

ショックを1本だけ交換すると、残りの3本が早期劣化して結果的に余計な出費になります。
カヤバ(KYB)は日本を代表するショックアブソーバーメーカーで、補修用として国内で最も多くの車種をカバーするブランドです。ただ、「カヤバのショックを選ぼう」と思っても、製品ラインナップが複数あって迷う方は少なくありません。まずは代表的な3製品の特徴を整理しておきましょう。
| 製品名 | 主な構造 | 対象ユーザー | 車高変化 | 車検対応 |
|---|---|---|---|---|
| NEW SR SPECIAL | 純正形状・減衰力固定 | 街乗り・ファミリー・リフレッシュ | なし | ◯ |
| Lowfer Sports | 純正形状・ローダウン専用設計 | ローダウン+快適走行希望 | 約15〜30mm程度DOWN | ◯ |
| Excel-G / Gas-a-just | 低圧ガスツインチューブ・高圧ガスモノチューブ | 輸入車・スポーツグレード | なし(純正同等) | ◯ |
NEW SR SPECIAL は発売から約30年、設定品番数が約2,000品番という国内最多ラインナップを誇る定番製品です。軽自動車から大型SUVまで約600車型に対応しており、純正ショックと同等の形状を維持しながら、減衰力特性をノーマル比で最適化しています。「硬くないけどシッカリ」というコンセプト通り、走りの質感を上げつつも乗り心地を損なわないバランス型です。街乗りがメインで走りも乗り心地も両立させたい方に向いています。
Lowfer Sports はローダウンスプリングと組み合わせることを前提に専用設計されたショックです。ノーマルのショックにダウンサスを組み合わせると、サスペンションのストロークが合わずゴツゴツとした突き上げ感が生じることがあります。Lowfer Sportsはその問題を解決するため、ストロークを設定車高に最適化した専用チューニングが施されています。車高を下げてスタイリッシュに乗りたい方に適した製品です。
Excel-G・Gas-a-just は輸入車向けのプレミアムラインです。Excel-Gは低圧ガスツインチューブ構造を採用し、減衰力設定はノーマル比で伸び側20〜30%アップ、縮み側10〜20%アップと設定されています。Gas-a-justはさらにワンランク上の高圧ガスモノチューブ構造で、Excel-Gより5〜10%高い減衰力設定となっており、主にスポーツグレード車や純正がモノチューブを採用している車種向けです。
これが基本の整理です。
カヤバ公式による各製品ラインナップの詳細情報。
カヤバ クラブ(KYB CLUB)- NEW SR SPECIAL 公式ページ
カヤバのショックアブソーバーを選ぶ上で、内部構造の違いを理解しておくと選択に迷いにくくなります。大きく分けると「複筒式(ツインチューブ)」と「単筒式(モノチューブ)」の2種類があります。
複筒式(ツインチューブ) は、本体の内部が二重構造になっています。外筒と内筒の2本のチューブから成り、伸びる時はピストンバルブ、縮む時はベースバルブが別々に減衰力を発生させる仕組みです。構造がシンプルで、長さ設定の自由度が高く、石跳ねなどで外筒に多少のへこみが生じても内筒が守られるため機能に影響しにくいという特長があります。製造コストも比較的抑えられるため、多くの一般乗用車の純正サスペンションや、NEW SR SPECIALなど補修向け製品に広く採用されています。
単筒式(モノチューブ) は、1本のシリンダー内部をオイル室とガス室に直列に仕切る構造です。伸び・縮みともにピストンバルブ1つで減衰力を発生させます。ピストンの動きに対してリニアな応答性があり、放熱性も高いためサーキット走行など連続した激しい動きにも対応しやすい構造です。チューニングのしやすさからスポーツタイプのサスペンションに多く採用されています。
つまり、ツインチューブは街乗りの快適さ・コスパ重視、モノチューブはスポーティな応答性・放熱性重視です。
日常使いが中心であれば複筒式で十分な性能が得られます。一方で高速走行やワインディングをよく走る方、もしくは純正がモノチューブを採用している車種への装着を考えている方はモノチューブ構造のGas-a-justも選択肢に入ります。自分の走行スタイルと純正の内部構造を確認した上で選ぶのが条件です。
カヤバ クラブ(KYB CLUB)- ショックアブソーバの構造・種類について(公式解説)
「どちらを選べばいいか迷う」というのが、実際のところ最も多い悩みです。NEW SR SPECIALとLowfer Sportsは似て非なる製品であり、選択を間違えると乗り心地の悪化や足回りのバランス崩れにつながることがあります。
NEW SR SPECIALは「ノーマル状態の車」を基準にセッティングされています。つまり、純正スプリングをそのまま使い続ける場合に最も効果が発揮されます。減衰力特性は純正よりも若干高めに設定されており、コーナリング時のロール抑制・高速での直進安定性・ブレーキング時のフロントダイブ抑制といった基本性能が全体的に向上します。「運転がうまくなった?」と感じさせる自然な走りの改善が特長です。
一方Lowfer Sportsは、ローダウンスプリングとの組み合わせを前提とした専用設計品です。ノーマルのショックアブソーバーに社外のダウンサスを組み合わせた場合、ストロークが合わずに底突き感や異音が発生することがあります。Lowfer Sportsはそのリスクを回避するためにストロークを最適化しており、車高を下げながらも快適な乗り心地を維持できるように仕上げられています。
注意が必要な点として、どちらもローダウンスプリングの種類や組み合わせによっては適合しないケースがあります。購入前にカヤバ公式の適応検索ツールや販売店に確認するのが確実です。これは使えそうです。
カヤバ クラブ(KYB CLUB)- Lowfer Sports 公式ページ(ローダウン専用設計の詳細)
カヤバ(KYB)が公式に推奨するショックアブソーバーの交換目安は「新車から5年または走行距離5万km」です。この数字、案外早いと感じる方も多いはずです。
ただし重要なのは、ショックアブソーバーはゆっくりと劣化するため、乗っている本人は変化に気づきにくいという点です。毎日乗っていると感覚が慣れてしまい、「前と変わらない」と思いがちです。これが放置につながる原因の一つです。
実際に劣化が進んだショックをそのまま使い続けると、以下のような症状が現れます。
痛いですね。
さらに知っておきたいのが「1本だけ交換してはいけない」という点です。1本のみオイル漏れが確認されたとしても、走行距離が5万kmを超えている場合はオイル漏れしていないショックも内部的に性能低下している可能性が高いです。1本だけ交換すると左右・前後のバランスが崩れ、残りのショックが早期劣化するという悪循環に陥ります。カヤバは1台分4本、または左右2本の同時交換を推奨しています。
また、ショックアブソーバーのみ交換した後に「やっぱり純正スプリングも交換したい」となった場合、工賃が2回かかることになります。足回りのリフレッシュを計画する際は、ショックとスプリングをまとめて検討するのが時間と費用の面で得策です。
カヤバ クラブ(KYB CLUB)- ショックアブソーバ交換時期の目安(公式)
ショックアブソーバーを交換するにあたって、費用の全体像を把握しておくことが大切です。費用の目安を知らずに交換作業を依頼すると、見積もりを見て驚くケースも少なくありません。
一般的な費用の目安は以下の通りです。
つまり、4本同時交換を専門店に依頼した場合、部品代+工賃+アライメントで合計8万〜15万円程度が目安です。
ここで一つ、多くの人が見落とすポイントを紹介します。それは「カヤバの適応検索ツールを使ってから購入する」という手順です。カヤバは公式ウェブサイトで車種・型式別の適応検索ツールを提供しています。このツールを使わずに品番を自己判断で選ぶと、合わない製品を購入してしまうリスクがあります。返品・交換の手間や追加送料を考えると、必ず事前に適応確認をするのが安全です。
また、交換後の「慣らし期間」についても知っておきましょう。新品のショックアブソーバーは最初の数百km程度で内部のオイルが馴染み、本来の性能を発揮し始めます。交換直後に「少し硬い気がする」と感じても、数日走行すると落ち着くことが多いです。交換直後の感想だけで製品の良し悪しを判断しないことが大切です。
費用を抑えたいなら問題ありません。ただし「安さ優先で1本だけ交換する」という選択は、前述の通りトータルで損をするケースが多いです。交換するなら左右2本セット、できれば4本同時が原則です。
カヤバ クラブ(KYB CLUB)- よくある質問(交換本数・費用の考え方)

KYB(カヤバ) 自動車 補修用ショックアブソーバー スズキ エブリィ [フロント右] 1本 KST5284R 代表純正番号 41601-65H10 修理 交換 部品