

スプリンターは「チェックランプが点く/加速しない/再始動で一時回復」など曖昧な訴えで入庫しやすく、問診で“いつ・どんな条件で・どれくらいの頻度で”を具体化するほど診断が速くなります。
診断機では、まず現行DTCを読むだけで終わらせず、フリーズフレームや履歴、実測値を同時に確認し、故障が“常時”か“条件付き”かを分けます。
また、並行輸入や架装車(キャンパー等)では、配線の増設や電源取り出しが原因で二次トラブル化することもあるため、バッテリー電圧・アース品質・ヒューズボックス周りの改変を初手で確認すると遠回りを減らせます。
整備現場でのチェック順(例)
この流れを守るだけで、「一度直ったように見えたが再発」のパターンを減らせます。
DPF周りは、差圧センサの値が診断の起点になる一方で、差圧センサ自体の不具合が原因でエンジン警告灯(MIL)が点灯し、DPFとEGRが停止する可能性がある、とメーカーが対策(リコール)情報で説明しています。
つまり「DPFが怪しい」ではなく、「差圧が本当に高いのか/信号が嘘をついているのか」を切り分けないと、DPF洗浄・EGR清掃・センサ交換の順番が崩れて工数が膨らみます。
現場の落とし穴は、差圧センサ・配管(ホース/パイプ)の詰まりや亀裂で、DPF本体を疑う前に“配管の目視+詰まりチェック”を挟むだけで判断が安定します(DPFが原因の差圧上昇と、配管異常の差圧異常は見え方が似ます)。
意外に効く実務ポイント
このあたりを押さえると、「DPF洗浄したのに戻ってくる」ケースの説明がしやすくなります。
参考:DPF差圧センサ不具合でMIL点灯・DPF/EGR停止の可能性(対策内容の根拠)
メルセデス・ベンツ日本:排気ガス浄化装置(DPF)の差圧センサに関する対策
AdBlue(尿素SCR)系は、警告灯点灯の原因として噴射装置の異常、配管の詰まり、センサー故障などが挙げられ、放置すると性能低下や走行制限につながる恐れがある、と整備向け情報で整理されています。
ここで厄介なのは、尿素系の不具合が“単体の故障”ではなく、DPF再生状態や排気温、センサー値の整合性と絡んで連鎖的にエラーが増える点で、DTCを消しても条件が揃うとすぐ復帰しがちです。
現場では、液量だけ見て終わるのではなく、実測値で温度・圧力・噴射関連の値が“動いているか”を確認し、作動テストが可能ならポンプ/噴射の応答まで見てから部品の当たりを付けると、交換の順番を誤りにくいです。
警告灯対応の現実的な段取り(例)
この段取りは、走行制限が絡む案件ほど有効です。
参考:AdBlue警告灯の原因(噴射異常・詰まり・センサー)と放置リスク(走行制限)
G-scan整備情報:アドブルー警告灯が点灯する理由とは?
近年のスプリンター整備で地味に効いてくるのが、DPF等の後処理装置を前提にしたオイル選定で、MB規格(例:MB 229.52)が適合表記に出てくることが多い点です。
実務的には「粘度(5W-30等)だけ合わせた」では不十分になりやすく、オイル規格・灰分特性・後処理装置との相性を外すと、DPF負担やトラブルの遠因になる説明がしやすくなります(すぐ壊れるという話ではなく、積み上がって効くタイプのリスク)。
点検記録簿や入庫時のヒアリングで、前回の使用オイル規格が不明な個体ほど、交換後の挙動(再生頻度、煤堆積の傾向)を長めに観察する運用が安全です。
現場のメモ(使い分けの考え方)
規格の話はユーザー説明が難しい分、整備士側が言語化しておくとクレーム予防になります。
参考)https://search.kakaku.com/229.52/
検索上位の修理事例でも触れられている通り、日本国内に正規で輸入されていない車両は、整備側も構造や仕組みを調べながら進める必要があり、修理に時間が掛かりやすいという現実があります。
この“時間が掛かる”の正体は、作業そのものより「型式・年式・エンジン/ミッションの組み合わせ特定」「診断機でアクセスできる範囲の差」「部品番号の突き止め」「代替部品の可否判断」が支配的になりやすい点で、段取り力が品質に直結します。
意外に効く対策は、入庫時点で車検証情報だけに頼らず、車台番号(VIN)・ECU/TCU品番・排ガス後処理の構成(DPF+SCRの有無)を早い段階でメモ化し、見積もり前に“調達できる前提”を固めることです。
おすすめの運用(独自視点のチェックリスト)
この手順にすると、“直ったはずなのに違う警告灯が出た”系の再入庫が減らせます。