

初代インサイト(ZE1)の現場でいちばん厄介なのは、IMA警告灯=即バッテリー交換、の短絡的な判断が事故を呼ぶ点です。近年は、駆動用バッテリーそのものではなく「周辺部品」や「ECU」故障でIMA不調ランプが点灯するケースも語られており、特に長期不動後など条件付きで出やすいという指摘があります。
さらに、冷却ファンが止まるとECUが異常を検知して警告灯点灯につながる、という“別ルート”もあります。つまり警告灯は「結果」であって、原因は電池・冷却・制御・電源の複合になり得ます。
整備士としての基本線は、まず「再現条件」と「同時点灯」を取ることです。たとえば警告灯がIMA単独なのか、充電警告灯も絡むのかで、12V系(DC-DC停止など)の疑いが濃くなります。
参考)https://ameblo.jp/gracias5/entry-12924106405.html
この時、診断機が使えるならDTC確認が最短ですが、ユーザー申告だけでも「登坂で残量が急減→強制充電っぽい挙動」などは症状のヒントになります。
参考)https://bbs.kakaku.com/bbs/70100210075/SortID=13804384/
現場での実務的な切り分け(目安)は次の通りです。
初代インサイト系で繰り返し語られる持病の一つが、IPU(HVユニット)冷却ファンモーターの故障です。冷却ファンが回らないことをECUが検知すると警告灯点灯につながり、さらに同じ回路上のDC-DCコンバーターが止まって12Vバッテリー充電が止まるため、症状が一気に拡大しやすいとされています。
実際の修理事例でも、点検の結果「メインバッテリーのクーリングファン不良」+ヒューズ切れを交換して復帰したケースが報告されています。
整備のコツは、単にファン単体を疑うのではなく「なぜヒューズが飛ぶのか」「モーター固着・過電流の痕跡はあるか」をセットで見ることです。ファンが重くなって電流が増え、回路保護でヒューズが切れる、という筋書きは現実的です。
参考)蒲郡 幸田 西尾 ホンダ インサイト ハイブリット IMA異…
また、車両年齢が進んだ個体では、コネクタの接触やハーネス劣化など“二次的な電装トラブル”も混ざりやすく、ファン交換だけで終わらないことがあります(再発防止として、清掃・通風経路点検・配線点検まで一連で行うのが安全です)。
参考)IMA警告灯が本格的に光ったので12Vバッテリーを新品に交換…
点検で押さえるべきポイントを、作業の流れに沿って整理します。
ZE1の理解で重要なのは「12Vが弱ると、症状がIMAに見える」ことがある点です。構造上、補機充電がIMA側(DC-DCなど)に依存する局面があり、冷却ファン故障などをきっかけに12V充電が止まると、走行不能や警告灯多発に発展しやすいと説明されています。
ユーザー側の体験談でも、12Vバッテリー交換が絡むケースがあり、少なくとも補機電源の健全性確認は初動として合理的です。
整備士向けに、現場の段取りとしては「補機電源の事実確認」を先に入れると手戻りが減ります。
ここでの落とし穴は「新品12Vにしたから直った=根治」になりやすいことです。12V交換で一時的に落ち着いても、冷却ファンや配線の根因が残っていれば再発します。
初代インサイトの駆動用バッテリーは高電圧で、ホンダの資料ではニッケル水素バッテリー144Vと明記されています。
また、高電圧回路作業には「絶縁手袋(EN60900適合)」「絶縁工具」「規格適合テスター」などの使用が指定され、手順逸脱が感電・発火などのリスクになることが強調されています。
実作業で特に守りたいのは「放電待機」と「遮断の順番」です。ホンダ資料では、イグニッションOFF後に約5分放置してから作業すること、12Vバッテリー切り離し後も約5分放置すること、メインスイッチOFF後も約5分放置することが繰り返し指示されています。
さらに、IPUカバーを外した後に電圧測定を行い、端子間電圧が0Vであることを確認する工程が示されています。
現場向けに手順の要点だけ抜き出すと、次のようになります(詳細は必ず原本で確認)。
参考:高電圧バッテリーの取り外し・梱包の公式手順(安全注意、待機時間、0V確認、必要工具がまとまっている)
https://www.honda.co.jp/auto-recycle/pdf/ima_99insight.pdf
初代インサイトは「整備のしやすさ」よりも、徹底した軽量化とパッケージ優先で作られた側面が強く、そこが整備のクセになります。たとえばZE1はアルミモノコック採用で、空気抵抗値0.25という特徴が語られています。
この特性は、板金・修理・アンダー側作業の段取りにも影響し、特に下回りでの取り回しに注意が必要です(高電圧ケーブルがフロア下側に配置され、ジャッキアップ時に損傷させない注意が明記されています)。
検索上位が語りがちな「IMA不調」だけでなく、整備士として意外に効くのが“アルミ+高電圧”の同時管理です。つまり、下回り作業でうっかり高電圧ケーブルを傷付ければ危険性が跳ね上がり、同時にアルミ構造は修理手法や固定の考え方も鋼板車と同一視できません。
また、車齢が進んだ今は「電池が寿命」では片付かない故障(周辺部品やECU)が増えているという現場感もあり、構造理解と診断更新が価値になります。
独自視点としての提案は、インサイトZE1を“ハイブリッド車”としてだけでなく“高電圧の載った軽量アルミ車体”として教育・段取りを組むことです。具体的には、入庫時チェックシートに「高電圧ケーブル下回り損傷リスク」「冷却ファン系統」「12V電源健全性」を並列で置くと、警告灯の再発と作業事故の両方を減らせます。