたら、それをコンパネに写し取り、ジグソーでカットします。
ただし、一枚板で作ると取り外しや収納が困難になるため、複数のパーツに分けて製作するのがおすすめです。特に3列目シートを使用する場合を考慮すると、分割式にすることで使い勝手が良くなります。一般的には、前方部分、中央部分、後方部分の3枚に分けることが多いです。
カットしたコンパネは、そのまま使用することもできますが、防水性や見た目を考慮して塩ビシートを貼ることをおすすめします。これにより、バイクからのオイル漏れなどがあっても木材に染み込むのを防ぐことができます。
また、バイクのタイヤが乗る部分には、アルミレールを取り付けると滑りにくくなり、積み込みがスムーズになります。アルミレールは12mm×12mm程度のものを使用し、コンパネにドリルで穴を開けてネジで固定します。
完成した床板は、使用しない時には3列目シート下のスペースに収納できるよう設計すると便利です。RK型ステップワゴンは、3列目シート下がトランクスルーになっているため、床板を差し込むことができます。
DIYで床板を製作する場合のコストは、材料費で約1万円程度です。市販のキットは2〜3万円することを考えると、かなりコストを抑えることができます。また、自分で作ることで車両に完全にフィットした床板を得ることができるというメリットもあります。
ステップワゴンをトランポとして使用する際、バイクを安全に固定するためのタイダウンフックの取り付けは非常に重要です。ステップワゴンには標準でタイダウンフックが装備されていないため、自分で取り付ける必要があります。
タイダウンフックの取り付け位置としては、シートベルトの固定部分や床面の頑丈な箇所が適しています。特に、車体のフレームに直接取り付けることができれば、より強固な固定が可能になります。一般的には、バイクの前後をバランスよく固定できるよう、荷室の四隅に取り付けることが多いです。
取り付け方法としては、まず適切な位置を決めたら、フックの形状に合わせて床面に穴を開けます。この際、車体の下側にある配線や燃料タンクなどを傷つけないよう注意が必要です。穴を開けたら、フックを挿入し、下側からナットで固定します。
市販のタイダウンフックキットには、取り付け用のボルトやナット、ワッシャーなどが付属していることが多いですが、車種によっては別途購入が必要な場合もあります。また、フックの耐荷重は、積載するバイクの重量に応じて選ぶことが重要です。一般的なオフロードバイクや大型バイクを積載する場合は、1つのフックあたり100kg以上の耐荷重があるものを選ぶと安心です。
タイダウンフックを取り付けた後は、バイクを固定するためのベルトも必要です。ラチェット式のタイダウンベルトが使いやすく、4本セットで購入するのが一般的です。ベルトの長さは、バイクのサイズや固定方法によって異なりますが、あまり長すぎると取り回しが悪くなるため、適切な長さのものを選びましょう。
また、タイダウンベルトにはサブベルトが付いているタイプもあります。これは、メインのベルトが緩んだ場合のバックアップとして機能するもので、より安全な固定が可能になります。特に長距離移動や高速道路走行時には、このような二重の安全対策を施すことをおすすめします。
タイダウンフックとベルトを使ったバイクの固定方法としては、バイクの前後をクロスさせるように固定するのが基本です。これにより、走行中の前後左右の揺れを効果的に抑えることができます。また、バイクの重心が低くなるよう、サスペンションを少し沈ませた状態で固定すると安定性が増します。
ステップワゴンのRK型(2009年〜2015年)とRP型(2015年〜現在)は、どちらもトランポ仕様として人気がありますが、それぞれに特徴があります。両モデルを比較しながら、トランポとしての適性を見ていきましょう。
まず荷室のサイズについて、RK型の荷室長は約1800mm、幅は約1240mmです。一方、RP型は荷室長が約1850mm、幅は約1280mmとわずかに広くなっています。この差は大きくありませんが、大型バイクを積む場合には数センチの違いが重要になることもあります。
次に3列目シートの収納方式ですが、これは両モデルとも床下収納式を採用しています。これがステップワゴンがトランポとして選ばれる大きな理由の一つで、他のミニバンに多い左右跳ね上げ式と比べて、荷室をより効率的に使うことができます。
床面の高さについては、RK型もRP型も比較的低床設計となっており、バイクの積み込みがしやすい構造になっています。特にRP型は、さらに低床化が進み、バイクの積み込みがより容易になっています。
安全装備の面では、RP型が大きく進化しています。RP型には「ホンダセンシング」と呼ばれる先進の安全運転支援システムが標準装備されており、長距離移動時の安全性が向上しています。また、新型モデルには「デジタルインナーミラー」や「パノラミックビューモニター」といった装備も用意されており、バイク積載時に後方視界が制限される状況でも安全な運転をサポートします。
燃費性能については、RP型が優れています。特にハイブリッドモデルは、長距離移動でも経済的です。RK型も5ナンバーサイズのため税金面で有利ですが、燃費面ではRP型に軍配が上がります。
価格面では、RK型が中古市場で手頃な価格で入手できるため、初めてトランポを作る方には適しています。一方、RP型は新しいモデルのため価格は高めですが、最新の安全装備や燃費性能を重視する方には魅力的な選択肢となります。
トランポキットの互換性については、基本的な構造が似ているため、多くのキットは両モデルで使用可能です。ただし、細かい寸法が異なるため、床板キットなどは各モデル専用のものを選ぶことをおすすめします。
総合的に見ると、コストパフォーマンスを重視するならRK型、最新の安全装備や燃費性能を重視するならRP型が適しています。どちらも優れたトランポベースとなる車種ですので、自分のニーズや予算に合わせて選ぶとよいでしょう。
ステップワゴンに大型バイクを積載する際には、いくつかのコツや注意点があります。特に600cc以上のスポーツバイクやフルサイズのオフロードバイクなど、重量のあるバイクを安全に積むためのテクニックを紹介します。
まず、シートアレンジが重要です。大型バイクを積む場合は、基本的に2列目シートの右側(または両方)を取り外す必要があります。ステップワゴンRK型やRP型の2列目シートは、14mmのボルト2本で固定されているため、比較的簡単に取り外すことができます。ただし、シート自体はかなり重いので、取り外し作業は2人で行うか、慎重に作業することをおすすめします。
バイクを積み込む際には、エンジンをかけて自走で積み込む方法と、エンジンを切って押し込む方法があります。大型バイクの場合は、エンジンをかけて半クラッチ操作で自走させる方が安全です。この際、排気ガスによる車内の汚れや臭いを防ぐため、エンジンの暖機運転は事前に済ませておくとよいでしょう。
ラダー(スロープ)の選択も重要です。大型バイクを積む場合は、耐荷重200kg以上のしっかりしたラダーを使用することをおすすめします。また、ラダーの角度が急すぎると積み込みが困難になるため、できるだけ緩やかな角度になるよう設置しましょう。ラダーが動かないよう、ベルトで車体に固定することも忘れないでください。
バイクを車内に固定する際は、前後左右からしっかりと固定することが重要です。特に大型バイクは重心が高いため、走行中に転倒するリスクが高くなります。タイダウンベルトは4本以上使用し、バイクの前後をクロスさせるように固定するのが基本です。また、サスペンションを少し沈ませた状態で固定すると安定性が増します。
大型バイクを積載した状態での運転には特に注意が必要です。重量物を積んでいるため、制動距離が長くなったり、カーブでの安定性が低下したりします。また、後方視界も制限されるため、バックミラーやバックカメラを活用し、慎重な運転を心がけましょう。
燃費面でも影響があります。大型バイクを積載すると、車両の総重量が増加するため、通常よりも燃費が悪化します。長距離移動を計画している場合は、この点も考慮に入れておくとよいでしょう。
最後に、大型バイクを積載する際の法的な注意点もあります。バイクが車両の後方に大きくはみ出す場合は、赤い布などで目印をつける必要があります。また、ナンバープレートや灯火類が隠れないよう注意することも重要です。
これらのテクニックを活用することで、ステップワゴンでも大型バイクを安全に運搬することが可能になります。事前の準備と適切な固定を心がけ、安全なトランポライフを楽しみましょう。
ステップワゴンをトランポ仕様にカスタマイズすると、バイク積載だけでなく様々な用途に活用できることをご存知でしょうか。トランポ仕様の広くフラットな荷室は、多目的スペースとして大いに活用できます。
まず注目したいのが車中泊です。トランポ用に作った床板は、そのままベッドプラットフォームとして使用できます。床板の上に車中泊用のマットレスを敷けば、快適な寝床の完成です。特にバイクツーリングと組み合わせれば、バイクで走った後にその場で泊まることができ、ホテル代の節約にもなります。
さらに、床板の一部を改造して収納スペースを作ることも可能です。床板に蝶番を取り付け、開閉できるようにすれば、その下のスペースを有効活用できます。ここにはキャンプ用品やツーリング用品などを収納しておくと便利です。
アウトドア愛好家にとっては、トランポ仕様のステップワゴンは最高のパートナーとなります。バイクだけでなく、自転車やカヤック、サーフボードなども積載可能です。床板にはアンカーポイントを増設しておくと、様々な荷物を固定するのに役立ちます。
また、床板の上に簡易キッチンを設置することも可能です。カセットコンロや折りたたみ式のテーブルを用意しておけば、アウトドアでの調理も快適に行えます。特に雨天時や虫の多い場所では、車内で調理できることが大きなメリットとなります。
移動販売や出張サービスなどの小規模ビジネスにも活用できます。フラットな荷室は商品や機材の運搬に最適で、イベント出店などにも便利です。この場合、床板は耐荷重性を高めるために、厚めのコンパネを使用するとよいでしょう。
冬季のスノーボードやスキーツーリングにも適しています。長い板も車内に収納でき、濡れた用具を積んでも床板があれば車内が汚れる心配がありません。また、着替えのスペースとしても活用できるため、ゲレンデでの快適性が大幅に向上します。
さらに、トランポ仕様のステップワゴンは、災害時の避難車両としても役立ちます。広いスペースには非常用品や食料を積載でき、必要に応じて寝泊まりすることも可能です。日常使いの車が非常時にも役立つのは大きな安心感につながります。
これらの活用法を考慮すると、トランポキットへの投資は単なるバイク積載のためだけでなく、ライフスタイル全体を豊かにするための投資と言えるでしょう。用途に合わせてカスタマイズを工夫することで、ステップワゴンの可能性は無限に広がります。
バイク積載と他の用途を両立させたい場合は、取り外しやすい床板システムを構築することがポイントです。使用シーンに応じて、素早く車内をアレンジできるようにしておくと便利です。