
セレナC26は2010年から2016年まで販売された日産の人気ミニバンです。広い室内空間や使い勝手の良さから、ファミリーカーとして多くの支持を集めましたが、いくつかの欠点や故障しやすい箇所があることでも知られています。これから中古車としてセレナC26の購入を検討している方は、これらの欠点を事前に把握しておくことで、購入後のトラブルを回避できるでしょう。
セレナC26の最も深刻な欠点として挙げられるのが、オルタネーター(ジェネレーター)の故障です。オルタネーターはエンジンの動力を利用して電気を発生させる装置で、バッテリーの充電や車の電装品への電力供給を担っています。
C26型セレナでは、このオルタネーターが故障しやすいという特徴があります。故障すると以下のような症状が現れます。
特に深刻なのは修理費用の高さです。オルタネーターの交換修理には、部品代と工賃を合わせて15万円以上かかるケースが多いとされています。これは中古車として購入する際の価格を考えると、非常に大きな負担となります。
オルタネーターの故障は走行距離が増えるにつれて発生リスクが高まりますが、5万km程度の比較的低走行距離の車両でも発生することがあります。購入前には必ずバッテリーの状態やチャージランプの点灯有無を確認し、可能であれば電装系統の診断を受けることをおすすめします。
セレナC26に関する不満の中で特に多いのが、加速の鈍さやもたつき感です。これはMR20DD型2.0Lエンジンと、それを制御するECU(エンジンコントロールユニット)の設定に起因しています。
具体的な症状
この問題は、車両の重量(約1.6トン)に対して2.0Lという排気量が必ずしも十分ではないことと、燃費を優先したECUの制御設定によるものです。特に坂道や高速道路の合流など、しっかりとした加速が必要な場面では不安を感じるドライバーも少なくありません。
改善策としては、ECUの書き換え(リプログラミング)という方法もありますが、これは燃費の悪化を招くため、トレードオフとなります。また、エンジンオイルを定期的に交換し、エアフィルターの目詰まりを防ぐことで、ある程度の改善が期待できます。
セレナC26は、高さのあるボディ形状と柔らかめのサスペンション設定により、走行安定性に課題があります。特に以下のような点が指摘されています。
これらの問題は、ミニバンという車種特性上ある程度は避けられないものですが、C26型セレナでは特に顕著だという声が多いです。3列目シートが車体後方に配置されていることと、リアサスペンションに安価なトーションビーム式を採用していることが、後席の乗り心地の悪さにつながっています。
家族で長距離ドライブをする機会が多い方は、この点を十分に考慮する必要があるでしょう。改善策としては、高性能なショックアブソーバーへの交換や、タイヤの銘柄・空気圧の見直しなどが考えられますが、根本的な解決は難しいのが実情です。
セレナC26オーナーから多く報告されているのが、内装各所からの異音の問題です。特に以下の箇所からの異音が目立ちます。
これらの異音は、温度変化(特に寒い時期)で顕著になる傾向があります。プラスチック部品の収縮・膨張や、金属部品の緩みが主な原因と考えられています。
ディーラーに修理を依頼しても「感覚的な異音」として対応されないケースも多く、オーナーにとっては悩みの種となっています。対処法としては、内装パネルの隙間にフェルトテープを貼る、ゴムパッキンにシリコンスプレーを塗布するなどの自己対策が効果的な場合もあります。
購入前の試乗では、静かな環境でじっくりと異音のチェックをすることをおすすめします。また、中古車選びの際には、内装の状態が良好で、オーナーが丁寧に扱ってきた車両を選ぶことが重要です。
セレナC26のシート設計にも、いくつかの欠点が指摘されています。特に以下の点が使い勝手に影響しています。
これらの問題は、日常使いでは気にならないレベルかもしれませんが、長距離ドライブや車中泊などを頻繁に行う方にとっては重要なポイントとなります。
改善策としては、市販のクッションや専用のマットを使用する方法がありますが、根本的な設計の問題は解決できません。購入前には、実際に全席に座ってみて、自分や家族の体型に合うかどうかを確認することをおすすめします。
セレナC26のカタログ燃費はJC08モードで14.2km/L(2WD車)とされていますが、実際の使用では10km/L前後という声が多く聞かれます。この燃費の乖離には以下のような要因が考えられます。
特に市街地走行や短距離の使用が多い場合、燃費は更に悪化する傾向にあります。また、エアコンの使用も燃費に大きく影響します。
燃費向上のためのポイント
などが挙げられます。ただし、ミニバンという車種特性上、燃費性能に過度の期待をするのは現実的ではないでしょう。
セレナC26を中古車として購入する際は、これまで挙げた欠点を踏まえて、以下のポイントを特に注意深くチェックすることをおすすめします。
特に重要なのは、オルタネーターの状態と販売店の保証内容です。オルタネーターが故障した場合の修理費用は高額になるため、できれば保証に含まれていることが望ましいでしょう。
オルタネーター以外にも、セレナC26では以下のような故障リスクが報告されています。
これらの故障リスクを軽減するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。特に以下のポイントに注意しましょう。
また、10万km超の車両では、冷却ホースやサーモスタットなどのゴム部品も劣化している可能性が高いため、点検・交換を検討すべきでしょう。
セレナC26には確かに欠点がありますが、広い室内空間や使い勝手の良さなど、ファミリーカーとしての魅力も多く備えています。購入を検討する際は、欠点と長所を総合的に判断することが重要です。
購入判断のポイント
セレナC26は、2010年から2016年までの間に様々なマイナーチェンジが行われています。可能であれば、後期型(2013年以降)の方が、いくつかの不具合が改善されている可能性があります。
また、購入前には必ず試乗を行い、加速感や乗り心地、異音などを自分で確認することをおすすめします。ディーラーや中古車販売店での購入であれば、不安な点は遠慮なく質問し、納得のいく回答が得られるかどうかも重要な判断材料となるでしょう。
セレナC26の後継モデルであるC27型(2016年〜2022年)、そして最新のC28型(2022年〜)では、C26型の欠点がどのように改善されているのかを知ることも、購入判断の参考になります。
C27型での主な改善点。
ただし、C27型でも以下の点は引き続き課題とされています。
最新のC28型では。
価格面では、C26型が最もリーズナブルで、C27型、C28型と新しくなるにつれて高額になります。予算と欲しい機能のバランスを考慮して選ぶことが大切です。
C26型セレナは、欠点はあるものの、価格の手頃さと広い室内空間を考えれば、予算重視のファミリーカーとして十分な選択肢となります。ただし、オルタネーターなどの故障リスクを考慮し、できるだけ保証の充実した車両を選ぶことをおすすめします。