
車のブランドイメージを語る上で、各調査機関が発表するランキングは重要な指標になります。J.D. パワーが実施した2023年日本自動車商品魅力度調査では、マスマーケットブランドの第1位にMINIがランクインしました。MINIは都市にフィットする小型なパッケージングと個性的なデザインで人気を博しており、コンパクトなサイズ感とレトロな内外装が特徴です。第2位にはスバルが入り、航空機メーカーを前身とする同社は水平対向エンジンやAWDの技術を磨き、予防安全パッケージ「アイサイト」の普及により安心・安全なクルマとしてのイメージを確立しています。
参考)「自動車ブランド」魅力度ランキングTOP10! マスマーケッ…
2025年の日本自動車サービス顧客満足度調査では、ラグジュアリーブランド部門でレクサスが第1位となり、マスマーケット国産ブランド部門では日産が首位を獲得しました。総合満足度の調査平均スコアは723ポイント(1,000ポイント満点)で、ファクター別では「店舗施設・サポート」「予約/入庫」「サービス品質/納車」がすべて722〜723ポイントとほぼ同水準となっています。
参考)アフターサービスの満足度、レクサス&日産が1位に。 J.D.…
アメリカのコンシューマー・レポートが発表したランキングでは、BMWが初めて首位を獲得し、高性能、高機能で信頼性の高いモデルを数多く製造していることが評価されました。同調査ではスバル、トヨタ、マツダといった非高級ブランドも過去数年間一貫して上位にランクインしており、消費者が高品質なクルマを手に入れるために手頃な価格を犠牲にする必要はないことを示しています。
参考)【アーカイブ】コンシューマーレポートによる自動車ブランド格付…
車のブランドイメージは複数の要素から構成されており、各メーカーはそれぞれ異なる特徴を持っています。日本自動車ユーザー研究所が実施した国内9社のブランドイメージ調査によると、「ダイハツ・スズキ=手に届きやすい」、「レクサス=高級感がある」というイメージが顕著でした。軽自動車を主力とするダイハツ・スズキと高級路線のレクサスというブランドイメージが確立されていることが分かります。
参考)国内のクルマメーカー9社に抱くイメージは?【ブランドイメージ…
トヨタと日産のイメージは比較的似ており、「高級感がある」「国際的」といった印象を持たれています。一方、スバル・マツダのイメージも類似しており、「オリジナリティがある」「スポーティ」という評価を受けています。ホンダはどちらかと言うと「カッコいい・ワクワクする」イメージで、三菱は「手に届きやすい」というイメージを持たれている傾向があります。
年代によってもブランドイメージは変化します。スバルとマツダは60代の消費者にとっては「手に届きやすい(価格が安い)」イメージが強いですが、年代が下がるにつれて「カッコいい」イメージに近づいていきます。これはマイナーなイメージの強かったこれらのブランドが、独自路線・高付加価値を打ち出すことでイメージ転換に成功したと考えられます。日産も年代によりイメージが異なり、40~60代が「信頼できる・堅実」といったイメージを持つのに対し、20~30代は「先進的・高級感がある」といったイメージを持っています。
国産車と輸入車ではブランドイメージに明確な違いがあります。イードが実施した海外自動車ブランド20社のイメージ調査では、Mercedes-Benz・BMW・Audiなどのドイツ車は「高級感」軸と「信頼」軸の間に位置しており、「高級で信頼できる」ブランドとして認知されています。一方、同じドイツ車でもVWは「信頼」軸と「親しみやすさ」軸の間に位置しており、前の3社とは異なるイメージを持たれていることが分かります。
参考)購入を検討する海外自動車ブランドの特徴とは href="https://u-site.jp/survey/foreign-car-brand-image" target="_blank">https://u-site.jp/survey/foreign-car-brand-imageamp;#8211; …
Jeepは年代によってイメージが大きく異なり、若い人は「デザイン力(がある)」というイメージを持っていますが、年代が上がるにつれて「親しみやすさ」のイメージが強くなっています。SUVという言葉が出始める前は、Jeepといえば4WDやオフロード車の代名詞だったこともあり、上の年代の方は「Jeep」に馴染みがあるためと考えられます。
欧州人からすると日本車は決して高級車ではありませんが、高い品質からくる信頼性は非常に評価されています。ランサーエボリューションやインプレッサWRXなどはWRCで活躍しており、欧州車と比較して安価ながら丈夫ということもあり、スポーツカーとして大変人気があります。オーリスやスイフトなどはコンパクトハッチとして定評がありますが、高級車と言われるレクサスなどはあまり人気がないようです。そのため日本=高級車というイメージがなく、ドイツ人などからすれば日本車は「安くて壊れない車」程度に留まっています。
参考)日本で高級車といえばドイツ車、では海外で日本車はどう見られて…
車メーカーの格付けは、企業の財務安定性や信頼性を示す重要な指標です。格付投資情報センター(R&I)による長期・発行体格付では、トヨタがAAAで第1位、ダイハツがAA+で第2位、ホンダがAAで第3位となっています。第4位はスズキでA、第5位はスバルと日産がともにA-、第7位はマツダと三菱がともにBBB+という結果です。
参考)【国内】最新自動車メーカー格付けランキング2025
2025年3月期に過去最大の最終赤字に陥った日産自動車は格付の方向性がネガティブに変更された一方で、スズキは2025年9月12日付で格付けがポジティブに変更となりました。これらの信用格付は、その会社および連結子会社が格付機関に提供する情報または格付機関が信頼できると考える他の情報に基づいて行われ、発行する特定の債券に係る信用リスクに対する評価に基づいています。
海外に目を向けると、高級車の格付けでは明確な階層が存在します。世界の高級ハイブランドランキングでは、ルイヴィトンが1位、エルメスが2位という結果ですが、自動車業界でも同様の格付けが存在し、メルセデス・ベンツは高級車の代名詞として世界中で認知されています。1886年に世界初の自動車を発明して以来、革新的な技術と洗練されたデザインで自動車業界をリードしてきました。同社の強みは、卓越した品質と先進技術の融合にあり、Sクラスの高級セダンからGLEなどの高級SUVまで、幅広いラグジュアリー車種を展開しています。
参考)車メーカーの特徴を徹底比較!国内外主要メーカーの強みと選び方…
高級車ランキングでブランドイメージの良さは22.2%の人が特徴の一つとしてとらえており、車両価格の高さ(36.8%)に次ぐ重要な要素となっています。これは価格だけでなく、ブランドが持つ歴史や技術力、デザイン性などが総合的に評価されていることを示しています。
参考)【約5000人に聞いた】高級車ランキング!憧れの高級車3選を…
車の購入において、ブランドイメージは消費者の意思決定に大きな影響を与えます。自動車は移動の手段という機能的側面を持つと同時に、自己を表現するための手段としての社会的側面も持ち合わせています。自動車の価格が他の耐久消費財に比べ下落幅が小さいのは、自己実現の手段として自動車が社会的に意味を持っているからです。つまり、自動車は所有することによりその人らしさを形成することができる象徴的商品であり、消費者は選択行動において、理想の自己イメージに近い商品を選ぼうとする可能性が高いのです。
参考)https://www.kbs.keio.ac.jp/ikeolab/ikeoHP/M25/M25-5.htm
ブランドストーリーとヘリテージも重要な要素です。創業者の理念はブランドへの共感を生み、ソイチロ・ホンダの「人の役に立つ」精神がその好例です。レーシングの歴史は情熱と憧れを生み出し、フェラーリのF1参戦の歴史がそれを象徴しています。技術革新の系譜は先進性と信頼感をもたらし、アウディの「Vorsprung durch Technik」(技術による先進)がその代表例です。
参考)車が売れる本質を探る:機能を超えた情緒的・社会的価値の重要性…
トヨタのブランド戦略は、トヨタ生産方式(TPS)やカイゼン(Kaizen)の文化によって品質とコスト競争力の両立を実現し、「壊れにくい車」というブランドイメージを確立しました。高級ブランド「レクサス」やハイブリッド車「プリウス」など、消費者ニーズを先取りした商品展開がブランド価値を向上させる要素となっています。長期的な視点でブランド価値を構築し、品質、信頼性、持続可能性など一貫した価値提供を続けることがブランドの強さにつながります。
参考)【徹底解説】トヨタのブランド戦略の全貌 — 成功の秘訣と未来…
国内メーカーは高品質と信頼性で知られ、世界的に高いシェアを誇るトヨタが代表的です。一方、海外メーカーは革新的なデザイン・先進技術で人気を集めており、購入者はこれらの特徴を比較しながら自分に合ったブランドを選択しています。車選びにおいては、単に機能面だけでなく、ブランドが持つ歴史、技術、デザイン、そして自分のライフスタイルに合ったイメージを総合的に判断することが重要です。