
フィットRSには、1.5L直噴DOHC i-VTECエンジンが搭載されており、最高出力132PS(約97kW)を発揮します。このエンジンは単なるパワーだけでなく、ホンダの先進技術が結集されたものです。直噴システムを採用することで燃料を直接シリンダー内に噴射し、燃費効率と出力性能の両立を実現しています。
加速性能については、0-100km/hまでの加速タイムは約8.4秒から8.6秒と言われており、コンパクトカーとしては非常に優れた数値です。この加速力は、高速道路への合流や追い越しなどの場面で余裕を持った走りを可能にします。
特筆すべきは、i-VTEC(インテリジェントVTEC)技術により、低回転から高回転まで効率的にパワーを引き出せる点です。これにより、市街地での発進時から高速走行まで、スムーズで力強い加速を体感できます。エンジンのレスポンスが良く、アクセルを踏み込むとすぐに反応するため、ドライバーの意図通りの走りが楽しめます。
また、フィットRSには「Sモードスイッチ」が装備されており、このスイッチを入れるとアクセル操作に対する駆動力が強化され、より鋭い加速が可能になります。日常走行ではノーマルモードで燃費を重視し、スポーティな走りを楽しみたい時にはSモードに切り替えるという使い分けができるのも魅力です。
フィットRSは峠道での走行を想定して設計されており、ワインディングやカーブの多い道でその真価を発揮します。RS専用のサスペンションセッティングが施されており、コーナリング時の安定性が格段に向上しています。
特に注目すべきは、前後に設置されたスタビライザーです。これによりボディのロールが抑えられ、カーブを曲がる際の車体の傾きが最小限に抑えられます。結果として、連続するカーブが続く峠道でも安定した姿勢を保ちながら走行することができます。
また、16インチのワイドタイヤを標準装備しており、路面とのグリップ力が向上しています。これにより、コーナーでの安定性とトラクション性能が高まり、より速く安全にカーブを抜けることが可能になります。
さらに、フィットRSには高出力な電動ステアリングモーターが採用されています。これにより、ステアリング操作が軽快でレスポンスが高く、ドライバーの意図に即座に反応するハンドリングが実現しています。カーブに差し掛かる際も、思い通りの操作感でスムーズに曲がることができるため、峠道での運転が非常に楽しくなります。
このような特性から、フィットRSは初心者からベテランまで、幅広いドライバーが峠道でのスポーティな走りを安心して楽しめる車として高い評価を得ています。
フィットRSとフィットハイブリッドの速さを比較すると、それぞれに特徴があります。直線的な加速や高速道路での走行性能については、フィットRSが優位に立ちます。
フィットRSは132PSの高出力エンジンを搭載し、高回転域までパワフルに回る特性があります。一方、フィットハイブリッドは114PSのエンジンに14PSのモーターが組み合わされたハイブリッドシステムを採用しています。
加速性能を比較すると、フィットRSの方が0-100km/h加速で約8.4〜8.6秒と、より速いタイムを記録します。特に高速道路での追い越しや峠道でのスポーティな走行では、RSモデルの方が優れたパフォーマンスを発揮します。アクセルレスポンスも良く、ドライバーの意図通りの加速を実現するため、スピード感を楽しみたい人にはフィットRSがおすすめです。
一方で、フィットハイブリッドはモーターのアシストにより低速域でのトルクが増しているため、街乗りや信号待ちからのスタート時にはスムーズで滑らかな加速が可能です。しかし、ハイブリッドモデルは約80kgほど重いため、加速の際に少し重さを感じることがあり、フィットRSほどの鋭い加速感は得られません。
燃費面では当然ながらハイブリッドモデルが優れており、長距離ドライブや日常の通勤には非常に経済的です。フィットRSがスポーティな走りを楽しみたい人向けであるのに対し、ハイブリッドモデルは燃費を重視しつつも、程よい加速と快適な走りを両立させたい人に適しています。
どちらを選ぶかは、ドライバーが求める走行スタイルや使用環境によって異なりますが、純粋な速さと走りの楽しさを求めるなら、フィットRSが一歩リードしていると言えるでしょう。
フィットRSは中古市場でも人気が高く、リセールバリューも良好です。中古でフィットRSを購入する際には、いくつかのポイントと注意点を押さえておくことが重要です。
まず、フィットRSには前期型と後期型があり、特にGE8型の後期モデルはギア比が変更されており、加速性能がさらに向上しています。中古車を選ぶ際には、この点を考慮して、自分の走行スタイルに合ったモデルを選ぶと良いでしょう。
また、スポーティなモデルであるため、前オーナーがスポーツ走行を楽しんでいた可能性があります。購入前には以下の点をしっかりとチェックしましょう。
特に6速マニュアルトランスミッション搭載モデルは、クラッチの使用状況によって寿命が大きく変わるため、試乗時にクラッチの滑りやつながりの良さをチェックすることが重要です。
また、フィットRSは改造されているケースも少なくありません。社外パーツが装着されている場合は、その品質や車検対応状況なども確認しておきましょう。純正に近い状態の車両は、将来的な故障リスクが低く、維持費も抑えられる傾向があります。
中古車選びでは、整備記録簿の有無も重要なポイントです。定期的にメンテナンスが行われている車両は、状態が良好である可能性が高いです。可能であれば、ディーラーや信頼できる整備工場で点検を受けた車両を選ぶことをおすすめします。
フィットRSに搭載されている「Sモードスイッチ」は、ボタン一つでスポーティな走行特性に切り替えることができる機能です。このスイッチの効果と活用法について詳しく見ていきましょう。
Sモードスイッチを押すと、アクセル操作に対する駆動力が強化されます。具体的には、アクセルペダルの踏み込み量に対するエンジンの反応が敏感になり、より少ない踏み込みでも力強い加速が得られるようになります。これにより、スポーティな走りがより一層楽しめるようになります。
このSモードスイッチの活用法としては、以下のようなシーンが考えられます。
ただし、Sモードを使用すると燃費は悪化する傾向があるため、日常的な街乗りではノーマルモードを使用し、スポーティな走りを楽しみたい時だけSモードに切り替えるという使い分けが効果的です。
また、Sモードを活用する際のコツとしては、急なアクセルワークではなく、滑らかな操作を心がけることが重要です。特に雨天時や路面状況が悪い時には、急激なアクセル操作はタイヤのグリップを失う原因になることがあるため注意が必要です。
SモードスイッチはフィットRSならではの機能であり、ノーマルのフィットには搭載されていません。この機能を上手に活用することで、日常使いの実用車としての一面と、スポーティな走りを楽しめる車としての一面を、状況に応じて使い分けることができるのがフィットRSの大きな魅力です。
フィットRSは「速い」というイメージが強いですが、実はスポーティな走行性能だけでなく、日常使いにおける実用性も兼ね備えています。その意外な魅力について紹介します。
まず、フィットRSの名前の由来をご存知でしょうか。RSとは「Road Sailing(ロード・セーリング)」の略で、道路を帆走するように気持ちよく走るという意味が込められています。この名前が示す通り、フィットRSは単に速いだけでなく、乗り心地の良さも追求されているのです。
また、コンパクトカーであるフィットの特長である広い室内空間と使い勝手の良さは、RSモデルでも健在です。リアシートを倒せば大きな荷物も積載可能で、日常の買い物から週末のレジャーまで幅広く対応できます。スポーツモデルでありながら、実用車としての一面も持ち合わせているのです。
燃費性能も意外と優れています。1.5L直噴エンジンは効率的な燃焼を実現しており、スポーティな走りが可能でありながらも、通常走行時の燃費は比較的良好です。JC08モードで約18.6km/Lという数値は、スポーツグレードとしては優れた値と言えるでしょう。
さらに、フィットRSは維持費も比較的リーズナブルです。ホンダ車の特徴である高い信頼性と耐久性を備えており、適切なメンテナンスを行えば長期間にわたって快適に乗り続けることができます。また、パーツの供給体制も整っているため、万が一の故障時も安心です。
意外と知られていないのが、フィットRSの安全性能の高さです。VSA(車両安定性制御システム)やABS(アンチロック・ブレーキ・システム)などの安全装備を標準搭載しており、スポーティな走りを楽しみながらも安全性を確保しています。
このように、フィットRSは「速さ」だけでなく、日常使いの実用性や経済性、安全性なども兼ね備えた、バランスの取れた一台と言えるでしょう。スポーツカーとしての魅力と、普段使いの実用車としての側面を両立させているのが、フィットRSの隠れた魅力なのです。