
ホンダフィットは、コンパクトカーながら広い室内空間を持つ人気車種として知られています。フィットの乗車定員について明確にお伝えすると、2020年2月に発売された現行の4代目フィットを含め、すべてのグレードで5人乗りとなっています。
ハイブリッドモデル(e:HEV)からガソリン車まで、また「BASIC」「HOME」「NESS」「CROSSTAR」「LUXE」などのグレード、さらにはFF(前輪駆動)と4WD(四輪駆動)のどちらを選んでも、乗車定員は変わらず5人です。これは法律で定められた安全基準に基づいており、後部座席には3点式シートベルトが3人分設置されています。
フィットが5人乗りとして設計されている背景には、ホンダ独自の「センタータンクレイアウト」という構造があります。この設計により、コンパクトなボディサイズながら広い室内空間を確保することに成功しています。室内寸法は、室内長1,955mm×室内幅1,445mm×室内高1,260mmとなっており、同クラスの車種と比較しても広々とした空間を提供しています。
フィットは公式には5人乗りですが、実際の乗り心地はどうなのでしょうか。特に後部座席の快適性は、実用面で重要なポイントとなります。
後部座席は3人分のシートベルトが装備されていますが、大人3人が並んで座ると、どうしても肩幅や座席の幅の関係で窮屈さを感じることがあります。特に長距離移動では、後部座席に大人3人が乗車すると快適性が低下する可能性があります。
実際の使用感としては、大人2人と子ども1人、または大人2人程度であれば、後部座席でも比較的快適に過ごせるでしょう。また、フィットは足元のスペースが広く取られているため、後部座席でも窮屈感が少ないという特徴があります。
ただし、リアシートにはリクライニング機能が備わっていないため、長時間のドライブでは姿勢を変えられないという制約があります。これは、多彩なシートアレンジを可能にするための設計上の制約でもあります。
「フィットは6人乗りにできないのか?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。結論から言うと、フィットには6人乗りの仕様は存在せず、また法的にも5人以上の乗車は認められていません。
フィットはコンパクトカーとしての設計思想に基づいており、都市部での使いやすさや日常的な移動に適したモデルとして開発されています。そのため、3列シートを備えたミニバンのような6人以上の乗車を想定した設計にはなっていません。
もし6人以上での移動が必要な場合は、ホンダの他のモデルである「フリード」や「ステップワゴン」などのミニバンタイプを検討することが適しています。これらのモデルは3列シートを備えており、7人乗りや8人乗りに対応しています。
また、法律上も車検証に記載された乗車定員を超えての利用は道路交通法違反となり、罰則の対象となります。安全面でも、定員を超えた乗車はシートベルトが着用できないなどの問題があり、事故時の被害が大きくなる恐れがあります。
フィットの魅力の一つは、多彩なシートアレンジが可能な点です。5人乗りの乗車定員を活かしつつ、必要に応じて荷室を拡大することができます。
リアシートは4:6分割可倒式となっており、前面に倒すことでラゲッジルーム(荷室)とフラットな床面が現れます。これにより、リアシートのスペースをラゲッジルームとして使用できるようになります。
荷室長は通常時では700mmですが、ラゲッジルーム拡大時には1,550mmまで広がり、自転車などの大きな荷物も積み込むことが可能になります。また、「ロングモード」「ユーティリティモード」「トールモード」などの様々なシートアレンジが可能で、用途に応じた使い方ができます。
特に注目すべきは、助手席を倒すことで約2.4mの長い荷物も収納できる点です。これはサーフボードやスキー板などの長尺物の運搬に便利な機能です。また、ホンダ特有の低床設計により、荷物の積み下ろしもスムーズに行えます。
小さなお子さんがいるファミリーにとって、チャイルドシートの設置可能性は重要な検討ポイントです。フィットは5人乗りですが、チャイルドシートを設置すると実質的な乗車人数はどうなるのでしょうか。
フィットの後部座席には、チャイルドシートを設置するためのISOFIX対応固定バーが装備されています。これにより、安全かつ簡単にチャイルドシートを取り付けることができます。ただし、チャイルドシートを設置すると、その分の座席が使用できなくなるため、実質的な乗車人数は減少します。
一般的に、後部座席に1つチャイルドシートを設置した場合、後部座席には大人2人が乗車できなくなります。特に大きなサイズのチャイルドシートを使用する場合は、隣の座席のスペースも圧迫される可能性があります。
また、チャイルドシートは中央席にも装着可能ですが、その場合は両サイドの座席スペースが狭くなることがあります。家族構成や子どもの年齢に応じて、最適な配置を検討することが重要です。
実際の家族利用では、両親と子ども2人(うち1人がチャイルドシート使用)という構成であれば、十分に対応可能です。ただし、3人以上の子どもがいる場合や、複数のチャイルドシートが必要な場合は、スペース的に厳しくなる可能性があります。
フィットの室内空間は広めに設計されていますが、チャイルドシートの設置により実質的な乗車人数や快適性が変わることを考慮して、家族のライフスタイルに合わせた判断が必要です。
チャイルドシートの選び方については、コンパクトタイプを選ぶことで、隣の座席への影響を最小限に抑えることができます。また、子どもの成長に合わせて、ジュニアシートやブースターシートへの移行も検討しましょう。
フィットで長距離ドライブを計画している場合、5人全員で乗車する際の快適性について考慮すべきポイントがあります。
まず、フィットは都市部での使用を主に想定したコンパクトカーであるため、5人全員で長距離ドライブをする場合は、特に後部座席の快適性に注意が必要です。大人5人が乗車すると、特に後部座席の3人は窮屈に感じる可能性が高くなります。
長距離ドライブでは、4人程度の乗車が快適さを保つ上で理想的です。これにより、後部座席に余裕ができ、長時間の移動でも疲労が軽減されます。また、荷物のスペースも確保しやすくなります。
注意すべき点として、リアシートにはリクライニング機能がないため、長時間同じ姿勢を維持することになります。これは特に長距離移動では疲労の原因となる可能性があります。クッションや小さな枕を用意するなど、快適性を高める工夫をすることをおすすめします。
また、エアコンの効きについても考慮が必要です。フィットはコンパクトカーながら室内空間が広いため、夏場の冷房や冬場の暖房が全体に行き渡るまで少し時間がかかることがあります。特に後部座席の乗員にとっては、温度調整が前席ほど快適でない場合があります。
燃費面では、フィットはハイブリッドモデル(e:HEV)を選ぶと、WLTCモード燃費で約30km/Lという優れた燃費性能を発揮します。これは長距離ドライブでの経済性に貢献します。ただし、5人乗車時は車両重量が増加するため、カタログ値よりも燃費が落ちることを想定しておくとよいでしょう。
長距離ドライブでは、定期的な休憩を取ることも重要です。特に5人乗車時は車内がやや混雑するため、2時間に1回程度は休憩ポイントで停車し、体を伸ばす時間を設けることをおすすめします。
フィットは全グレードで5人乗りですが、グレードによって装備や快適性に違いがあります。家族構成や使用目的に合わせた最適なグレード選びのポイントを見ていきましょう。
ハイブリッドモデル(e:HEV)には、「BASIC」「HOME」「NESS」「CROSSTAR」「LUXE」「Modulo X」などのグレードがあります。ガソリン車も同様のグレード展開となっていますが、「Modulo X」はハイブリッド専用です。
「BASIC」グレードは、基本的な装備を備えたエントリーモデルです。価格を抑えたい方や、シンプルな使い方を望む方に適しています。「HOME」グレードは、日常使いに便利な装備が充実しており、ファミリーユースにおすすめです。
「NESS」グレードは、スポーティな外観と装備が特徴で、若い世代や個性を求める方に人気があります。「CROSSTAR」は、SUVテイストのデザインと高い最低地上高が特徴で、アウトドア志向の方に適しています。「LUXE」は、高級感のある内装と充実した装備が魅力で、快適性を重視する方におすすめです。
駆動方式は、FF(前輪駆動)と4WD(四輪駆動)から選択できます(Modulo Xを除く)。雪国や山間部にお住まいの方は、安定性の高い4WDを検討するとよいでしょう。ただし、4WDは燃費が若干低下する点に注意が必要です。
燃費性能を重視するなら、e:HEVモデルがおすすめです。WLTCモード燃費で約30km/Lという優れた数値を誇り、長距離ドライブや日常使いでの経済性に貢献します。
家族で使用する場合は、安全装備も重要なポイントです。フィットには、衝突軽減ブレーキや車線維持支援システムなどの先進安全技術「Honda SENSING」が搭載されています。グレードによって装備内容に違いがあるため、安全性を重視する場合は、上位グレードを検討するとよいでしょう。
また、チャイルドシートの使用を前提とする場合は、後部座席へのアクセスのしやすさも確認しておくとよいでしょう。フィットは5ドアハッチバックのため、リアドアからのアクセスが容易ですが、ドアの開口部の広さはチェックポイントとなります。
価格帯は、新車で約210万円〜300万円程度、中古車では約120万円〜280万円程度となっています。予算と必要な装備のバランスを考慮して、最適なグレードを選びましょう。
フィットの燃費性能は、特にハイブリッドモデル(e:HEV)で優れた数値を示しています。カタログ上のWLTCモード燃費は約30km/Lですが、実際の使用条件では変動します。特に乗車人数が増えると、車両重量の増加により燃費に影響が出ます。
5人乗車時の実燃費は、カタログ値より約10〜15%程度低下すると考えておくとよいでしょう。つまり、e:HEVモデルで約25〜27km/L程度の実燃費が期待できます。これは同クラスの車種と比較しても優れた数値です。
ガソリン車の場合は、WLTCモード燃費が約20km/L程度で、5人乗車時には約17〜18km/L程度になると予想されます。長距離ドライブや家族旅行を計画する際は、この実燃費を基に給油計画を立てるとよいでしょう。
フィットのガソリンタンク容量は約40Lです。これを基に計算すると、ハイブリッドモデルの航続距離は満タン時に約1,000〜1,100km、5人乗車時でも約900〜950km程度走行可能です。ガソリン車の場合は、約700〜800km、5人乗車時で約650〜700km程度となります。
実際の航続距離は、走行条件(市街地走行か高速道路走行か)、運転スタイル、エアコンの使用状況などによっても変動します。特に夏場のエアコン使用時や冬場の暖房使用時は、燃費が低下することを考慮しておくとよいでしょう。
また、荷物の量も燃費に影響します。5人乗車に加えて大量の荷物を積載すると、さらに燃費は低下します。家族旅行などで大量の荷物を積む場合は、航続距離が約10〜15%程度短くなると想定しておくことをおすすめします。
燃費を良くするためのコツとしては、急発進・急加速を避ける、適切なタイヤ空気圧を維持する、不要な荷物を積まないなどが挙げられます。特にハイブリッドモデルでは、エネルギー回生システムを効果的に活用するため、緩やかな減速を心がけるとよいでしょう。
ホンダ公式サイト:フィットの性能・燃費情報
フィットの実燃費データについては、上記の公式サイトで詳細な情報が確認できます。また、実オーナーの燃費レポートも参考になるでしょう。
以上のように、フィットは5人乗りのコンパクトカーでありながら、優れた燃費性能と実用的な航続距離を誇ります。家族での使用や長距離ドライブにも十分対応できる性能を持っていると言えるでしょう。