

衝突被害軽減ブレーキは、車両前方に設置されたカメラやレーダーなどのセンサーを使って、前方の車両や歩行者、障害物をリアルタイムで検知するシステムです。システムが衝突の危険性を判断すると、まずドライバーに音や警告灯で警告を発し、それでもドライバーが回避行動を取らない場合には自動的にブレーキを作動させます。
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検知方式には主に3つのタイプがあります。単眼カメラ方式は1台のカメラで物体の種類や距離を計算し、ステレオカメラ方式は人間の眼のように2つのカメラで立体的に距離を測定します。レーダー方式は電波を使って障害物との距離や速度を測定し、雨天時にも比較的強い特性を持ちます。
参考)衝突被害軽減ブレーキとは?センサーの違いや安全な車の選び方
最新の軽自動車では、これらの複数のセンサーを組み合わせた「デュアルセンサー」方式を採用するモデルも増えており、検知精度が大幅に向上しています。スズキのスペーシアやワゴンRスマイルに搭載される「デュアルセンサーブレーキサポートⅡ」は、車両や歩行者、自転車だけでなく、自動二輪も検知可能です。
参考)2025年 安全な車ランキング【軽自動車編】 - 新車情報の…
国土交通省は2020年1月に保安基準を改正し、新型車への衝突被害軽減ブレーキの搭載を段階的に義務付けました。2021年11月以降に国内で発売される国産の新型乗用車には、衝突被害軽減ブレーキの搭載が必須となっています。
参考)衝突軽減ブレーキ(AEB)とは|義務化の背景や仕組みなどにつ…
輸入車の新型車については2024年7月から義務化が適用され、国産の継続生産車は2025年12月から対象となります。軽トラックについては2027年9月から適用される予定で、これにより2028年にはすべての新車に衝突被害軽減ブレーキが搭載されることになります。
参考)衝突被害軽減ブレーキの搭載義務化はいつから?後付けは出来るの…
義務化の基準として、静止車両、走行車両、横断歩行者、横断自転車に対して試験を行い、所定の制動要件を満たすことが求められます。エンジン始動のたびにシステムは自動的に起動してスタンバイし、緊急制動の開始前までに警報することも要件に含まれています。
軽自動車は普通車に比べてボディサイズが小さく、衝突時の安全性が重要な課題となるため、衝突被害軽減ブレーキをはじめとする予防安全装備が不可欠です。2025年の安全性能ランキングでは、スズキスペーシアがクラストップレベルの予防安全性能を獲得しています。
安全性の高い軽自動車を選ぶ際には、自動ブレーキの検知対象を確認することが重要です。多くのモデルが車両と歩行者、自転車を検知しますが、スペーシアやワゴンRスマイルは自動二輪も検知可能で、右左折時の歩行者と自転車、右折時の対向車両も検知できます。
参考)【2025年最新版】軽自動車の安全装備を徹底解説!メーカー別…
日産デイズやルークス、サクラは得点率92%で高評価を獲得しており、後側方車両接近警報や後退時車両接近警報など、車線変更やバック時の衝突リスクを軽減する装備が充実しています。ホンダのN-BOXは全車速対応のACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKAS(車線維持支援システム)の組み合わせが強力で、高速道路での運転負担を軽減します。
参考)【2024年】軽自動車の安全性能比較! 安全でおすすめな軽自…
予防安全性能だけでなく、SOSコールやヘルプネットといったコネクティッド技術を使った安全装備も選択肢として検討する価値があります。万が一の事故時に自動で緊急通報を行うこの機能は、少々高価になりますが、救命率を高める効果が期待できます。
2025年 安全な車ランキング【軽自動車編】
軽自動車の最新安全性能比較と各モデルの詳細な評価が掲載されています。
衝突被害軽減ブレーキを搭載した車両には、自動車保険の「ASV割引」が適用されます。発売後約3年以内の型式で衝突被害軽減ブレーキが搭載されている車両が対象となり、保険料が最大9%割引されます。
参考)https://hoken.kakaku.com/kuruma_hoken/topics/trend/05.html
この割引制度は2018年1月1日以降、損害保険料率算出機構が「型式別料率クラス」の仕組みを改善し、自動ブレーキの装着の有無によって保険料を区分するための保険料係数を導入したことで実現しました。発売から約3年経過すると、衝突被害軽減ブレーキの効果を反映した十分な事故データが集まり、ASV割引は型式別料率クラスに直接反映される仕組みに変わります。
参考)衝突被害軽減ブレーキが付いているのに、ASV割引の対象となら…
割引がなくなるわけではなく、割引の仕組みが変わるだけなので、安全装備の効果は保険料に継続的に反映されます。保険会社によっては、こうした先進安全装備を搭載した車両に対して独自の割引を提供している場合もあり、保険料の比較検討が重要です。
衝突被害軽減ブレーキ搭載車は中古市場でも高い需要があり、リセールバリューが高いという特徴もあります。長期的なコスト削減にもつながるため、購入時の初期投資以上の経済的メリットが期待できます。
衝突被害軽減ブレーキは「自動ブレーキ」と呼ばれることが多いため、車両が自動的に危険を回避しぶつからない機能だと誤解されがちですが、正確には衝突した際の被害を軽減するもので、この機能があっても決してぶつからないわけではありません。ドライバーの責任ある運転が常に重要であり、システムの過信は禁物です。
参考)過信は絶対禁物!! 衝突軽減ブレーキ(AEB)が作動しない条…
悪天候時には特に注意が必要で、JAFの検証によると雨量1時間80mmの豪雨では時速40kmで障害物を検知できず、自動ブレーキが作動せずに衝突する事例が確認されています。雨量が多いとカメラやレーダーなどのセンサーによる検知が不正確になり、十分な効果が発揮されないことがあります。
参考)衝突被害軽減ブレーキ 豪雨で検証(JAFユーザーテスト)
圧雪路や氷盤路などの滑りやすい路面では、衝突被害軽減ブレーキが十分に効果を発揮できない場合があります。路面の摩擦係数が低いと制動距離が伸びるため、システムが作動しても衝突を回避できない可能性が高まります。
参考)衝突被害軽減ブレーキ 圧雪路と氷盤路で検証(JAFユーザーテ…
衝突被害軽減ブレーキのシステムが適切に作動するためには、日常的なメンテナンスが欠かせません。特にカメラやレーダーが設置されている前方のフロントガラスは常に清潔に保つ必要があり、汚れや氷雪、水滴が付着しているとセンサーの検知精度が低下します。youtube
参考)アウトランダー 取扱説明書
取扱説明書を熟読し、システムの特性や作動条件、限界を正しく理解することが重要です。希な事例ではありますが、衝突の可能性が高くないと考えられる状況でも、使用する環境や条件が重なることによって衝突被害軽減ブレーキが不要作動する場合があります。
参考)「通称href="https://kuruma-news.jp/post/868762" target="_blank">https://kuruma-news.jp/post/868762quot;自動href="https://kuruma-news.jp/post/868762" target="_blank">https://kuruma-news.jp/post/868762quot;ブレーキ」は雪道でも「効く」!? 先進機能の「…
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予期せぬ作動に慌てず対処するため、急なブレーキがかかるおそれがあるのでシートベルトを必ず着用し、トラックでは荷物を固縛しておくことが推奨されます。システムが作動し車両が停止した後に、車両が動き出さないように慌てずブレーキを踏むようにすることも大切です。youtube
エンジンオイルやフィルター交換も軽自動車の性能維持には重要で、およそ半年に一度の交換がおすすめです。適切なメンテナンスを行うことで、軽自動車の安全装備を含めた全体的な性能を保ち、長期間にわたって快適で安全なドライブが可能になります。
参考)軽自動車の寿命はどれくらい?維持費を抑えつつ乗り続けるメンテ…
ドライバーを支援する最新システム「先進安全自動車(ASV)の機能紹介」
JAFによる衝突被害軽減ブレーキを含む各種先進安全装備の詳しい解説と動画が閲覧できます。