パテ埋め車の補修をDIYで失敗しない完全ガイド

パテ埋め車の補修をDIYで失敗しない完全ガイド

パテ埋め車の補修を正しく知る基礎から失敗回避まで

DIYで修理できると思っていたのに、仕上がりが原因で売却査定が数万円単位で下がる人が続出しています。


🔧 この記事でわかること
🪣
パテの種類と正しい選び方

厚付け・薄付け・ファイバー・バンパーパテなど、場面ごとに使い分けが必要。間違えると剥がれ・割れの原因に。

🛠️
下地処理〜研磨の正しい手順

脱脂・足付け・パテ盛り・硬化・研磨の流れを番手(サンドペーパーの粗さ)込みで解説。工程を抜かすと即失敗。

💰
DIY失敗が引き起こすお金のリスク

雑な仕上がりのパテ跡は査定額を大幅に引き下げる要因に。プロとDIYのコスト差の「本当の話」も紹介。


パテ埋め車補修に使うパテの種類と選び方





カーショップの棚には複数種類のパテが並んでいますが、「どれでも同じだろう」と適当に選ぶと後悔します。パテには明確な役割の違いがあり、補修箇所の状態や素材に合わせて使い分けることが、仕上がりの品質を大きく左右します。


まず最も基本となるのが「厚付けパテ(板金パテ)」です。深さ1〜20mm以内、大きさ10cm以内の凹みに対応できる汎用性の高いタイプで、初心者でも扱いやすいとされています。ただし、肉持ちが良い分ピンホール(小さな気泡穴)ができやすく、最終仕上げには別のパテが必要です。


次に「薄付けパテ(仕上げパテ)」。厚付けパテで下地を作った後、表面の細かな凹凸やピンホールを埋めるために使います。目安は1mm以下の薄さで、これを超えると硬化しにくくなるため注意が必要です。仕上がりの滑らかさに直結する工程です。


「ファイバーパテ」はカーボン繊維が含まれており、硬化後の強度が非常に高いのが特徴です。穴あき補修や強度が必要な箇所に使われますが、研磨作業が大変になる点がデメリットです。硬度が必要な場所に限定して使うのが賢明です。


バンパーパテ」は樹脂製バンパー専用のタイプです。現代の車のバンパーはほぼ樹脂製(PP素材)であり、一般的な板金パテでは密着しにくい性質があります。バンパーパテはこの課題に対応していますが、さらに密着性を高めるためにプライマー(下塗り剤)を先に塗布することが推奨されています。


また「マフラーパテ」は高熱に耐えるための専用品です。排気管は走行中に数百度に達することもあり、一般的なパテを使うと溶けてしまいます。マフラーの補修では必ずマフラーパテを選んでください。


パテの種類 適した用途 厚みの目安
厚付けパテ(板金パテ) 深い凹み・大きな傷の下地づくり 最大20mm程度
薄付けパテ(仕上げパテ) 表面のピンホール・段差の仕上げ 1mm以下
ファイバーパテ 穴あき補修・強度が必要な箇所 厚盛り可能
バンパーパテ 樹脂製バンパーの傷・凹み 状況により異なる
マフラーパテ マフラーの亀裂・穴 薄く均一に


初心者の場合は厚付けと薄付けの2種類で十分です。


パーツに合ったパテを選ぶことが補修成功の第一歩です。ホームセンターやカー用品店で購入する際は、補修する箇所の素材(金属か樹脂か)と傷の深さを確認してから棚に向かうと、選択ミスを防げます。ソフト99などのメーカー製DIY向けキットには用途別のパテが揃っているため、初めての方には特におすすめです。


ソフト99補修ナビ|パテの種類と選び方(補修に必要なパテの詳細説明)


パテ埋め車補修の下地処理と足付けの正しい手順

パテ埋め作業で最もよく起きる失敗が「剥がれ」です。そしてその9割近くが、下地処理の手抜きに起因すると言われています。


下地処理の第一歩は「洗浄と脱脂」です。補修箇所を中性洗剤でしっかり洗い、乾燥後にシリコンオフ(脱脂スプレー)をウエスに含ませて拭き取ります。ワックスやシリコン系コーティング剤が残っていると、どれだけ丁寧にパテを盛っても密着せず、数ヶ月以内に浮き上がってきます。


次に行うのが「足付け」と呼ばれるサンドペーパーによる研磨です。塗装面を意図的に細かく傷つけることで、パテが食いつきやすくなる凹凸を作る工程です。この足付けを省略すると、ツルツルの面にパテを乗せることになり、接着力が著しく低下します。


サンドペーパーの番手は使う場面によって変えるのが基本です。


  • 🔹 80〜120番:塗装を剥がす段階・凹みの周囲を荒らす粗削り作業に使用。パテが最も食いつきやすい状態を作る
  • 🔹 120〜180番:厚付けパテを盛った後の荒削り研磨に使用。おおよその形を整えるフェーズ
  • 🔹 320〜400番:表面を整える中仕上げ段階に使用。段差を滑らかにしていく
  • 🔹 600〜800番:薄付けパテ研磨や塗装前の仕上げ研磨。ザラつきを取り除く最終工程


研磨作業では手だけで行わず、「当て板」にサンドペーパーを巻いて使うことが重要です。手のひらの丸みでサンドペーパーを持つと、力がかかった部分だけが削れて不均一な仕上がりになります。当て板を使うことで均一な圧力がかかり、平らに仕上げることができます。


脱脂と足付けが基本です。


補修面積が名刺サイズ(約9cm×5cm)以下の小さな傷でも、この工程は省略できません。たとえ小さな面積であっても、下地処理が不十分なら2〜3ヶ月後には境界部分からパテが浮いてきます。手間を惜しんだ分だけ、後の修正作業が増えると考えてください。


また、作業環境の管理も見落とせないポイントです。気温が15℃以下や湿度が70%以上の環境では、パテの硬化不良が起きやすくなります。夏の直射日光が当たる屋外や、冬の寒い車庫でのパテ作業は避け、適温・適湿の環境を整えてから作業を開始してください。


ソフト99工房|ボディのへこみキズ補修 下地処理編(動画付きの詳しい解説)


パテ埋め車補修のパテの盛り方と硬化・研磨のコツ

下地処理が完了したら、いよいよパテを盛る作業に入ります。ここで焦って分量を間違えると、あとの工程がすべて狂います。


まずパテの練り方から解説します。厚付けパテには「主剤」と「硬化剤」があり、使用前に混合する必要があります。目安の混合比率は製品ごとに異なりますが、硬化剤が少なすぎると永遠に固まらず、多すぎると表面だけが固まって内部が未硬化のままになります。重要なのは「グルグルかき混ぜる」のではなく、「台に押しつけるように伸ばしながら混ぜる」ことです。こうすることで気泡の混入を防ぎながら均一に混ぜられます。混ぜすぎると硬化が急激に進んで使い物にならなくなるため、手早く行うことが条件です。


パテを盛るときの基本的な流れは次の通りです。


  • 🔹 ステップ1:ヘラの先に力を入れて補修箇所に押し付けるように塗り込む。ヘラを寝かせた状態でスタート
  • 🔹 ステップ2:ヘラを45度に傾けて同じ方向にパテを広げる
  • 🔹 ステップ3:ヘラを70度ほどに立てて、表面を均一にならす。一度で盛りすぎず、薄く2〜3回重ねるのがコツ
  • 🔹 ステップ4:常温(20℃前後)で1時間ほど自然乾燥させて硬化を待つ


一度に10mm以上を厚塗りしてはいけません。内部と外部で硬化速度が変わり、収縮差からひび割れが生じます。薄く盛って乾燥させ、また盛るという工程を繰り返すことが、割れにくい仕上がりへの近道です。


硬化が完了したら研磨作業に移ります。最初は120〜180番の粗いサンドペーパーで全体のシルエットを整え、320〜400番で表面を滑らかにしていきます。ここでも当て板は必須です。研磨方向を縦・横・斜めと変えながら削ることで、均一な平面を作れます。


このフェーズは根気が必要です。


厚付けパテで形が整ったら、最後に薄付けパテを1mm以下の薄さで塗布し、残った微細なピンホールや凹凸を埋めます。薄付けパテが硬化したら600〜800番のサンドペーパーで仕上げ研磨を行い、触っても段差を感じない状態を目指します。


最終的にはプラサフ(プライマーサーフェイサー)を塗布することで、パテ面と塗装面の密着性を高め、かつ残っている微細な凹凸を拾い出せます。プラサフを吹いた後にガイドコートという薄い塗料をかけ、研磨して消えない部分=まだ凹んでいる部分を確認する方法はプロも実践しているテクニックです。


池内自動車コラム|板金パテの種類・盛り方・耐久年数をプロが解説


パテ埋め車補修でよくある失敗と原因・対処法

DIYによるパテ埋めでは、いくつかの典型的な失敗パターンがあります。それぞれの原因を知っておくと、作業前の対策に活かせます。


最も多い失敗が「パテが剥がれる」です。原因は脱脂不足・足付け不足・厚塗りの3つに集約されます。特に、ワックスを最近かけた直後の車はシリコンや油分が塗面に残りやすく、脱脂に通常の2倍ほどの時間をかける必要があります。剥がれが起きてしまった場合は、剥がれた部分をすべて80番程度のサンドペーパーで削り落としてから再施工するしかありません。


次に多いのが「パテにひび割れが入る」です。主に一度の厚塗りが原因です。パテは硬化の際に内部から収縮する性質があり、厚く盛るほどその力が大きくなります。特に気温が10℃以下の環境では硬化が遅くなり、不均一な収縮が起きやすくなるため注意が必要です。


「パテ痩せ」も初心者が驚く失敗のひとつです。乾燥前には十分埋まっていたように見えたのに、硬化後に表面が凹んでしまう現象です。これはパテに含まれる溶剤が蒸発することで体積が減るためで、完全に避けることはできません。そのため、最初からわずかに盛り上がる程度(0.5〜1mm)に多めに盛ることが現実的な対策です。


「塗装後にパテ跡が浮き出る」というケースもあります。塗装を重ねてやっと仕上がったと思ったら、数日後にパテとボディの境界線が透けて見えてくる現象です。これはパテが完全に硬化する前に塗装したことで、後から続く収縮が塗膜に現れるためです。パテ研磨後、最低12時間(気温が低い場合は24時間以上)乾燥させてから塗装に進むことが対策になります。


仕上げの塗装に失敗しても焦らないことが大事ですね。


なお、作業中に空気が入ってパテにピンホールができた場合は、完全硬化後に薄付けパテで埋め直す方法が有効です。ピンホールは小さいからといって塗装で隠そうとすると、塗膜が乾いた後に小さなクレーターとして現れてきます。必ず薄付けパテで埋めてから塗装に進んでください。


LASTHOPE|車のパテ埋めに失敗した場合のやり直し・リカバリー方法の解説


パテ埋め車補修のDIYが査定に与える意外なリスク

「修理してから売る方が高く売れる」という考えは、パテ埋めに関しては必ずしも正しくありません。むしろ、雑なDIY跡が原因で査定額が大きく下がるケースが多いのです。


査定士はライトを斜めに当てて塗面の微細な波打ちや色の違いを確認する専門家です。素人仕上げのパテ跡や色ムラは、一目で「DIY修理あり」と判断されます。ある査定サイトの情報では、DIYの補修跡が確認された場合、A4サイズ相当の補修箇所でも数万円単位のマイナス査定が発生するとされています。


さらに深刻なのは、不完全な下地処理でパテ埋めしたケースです。内部でサビが進行していたり、パテが浮いていたりすると、修理前よりも損傷が悪化した状態として評価され、場合によっては修理費用が上乗せで見積もられることがあります。


  • 買取査定に有利なパテ補修:プロが施工し、塗装面に段差・色ムラがない状態。板金修理歴があっても骨格(フレーム)への影響がなければ修復歴にはならない
  • 査定を下げるパテ補修:DIYの仕上がりが粗く、パテ跡・色ムラ・塗膜の段差が確認できる状態。査定士が見れば即座に判別可能


プロに依頼した場合の腕が良い業者であれば、パテの耐久年数は10年以上になることもあるとされています。一方、技術の低いDIYや業者の場合、3年程度で劣化が始まるケースもあります。3年後に剥がれたパテをさらに再補修する費用を考えると、最初からプロに頼む方がトータルで安くなる可能性は十分にあります。


コストを計算してから判断するのが賢明です。


修理規模別のプロへの依頼費用の目安は次の通りです。


補修箇所のサイズ目安 費用目安
カードサイズ以下(小さな傷) 1.5万〜3万円程度
A4サイズ相当(中規模の凹み) 3万〜6万円程度
50cm超の大きな凹み 5万〜10万円以上


DIYの材料費は数千円〜1万円程度から始まりますが、必要な道具(当て板・サンドペーパー各番手・脱脂剤・プライマー・塗料・クリア)を全て揃えると数万円になることも珍しくありません。失敗して材料を買い直せばさらに上乗せになります。


しかも、売却時にDIY失敗跡と判断されれば、修理費用を上回る減額が発生することもあります。小さな傷で車を近々売る予定がある場合、無理にDIY補修をせず、そのまま売却した方が結果的に得になるケースも多いです。傷の状態と売却時期を総合的に判断してから作業の必要性を検討してください。


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