

500円のハイローコンバーターと3,000円のものでは、聴こえ方が別の車になるほど音質が変わります。
カーオーディオを本格的に楽しもうとすると、必ずと言っていいほど「RCA出力がない」という壁にぶつかります。市販の社外デッキには赤・白のRCAジャック(ピンジャック)が備わっていることが多いですが、純正ナビやメーカーオプションナビの大半はRCA出力を持っていません。では、外部アンプやサブウーファーをつなぐにはどうすればいいのか。ここで登場するのが「ハイローコンバーター(Hi-Lo Converter)」です。
ハイローコンバーターとは、スピーカー出力(ハイレベル信号)をアンプやプロセッサーが受け取れるRCAライン出力(ローレベル信号)に変換する機器のことです。スピーカー用の信号は、内蔵アンプがすでに増幅済みの電力信号であるため、そのままRCA入力端子に流し込むと機器を破損させる危険があります。ハイローコンバーターはその「電圧を落とす」役割を担っています。
RCAケーブル自体の構造はシンプルで、中心のピン(+信号)と外側のシールド(-信号)の2層構造になっています。赤が右チャンネル、白が左チャンネルというのがスタンダードな色分けです。アナログ音声信号もデジタル信号も同じ端子形状で送れることから、非常に古い機器から最新の機器まで共通して使われているのが特徴です。
つまり基本の流れはこうです。
| 接続の流れ | 役割 |
|---|---|
| 純正ナビ / 内蔵アンプ | 音楽信号を増幅してスピーカーへ出力 |
| ハイローコンバーター | スピーカー信号をRCAレベルに降圧・変換 |
| RCAケーブル | 変換後の信号を外部アンプへ伝送 |
| 外部アンプ | 再増幅してスピーカーを駆動 |
スピーカー信号を取り出すのは「割り込ませる」イメージです。純正ナビから来たスピーカーラインを、ハイローコンバーターの入力端子にそのまま接続し、コンバーターのRCA出力からケーブルを外部アンプへ引きます。スピーカー自体への信号も同時に流せるため、既存のスピーカーを鳴らしながら外部アンプを追加することも可能です。
変換後の信号が原則です。このRCA信号は非常に微弱で、スピーカーケーブルに流れる信号の数十分の一以下の電圧しかありません。そのため、ここからの取り扱いが音質と音量感を大きく左右します。
DIY Labo:純正ナビに外部アンプ(パワーアンプ)をつなげたい時に便利な「変換器」の解説ページ
ハイローコンバーターには大きく分けて2種類の方式があります。「抵抗分圧式(パッシブ式)」と「トランス式(トランスデューサー式)」です。この違いを知らずに選ぶと、後から音質の問題やノイズで悩むことになりかねません。
抵抗分圧式は、電気抵抗を使って単純に電圧を下げる方式です。構造がシンプルなため価格が安く、Amazonなどで500〜1,500円程度で入手できます。ただし、アースの取り回しやアンプのグラウンド構成によっては、「ブーン」という低音域のノイズ(いわゆるオルタネーターノイズ)が乗りやすいという弱点があります。コストを最優先にするならアリですが、音質を求めるなら要注意です。
トランス式は、磁気結合によって電気的に絶縁しながら信号を伝えます。電源ライン側のノイズがRCA信号側に回り込みにくいため、カーオーディオ特有のノイズ問題を大幅に抑えられます。価格は2,000〜10,000円前後と幅があり、ビートソニックのTL-20Bシリーズ(実勢価格:6,000〜8,000円前後)やオーディオテクニカのAT-HLC130(2,000〜3,000円前後)が定番です。音質の原則はトランス式です。
| 方式 | 価格帯 | ノイズ耐性 | 音質傾向 |
|---|---|---|---|
| 抵抗分圧式 | 500〜1,500円 | △(ノイズが乗りやすい) | やや劣る |
| トランス式 | 2,000〜10,000円 | ◎(電気的に絶縁) | 良好 |
選ぶ際にもう一点注意したいのが「チャンネル数」です。フロント2chだけなら2chタイプで十分ですが、フロント・リアすべてを変換したい場合は4chタイプが必要です。また、サブウーファー専用に使う場合は2chを1chとして使うケースもあります。これは使えそうです。
さらに「ゲインコントロール(音量調整ネジ)付き」かどうかも確認してください。ゲイン調整ができると、接続先のアンプとのレベル合わせが格段にやりやすくなります。安価なモデルはゲイン固定のことも多いため、外部アンプのゲイン設定で辻褄を合わせる必要が出てきます。
実際の音質差は意外に大きく、同じ外部アンプを使っても500円の抵抗式コンバーター経由と、3,000円のトランス式コンバーター経由では、S/N比(信号対ノイズ比)に体感できる差が生まれます。
みんカラ:ハイローコンバーターの内部構造と抵抗式・トランス式の仕組みを詳しく解説したブログ記事
実際にハイローコンバーターを取り付ける場合、どのような手順で進めるのかを整理します。難易度自体はそれほど高くなく、内装の脱着とカプラーの抜き差しができれば多くの方がDIYで対応できます。
まず最初に、バッテリーのマイナス端子を必ず外してから作業を始めるのが鉄則です。通電したまま作業を行うと、スピーカー線がショートして内蔵アンプを損傷させるリスクがあります。作業前にこれだけは必須です。
次にスピーカーラインを取り出す場所を決めます。もっとも一般的なのはナビ裏(ヘッドユニット背面)からです。カーナビを取り外してコネクターを確認し、スピーカー出力の線(フロントL/R、リアL/Rそれぞれプラス・マイナス計8本)を特定します。コネクターに直接割り込ませるか、スピーカーケーブルの途中でカシメ端子やWAGOコネクターを使って非破壊分岐するかを選びます。
📋 取り付けの基本ステップ
- バッテリーマイナス端子を外す
- ヘッドユニット(ナビ)を取り外してスピーカー配線を確認する
- ハイローコンバーターの入力線をスピーカーラインに接続する(L/R各プラス・マイナス)
- コンバーターの出力RCA端子からRCAケーブルを延長して外部アンプへ接続する
- コンバーターをゲイン調整しながら動作確認する
- 内装を元に戻してバッテリー端子を接続する
ここで特に重要なのが、RCAケーブルの引き回しルートです。電源ケーブルやスピーカーケーブルと並走させると、ノイズを拾いやすくなります。RCAケーブルは車内の反対側(例:電源ケーブルが助手席側ならRCAは運転席側)を通すのが基本です。どうしても交差する場合は、直角に交差させることでノイズの影響を最小化できます。
ゲイン調整の目安として、ヘッドユニットの音量を最大の6〜7割程度(例:最大音量が40なら25〜28前後)に設定したとき、接続先のスピーカーが歪まずに適切な音量で鳴るようにコンバーターのゲインを合わせます。音量が6〜7割が原則です。これにより、RCAケーブル内を流れる信号がなるべく強い状態を保て、外来ノイズに負けにくくなります。
スピーカーケーブルを非破壊分岐してRCAに変換する具体的な方法とWAGOコネクターの使い方
カーオーディオにおいて、RCAケーブルを通る信号は車内の配線の中で最も微弱です。スピーカーケーブルには約1Wの電力が流れているのに対し、RCAラインの信号は数百ミリボルトレベルです。たとえるなら、スピーカーケーブルは「大声で話す声」、RCAの信号は「ひそひそ話」ほどの差があります。そのわずかな信号が、オルタネーター(発電機)やエンジンECU、エアコンモーターなどから発生する電気的ノイズの影響を受けやすいのです。
よく発生するノイズの種類と原因を整理すると以下のようになります。
| ノイズの種類 | 主な原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| オルタネーターノイズ(エンジン回転に連動するキーン音) | 電源ラインからの混入 | RCAを電源ケーブルと離す・アースポイント変更 |
| グラウンドループノイズ(ブーン音) | アース電位の差 | すべての機器のアースを1点集中で取る |
| デジタルノイズ | ナビのECUから | RCAに専用シールドケーブルを使う |
| 端子接触ノイズ | RCA端子が車体金属に触れている | 端子の絶縁を確認・テープ処理 |
意外に多いのが「端子の接触ノイズ」です。ヘッドユニット裏の使っていないRCA端子が車体フレームに触れてしまい、盛大なノイズを発生させることがあります。取り付け後に使用しないRCA端子にはキャップをするか、テープで絶縁しておきましょう。
RCAケーブルの長さにも注意が必要です。一般にRCA信号は5m以内の伝送であれば劣化はほぼ問題になりません。しかしそれ以上になると信号が弱まり、ノイズが乗りやすくなります。車内の全長を考えると、フロントのナビ裏からリアのトランク内アンプまで引く場合は3〜5mになるケースが多く、この範囲内であれば問題ありません。それ以上になる場合はシールド性能の高いケーブルを選ぶことが条件です。
ノイズが消えた時の感動は本当に大きいです。具体的な対策として、RCAケーブル自体をオーディオテクニカのAT-RCA10などシールド構造がしっかりしたものに変えるだけで、ノイズが半減するケースもあります。
ETERNAL AUTO:カーオーディオのノイズ発生原因と実践的な対処方法をまとめたページ
ハイローコンバーターをしっかり選んで取り付けたのに、思ったほど音が良くならない——そう感じたとき、意外に見落とされているのが「既存スピーカーケーブルの状態」です。これは検索上位の記事ではあまり触れられていない、実際に音に影響する盲点です。
純正の車両配線は、コストダウンのために非常に細いケーブルが使われていることがほとんどです。一般的な純正スピーカーケーブルは0.5sq(断面積0.5mm²)程度が多く、これはシャープペンシルの芯ほどの細さです。社外スピーカーケーブルで推奨される1.25〜2sqと比較すると、断面積で2〜4倍の差があります。
このケーブルが細いと何が起こるのか? 電気抵抗が高くなる分、スピーカーへ届くパワーが損失し、特に低域の力強さやダンピングファクター(スピーカー振動板の制動力)が低下します。外部アンプを追加してRCA変換で音質アップを狙っても、スピーカーへの最終区間のケーブルが細いままでは、その効果が半減してしまうのです。つまりスピーカーケーブルが条件です。
具体的には以下のような改善効果が期待できます。
- 純正0.5sqからの交換で、低音の輪郭が締まり量感が増す
- アンプのダンピングファクターが実質的に向上し、音の歯切れが良くなる
- 電圧降下が減るため、大音量時の歪みが低減する
スピーカーケーブルを引き直す場合、内装の脱着が必要になるため工数は増えますが、コスト自体はそれほど高くありません。1.25sq〜2sqのOFCスピーカーケーブルであれば、1メートルあたり200〜500円程度で購入でき、フロント2本分(各3〜4m)で2,000〜4,000円程度が相場です。RCA変換と合わせてトータルで音の流れを整えることで、カーオーディオの音質は格段に変わります。
また、純正スピーカーケーブルを引き直す際には同時に「デッドニング」(ドア内張りへの吸音・制振材施工)も検討すると相乗効果があります。ドア内部の振動や風切り音が減り、スピーカーの音がより直接的に聞こえるようになります。この情報を得た上でRCA変換の取り付けをすると、費用対効果が大きくなります。

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