スタッド溶接の資格が必要な理由と2種類の取得方法

スタッド溶接の資格が必要な理由と2種類の取得方法

スタッド溶接の資格が必要かどうかを種類別に徹底解説

スタッド溶接に使う溶接機が市販されているため、資格なしでも問題ないと思っているなら、無資格作業で会社が50万円の罰金を受けるリスクがあります。


この記事でわかること
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必要な資格の種類

スタッド溶接には「スタッド溶接技術証明書」と「アーク溶接等特別教育修了証」の2種類が必要。それぞれ異なる目的の資格です。

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取得にかかる費用・日数

アーク溶接等特別教育は3日間・約1万5千〜3万円。スタッド協会のA級試験は学科+実技で合格後に証明書が発行されます。

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有効期限と失効リスク

スタッド溶接技術証明書の有効期限は3年。期限切れのまま作業を続けると資格が失効し、現場で突然の就業停止になるリスクがあります。


スタッド溶接の資格が2種類必要になる理由





「スタッド溶接を始めたいけれど、資格って本当に必要なの?」と疑問に感じる方は少なくありません。結論から言うと、仕事として施工する場合は2種類の資格が必要です。


スタッド溶接の施工には、まず一般社団法人スタッド協会が発行する「スタッド溶接技術証明書」が求められます。これはスタッド協会が主催する技術検定試験に合格した者に交付されるもので、日本建築学会鉄骨工事規格を根拠とした業界標準の資格です。現場でスタッドガンを使って施工できるのは、この資格保持者のみとされています。


もう一つは、労働安全衛生法に基づく「アーク溶接等特別教育」の修了証です。スタッド溶接はアーク放電の原理を使った溶接方法の一種であるため、法律上アーク溶接に分類されます。つまり、スタッド溶接技術証明書だけを持っていても、アーク溶接等特別教育を受講していなければ職場での就業は認められません。2種類の資格が必要というのが原則です。


この2種類の組み合わせが必要な点を、多くの方が見落としています。建設現場や工場でスタッド溶接を依頼された際、片方しか持っていないと就業を止められるケースもあります。事前に両方を揃えておくことが重要です。


なお、もし会社が無資格の従業員にスタッド溶接を行わせた場合、労働安全衛生法違反として6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されるおそれがあります。個人が趣味のDIYで自宅の庭に施工するなど、雇用関係のない個人作業では法的罰則が直接適用されないケースもありますが、仕事として請け負う場合は必ず両方を取得した上で作業に臨む必要があります。


スタッド協会 技術検定試験のご案内(資格の種別・作業範囲・有効期間の詳細)


スタッド溶接技術証明書のA級・B級・F級の違いと作業範囲

スタッド溶接技術証明書には、基本級(A級)と専門級(B級・F級)の3種類があります。これを理解していないと、「資格はあるのに現場で施工できない」という事態が起きます。


まず最初に取得するのがA級(基本級・下向き)で、スタッド軸径22mm以下の下向き溶接ができます。受験資格は「3ヶ月以上のスタッド溶接補助業務の経験を持つ15歳以上の者」です。試験は学科(60分・100点満点中70点以上で合格)と実技の2段階で行われ、両方に合格してはじめて証明書が発行されます。


| 級 | 資格種別 | 作業範囲 |
|---|---|---|
| A級 | 基本級(下向) | スタッド軸径22mm以下・下向き溶接 |
| B級 | 専門級(全姿勢) | 軸径16mm以下の横向き・上向き、軸径22mm以下の下向き |
| F級 | 専門級(太径) | スタッド軸径25mm以下・下向き溶接 |


B級とF級は専門級と呼ばれ、A級取得後1年以上のスタッド溶接業務経験が必要です。つまり、専門級から直接受験することはできません。B級は全姿勢(横向き・上向きを含む)に対応できるため、建設現場で最もニーズが高く、F級は太径スタッドに特化しています。


「A級さえあればどんな現場でも働ける」とは限りません。たとえば、梁の横向き面にスタッドを打つ場合はB級が必要で、A級しか持っていないと施工できない範囲が生じます。資格の取得プランを立てる際は、自分が携わる予定の現場の作業条件を事前に確認しておくことが賢明です。


A級取得後に実務経験を積みながらB級・F級を目指すのが、スタッド溶接職人としての一般的なキャリアパスです。資格があれば多くの現場で引く手あまたの存在になれるため、できるだけ早期に計画的に取得を目指すことをおすすめします。


スタッド溶接に必要な資格の種類と作業範囲(A級・B級・F級の詳細解説)


アーク溶接等特別教育の受講方法・費用・日数の目安

アーク溶接等特別教育は、スタッド溶接を仕事で行うために欠かせない、もう一本の柱です。受講しなければ法律上スタッド溶接業務に就くことができません。


受講は全国の労働安全衛生団体や民間の教習機関で受けられます。講習内容は学科と実技に分かれていて、学科では「アーク溶接等に関する知識」「溶接装置に関する基礎知識」「作業の方法に関する知識」「関係法令」の4科目を合計11時間受講します。実技では実際に溶接装置を操作する10時間の訓練があり、合計21時間・3日間のカリキュラムが標準です。


費用は機関によって異なりますが、テキスト代を含めた相場は15,000円〜30,000円(税込)程度です。学科だけであれば1.5日で修了できる機関もあります。受講修了後は原則当日に修了証が交付されるため、急いで資格を取りたい場合でも比較的スムーズに対応できます。


費用が心配な場合、人材開発支援助成金(特定訓練コース) の活用が選択肢のひとつです。事業者が従業員に受講させる場合に、条件を満たせば受講料の一部が助成される制度で、経費の一定割合と賃金相当額が支給されます。ただし事前の計画届が必要なので、会社として利用を検討する場合は早めに確認しておくとよいでしょう。


アーク溶接等特別教育にはスタッド溶接技術証明書と異なり、更新や有効期限がありません。一度修了すれば生涯有効な修了証として使えます。これは便利ですね。一方、スタッド溶接技術証明書は3年ごとに更新手続きが必要な点と対照的です。


スタッド溶接に必要な2つの資格(スタッド溶接技術証明書とアーク溶接等特別教育の違い)


スタッド溶接の資格の有効期限と更新・失効の注意点

スタッド溶接技術証明書には3年間の有効期限があります。これを知らずに放置していると、気づいたときには資格が失効している、という状況になりかねません。有効期限は必ず管理しておく必要があります。


有効期限が近づいたら、期限の3ヶ月前までにスタッド協会へ継続手続の申請を行う必要があります。継続手続をするためには、申請前1年以内にスタッド協会が開催する講習会を受講し、その受講証明書を提出することが条件です。さらに、過去3年間の実績記録をもとに「継続してスタッド溶接作業に従事していること」が書類審査で確認される必要があります。継続が認定されると、さらに3年間有効期限が延長された新しい技術証明書が交付されます。


6年目以降も資格を維持するには更新試験の受験が必要です。継続手続による延長は1回(3年間)のみで、その後は試験を受けて合格しなければなりません。更新試験も受験前に講習会の受講が必要なため、計画的なスケジュール管理が求められます。


では、うっかり有効期限を過ぎてしまったらどうなるでしょうか?有効期限を超えても3ヶ月以内であれば、検定委員会の了承を経て失効後の手続きが可能です。この場合の新しい有効期間は失効日から起算して3年間となります。ただし3ヶ月を過ぎると完全に資格が失効し、新規受験からやり直しになります。


| ケース | 対応方法 |
|---|---|
| 期限3ヶ月前まで | 講習会受講 + 継続手続申請 |
| 期限後3ヶ月以内 | 失効後手続き(委員会了承が必要) |
| 期限後3ヶ月以降 | 資格失効 → 新規受験が必要 |


3ヶ月前が期限管理の分岐点です。手帳やスマホのカレンダーに有効期限の3ヶ月前を通知登録しておくだけで、このリスクは十分に回避できます。


スタッド協会 資格の継続手続(有効期限・申請要件・失効後の対応)


自動車板金DIYで使われるスタッド溶接機は資格不要?CD方式の特例

「ネットでスタッド溶接機を買って車のへこみを自分で直している」という方をよく見かけます。実はここには、一般の方がほとんど知らない重要な区別があります。


車のボディのへこみ修理に使われる市販の板金用スタッド溶接機の多くは、CD方式(コンデンサ放電方式)スタッド溶接機です。CD方式は、コンデンサに蓄えた電気を1,000分の3〜6秒という極短時間で放電し、熱影響を最小限に抑えながらスタッド(金属ピンやワッシャー)を母材に溶接する方式です。母材の裏側に熱がほとんど伝わらないため、薄い鋼板(自動車のボディなど)に向いています。


このCD方式については、専用溶接機のメーカーである日本ドライブイット株式会社が「溶接の資格や経験は必要ありません」と明示しています。これは、CD方式が操作の簡便性を前提に設計されており、電源をセットして溶接ガンのトリガーを引くだけで溶接が完了する仕組みだからです。趣味・DIYの範囲で個人使用する分には、資格なしで使うこと自体が法的に問題になるわけではありません。


ただし、注意が必要な点がいくつかあります。


- 🔴 仕事として他人の車を修理する場合は、労働安全衛生法の適用範囲となりアーク溶接等特別教育の受講が求められる可能性があります
- 🔴 建設現場・鉄骨工事向けの頭付きスタッド溶接は、CD方式とは別の技術規格が適用されるため、スタッド協会の資格が必要です
- 🟡 市販の板金スタッド溶接機はあくまで補修用途が前提で、強度が要求される構造部材への使用は想定されていません


CD方式による自動車板金のDIYは、個人が自分の車を修理する限りにおいては特段の資格が必要ない例外的なケースです。ただし、安全に扱うためには保護メガネや防炎手袋の着用が必要ですし、スパッタ(溶接時の火花)の飛散による火災リスクにも十分な注意が必要です。


DIYでボディ修復を検討しているなら、Amazonや楽天で1万〜3万円台で販売されている板金用スタッド溶接機(100V対応品)が入手しやすいです。使用前に必ず取扱説明書で安全手順を確認してから作業するのが基本です。


日本ドライブイット株式会社 CDスタッド溶接とは(資格不要の根拠・仕組みの詳細)




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