

撥水コーティングを施工すると、むしろイオンデポジットが増えることがあります。
車のボディに白いウロコ状のシミを見つけたとき、多くの人が「洗車すれば落ちる」と思います。ところが、何度洗っても消えない場合、それは「イオンデポジット」か「ウォータースポット」のどちらかです。両者は見た目が似ていますが、実態も除去コストも大きく異なります。
イオンデポジットは、水道水や雨水に含まれるカルシウム・マグネシウム・塩素(カルキ)などのミネラル成分が塗装の表面に固着した状態です。ちょうどお風呂の鏡にできる白いくもりと同じ仕組みで、水分だけが蒸発し、ミネラル分が残留してシミになります。塗装の「上」にあるだけなので、専用の除去剤を使えば比較的短時間で取り除けます。
一方、ウォータースポットはイオンデポジットが放置されて塗装の内部まで侵食し、塗装面が陥没した状態です。水滴がレンズのように太陽光を集中させる「レンズ効果」が長期間続くことで、塗装が焼き付いてしまいます。つまりウォータースポットは「汚れ」ではなく「塗装のダメージ」なので、研磨作業なしには回復しません。
| 項目 | イオンデポジット | ウォータースポット |
|---|---|---|
| 状態 | 塗装表面にミネラルが固着 | 塗装が陥没・クレーター状 |
| 爪で触った感触 | ザラつくが引っかかりなし | 明確に爪が引っかかる |
| 除去方法 | 専用除去剤(ケミカル)で可能 | ポリッシャーによる研磨が必要 |
| 業者費用の目安 | 約2万〜4万円 | 約4万〜8万円 |
自分でシミの状態を確認する方法は簡単です。洗車後に水分を拭き取り、シミの部分を爪先でそっと触ってみてください。ザラつくだけで引っかかりを感じないならイオンデポジット、明確に爪が引っかかったり、目視でも凹みが確認できたりするならウォータースポットです。これが基本です。
雨に濡れてから約2週間〜1か月を目安に、洗車なしで放置するとイオンデポジットが固着し始めます。そこからさらに放置を続けるとウォータースポットへ進行します。早期発見・早期対処がコストを抑えるいちばんの近道です。
参考:イオンデポジットとウォータースポットの違いについてプロが詳しく解説しています。
イオンデポジットとウォータースポットの違い|ガラスコーティング剤通販ブログ
イオンデポジットの除去を業者に依頼する場合、どのようなお店を選ぶかで費用も仕上がりも大きく変わります。主な選択肢は、オートバックスなどのカー用品量販店、キーパープロショップ、そしてコーティング専門店の3つです。
オートバックスの場合、磨き作業のみの単独メニューはほぼ設けられておらず、コーティング施工に付随する下地処理の一部として対応するのが基本です。本格的な研磨でシミを完全に除去するサービスではないため、頑固なイオンデポジットには力不足になることがあります。ボディコーティングの施工費用は目安として8万〜15万円程度と案内されています。
キーパープロショップの場合、コーティング以外にも「花粉のシミ取り」「精密研磨」などのサイドメニューが用意されており、イオンデポジット除去に対応してもらえる可能性があります。ただし、シミの状態・範囲によって料金が変わるため、公式サイトには定価が明記されておらず、店頭で車を見てもらってから見積もりを出してもらう形になります。
コーティング専門店の場合、日常的に研磨作業を行っているため、ほぼすべての店舗でシミ除去の単独依頼にも対応できます。費用は車の状態や施工範囲にもよりますが、イオンデポジット除去のみであれば約2万〜4万円、ウォータースポットの研磨まで含む場合は約4万〜8万円程度が目安です。
コーティング施工とセットで依頼する場合、専門店では「磨き作業をコーティング料金に含む」としているケースが多いです。つまり、シミがある状態でコーティングを依頼すると、磨き作業が含まれて追加料金なしになることもあります。これは知っておくと得する情報です。
参考:各業者の費用相場を詳しく比較しています。
プロが教えるウォータースポットの取り方|おすすめ除去剤と業者依頼の費用を解説|カービューティーIIC
業者に依頼しても、選び方を間違えると仕上がりに不満が残ったり、追加費用を請求されたりすることがあります。厳しいところですね。ここでは、後悔しない業者選びの核心となる3つのポイントを整理します。
① 施工事例と実績を必ず確認する
ホームページやSNSに「before/after」の施工事例を豊富に公開している業者は、それだけ実績に自信があるサインです。特に、自分の車と近い車種・ボディカラーの施工例があれば参考になります。口コミサイトのレビューも複数確認しておきましょう。口コミが10件以下の業者は経験不足の可能性があるため慎重に選ぶことをおすすめします。
② 屋内ブースでの作業かどうかを確認する
コーティングや研磨作業は、屋外や簡易テントで行うと砂埃が入り込み、作業中に傷がつくリスクがあります。本格的な専門店は空調・専用照明が完備された屋内ブースを使用しており、照明の当たり方によって塗装の状態を精密に確認できます。ブースの有無は問い合わせ時に確認する、あるいはホームページの施設紹介ページを見れば判断できます。
③ 見積もりの透明性を確認する
「一式〇〇円」とだけ提示する業者より、「下地処理・研磨・施工・拭き上げ、それぞれいくら」と作業項目ごとに明細を出せる業者の方が信頼性が高いです。複数の業者から見積もりを取り、金額だけでなく内容を比較することが重要です。
「施工後にシミが残っていたら再施工してもらえるか」というアフターフォローの対応も、依頼前に確認しておくと安心です。良心的な専門店であれば、施工後のケア方法についても説明してくれます。これは必須です。
ホームセンターやネット通販では、1,000〜3,000円程度でイオンデポジット専用の除去剤が購入できます。「まず自分でやってみよう」と考える方も多いでしょう。DIYが有効な場面と、業者に頼むべき場面を正確に理解しておくことが大切です。
DIYが有効なケースは、イオンデポジットができてから日が浅く、爪で触ってもザラつくだけで引っかかりがない状態です。この段階なら、市販の酸性タイプの除去剤を正しく使えば、半日以内に自力で除去できることがほとんどです。コスト面では圧倒的に安く済みます。
ただし、DIYには守らなければならないルールがあります。炎天下での作業は厳禁です。ボディが熱い状態で除去剤を塗布すると、わずか数分で乾燥して塗装が変色したり、新たなシミを作ったりするリスクがあります。曇りの日か、早朝・夕方の気温が下がった時間帯に作業してください。
また、除去剤をメッキパーツ・ゴム部品・ガラスに付着させてしまうと変色や腐食の原因になります。使用前に周囲をマスキングテープで保護する手間を惜しまないことが大切です。さらに、除去剤を指定時間以上に放置すると、塗装にダメージを与えます。製品の説明書に書かれた放置時間を必ず守りましょう。
業者に頼むべきケースは次のとおりです。
ウォータースポットまで進行している場合、プロはポリッシャー(電動研磨機)を使い、研磨剤の粗さや温度を塗装の状態に合わせて細かく調整しながら作業します。ムラなく仕上げるためにも、機械による研磨は専門家に任せる方が確実です。作業時間の目安は半日〜1日程度です。痛いですね、でも放置するより断然安くつきます。
参考:DIYと業者依頼の違いについて詳しく解説しています。
イオンデポジットとウォータースポットの原因と5つの対策【プロ直伝】|HUBRIDE
業者にイオンデポジットを除去してもらっても、何も対策をしなければ数週間後には同じシミが再び現れます。つまり、除去はゴールではなくスタートです。除去後の対策をセットで考えることで、コストパフォーマンスが大きく変わります。
親水タイプのガラスコーティングが最も効果的です。撥水コーティングは水を玉状に弾く性質を持ちますが、その水玉がボディ上に留まりやすいため、蒸発してミネラルが固着するリスクが高くなります。一方、親水コーティングは水が膜状に広がって流れ落ちる性質を持つため、水滴がボディに残留しにくく、イオンデポジットが発生しにくい環境を作ります。青空駐車の場合や、濃色車で水シミが目立ちやすい場合に特に有効です。
冒頭で「撥水コーティングを施工するとむしろイオンデポジットが増える」と触れた理由がこれです。水を弾く=水滴が残るということで、乾燥後のシミリスクが上がるのです。撥水か親水かの選択は、駐車環境や洗車頻度によって変わります。
コーティングを施工した後も、日常的なメンテナンスを怠らないことが重要です。雨が降った翌日はできるだけ早く洗車し、水滴を残さないよう心がけましょう。また、炎天下の洗車は水道水のミネラルが瞬時に蒸発して固着するため、絶対に避けてください。
コーティング専門店の多くは、施工後の定期メンテナンスサービスも提供しています。施工時に「メンテナンスパック」に入っておくと、次回の除去作業が割引になるケースもあります。依頼時に確認してみるとよいでしょう。これは使えそうです。
参考:親水コーティングの特徴とメリットについて詳しくまとめられています。
青空駐車には親水ガラスコーティングでイオンデポジットを防止|ガラスコーティング剤通販ブログ
業者に依頼する前に、たった1つの確認をするだけで、不必要な高額請求を防ぐことができます。それは「車を屋内に入れてから診てもらう」ことです。屋外の強い日差しや雨の中で車を見ると、シミの深さや範囲が正確に判断できません。業者側も同様で、照明の整った屋内ブースで確認しなければ正確な見積もりが出せないのが実情です。
屋外で「全体的に研磨が必要です」と言われた場合、その判断が正しいかどうか疑う余地があります。屋内の専用ライトで見れば「実は一部だけ」という判断になる可能性も十分あります。見積もりは必ず屋内ブースで確認してもらうことを条件にする、これだけで余分な出費を防げます。
また、業者に依頼する際は「何月ごろ施工したいか」の時期も重要です。春(3〜5月)は花粉・黄砂が大量に飛散し、洗車直後にシミが再付着しやすい時期です。一方、梅雨直前の6月初旬か、気温が安定する10〜11月は施工に最も適したシーズンとされています。春に除去したばかりなのに花粉シミで再びシミだらけになる、というケースは珍しくありません。
もう1つ知られていないのが、「ガラスコーティング車のシミ除去には専門店の確認が必須」という点です。市販の除去剤の中にはガラスコーティングの被膜を溶かしてしまう成分が入っているものがあり、自分でシミを取ろうとしてコーティングを丸ごと剥がしてしまうトラブルが起きています。10万円以上かけて施工したコーティングが、3,000円の除去剤で台無しになるケースは実際に報告されています。コーティング施工車のシミ除去は、「コーティング車対応」と明記された製品に限定するか、プロに相談するのが原則です。
シミ除去の依頼件数が多い専門店ほど、季節やボディ状態に応じた最適な手順を把握しています。初めての場合は「自分の車に最適な施工方法は何か」を率直に聞いてみることが、失敗しない一番の近道です。良い業者かどうかの判断は、その説明の丁寧さと具体性に現れます。良い専門店に出会えれば大丈夫です。

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