内燃機関と外燃機関の違い|燃焼方式や熱効率を比較

内燃機関と外燃機関の違い|燃焼方式や熱効率を比較

内燃機関と外燃機関の違い

この記事のポイント
🔥
燃焼場所の違い

内燃機関は機関内部で燃料を燃焼させ、外燃機関は機関外部で燃焼させる仕組みです

⚙️
エネルギー変換効率

内燃機関は直接動力に変換するため高効率、外燃機関は間接的な変換のため効率が低めです

🚗
利用用途の違い

内燃機関は車や航空機など輸送機器に、外燃機関は発電所など大規模施設で活用されています

内燃機関とは?仕組みと特徴

内燃機関は、機関の内部で燃料を直接燃焼させて動力を得る熱機関です。燃料と空気の混合気をシリンダー内で燃焼させ、その高温高圧のガスがピストンを押し下げることで機械的なエネルギーを生み出します。代表的なものとして、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンが挙げられます。

 

内燃機関の最大の特徴は、熱エネルギーを直接機械的エネルギーに変換できる点です。燃焼によって生じた高温高圧ガスが直接ピストンの動きを通じてエネルギーに変換されるため、エネルギー変換の段階が少なく高い効率が得られます。この効率性により、現在の自動車や船舶、航空機などの輸送機器の主流動力源となっています。

 

また、内燃機関は他の原動機に比べて小型で軽量であることも大きなメリットです。この特性により、車両や航空機など移動体の動力源として最適です。最新のディーゼルエンジンでは、熱効率が最大60%以上に達するものもあり、エネルギー効率の面でも優れた性能を発揮します。

 

外燃機関とは?種類と利用例

外燃機関は、機関の外部で燃料を燃焼させ、その熱を利用して動力を得る熱機関です。燃焼によって発生した熱エネルギーを、水蒸気や作動気体といった媒体に伝え、その媒体の膨張や圧力変化を利用して機械的な動力に変換します。代表的なものとして、蒸気機関、蒸気タービン、スターリングエンジンがあります。

 

蒸気タービンは発電所で広く利用されている外燃機関です。燃料の選択肢が広く、化石燃料だけでなく原子力やごみ焼却場の廃熱も利用できる柔軟性があります。安定した燃焼が可能なため、排気ガスを比較的きれいにしやすいという環境面でのメリットもあります。大規模な電力生成に適しており、火力発電所や原子力発電所で主要な動力源として採用されています。

 

スターリングエンジンは、外部から熱エネルギーを得て作動する外燃機関の一種です。多様な熱源を利用できる特徴があり、産業分野の未利用熱エネルギーを活用する技術として注目されています。蒸気を発生させる蒸発器やタービンが不要なため比較的小型化しやすく、小規模の熱源にも適用できるという長所があります。また、爆発燃焼がないため騒音や振動が少ないのも特徴です。

 

内燃機関の燃焼方式と効率性

内燃機関の燃焼方式は、エンジンの種類によって異なります。ガソリンエンジンは、燃料と空気の混合気をシリンダー内に吸入し、ピストンで圧縮した後、点火プラグ(スパークプラグ)の火花で着火させます。一方、ディーゼルエンジンは空気のみをシリンダー内に吸入して高圧縮し(圧縮比15〜23程度)、高温になった空気の中へ燃料を直接噴射することで自然着火させます。

 

ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて燃費効率が高く、低回転域から高いトルクを発生させる特性があります。軽油の高いカロリー値と高圧縮比による熱効率の良さが、この性能の要因です。そのため、トラックやバス、建設機械など、パワーと耐久性が求められる用途で広く使用されています。

 

ガソリンエンジンは、高回転域でパワーを発揮する特徴があります。軽量で高回転高出力志向の設計が可能なため、乗用車に適しています。また、ディーゼルエンジンに比べて静粛性が高く、スムーズな加速が可能です。燃料であるガソリンは引火しやすく揮発性が高いのに対し、ディーゼルエンジンで使用される軽油は引火点が高く粘度が高いという違いがあります。

 

外燃機関の熱効率と応用分野

外燃機関は内燃機関と比べてエネルギー変換の段階が多く、一般的に効率が低いとされています。熱エネルギーを利用して蒸気を生成し、その蒸気をタービンで回して発電機を駆動するというプロセスを経るため、各段階でエネルギー損失が発生します。しかし、理論的にはスターリングエンジンのような外燃機関は、カルノーサイクルを実現できるため、存在しうる熱機関の中で最高効率で熱エネルギーを仕事に変換できる可能性があります。

 

蒸気タービンは大規模な電力生成に適しており、発電所や船舶の動力源として広く利用されています。熱力学第二法則により、熱サイクルの最高温度と最低温度との差が大きいほど熱効率が高くなります。現代の蒸気タービン技術では、三次元設計翼の開発や翼の大型化、蒸気流量の損失を防ぐ方法などにより、熱効率の向上が図られています。

 

スターリングエンジンは高熱効率と低燃費が特徴で、燃料は系外で燃やされるため広範囲の燃料や高温エネルギーが利用可能です。排気公害が少なく、内燃機関のような爆発燃焼がないため騒音や振動が少ないというメリットがあります。バイオマス燃料や太陽熱などの再生可能エネルギーも活用でき、廃熱回収システムとしての応用も期待されています。

 

内燃機関が現代の車に選ばれる理由

現代の自動車に内燃機関が広く採用されている最大の理由は、高い出力重量比とエネルギー密度の高い燃料を短時間で補給できる利便性です。内燃機関は外燃機関に比べて小型軽量であり、車両や航空機などの輸送機器に適しています。ガソリンや軽油といった石油系燃料は、数分で満タンにできる利便性と高いエネルギー密度を持ち、長距離走行に適しています。

 

内燃機関は直接燃焼によるエネルギー変換のため熱効率が高く、最新のディーゼルエンジンでは60%以上の熱効率を実現しています。この高効率性により、同じ燃料量でより長い距離を走行できます。また、エンジンの制御技術の進化により、可変バルブタイミングや燃料噴射技術の改善、過給器の導入などで、さらなる効率と性能の向上が実現されています。

 

環境対策技術の進化も内燃機関の継続的な採用を支えています。SCR(選択触媒還元)やDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)といった技術の導入により、排出ガスのクリーン化が進んでいます。EURO排出基準の導入以降、欧州連合の輸送部門からの排出量は大幅に削減されました。電気自動車への移行が進む中でも、内燃機関は当面の間、多くの車両で使用され続けると予想されています。

 

内燃機関と外燃機関の詳しい違いと将来性について
内燃機関と外燃機関のエネルギー生成の仕組みと効率の比較について詳細に解説されています。

 

スターリングエンジンの技術解説と未利用熱エネルギー活用
外燃機関であるスターリングエンジンの特長と廃熱発電への応用について専門的な情報が掲載されています。

 

ディーゼル車とガソリン車の違いとメリット・デメリット
内燃機関の代表的なエンジンであるディーゼルとガソリンの特性比較が詳しく紹介されています。