tig溶接の資格と講習を種類別に取得方法まで解説

tig溶接の資格と講習を種類別に取得方法まで解説

TIG溶接の資格と講習を種類・取得方法・費用で徹底解説

マフラーの排気漏れを溶接で直せるのに、資格なしで業者に頼むと工賃だけで5万円以上かかることがあります。


この記事でわかること
🔧
TIG溶接に必要な資格の種類

「特別教育」と「JIS溶接技能者」の2種類が基本。目的別にどちらが必要かがわかります。

💰
費用と取得までの日数

アーク溶接特別教育は最短3日・1〜2万円。オンライン受講なら自宅のスマホだけで学科が完結します。

⚠️
無資格で作業すると起きること

事業者には6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。DIYと業務の線引きを正確に知っておきましょう。


TIG溶接と資格の関係|業務とDIYでルールが変わる





TIG溶接(Tungsten Inert Gas 溶接)は、タングステン電極とアルゴンガスを使うアーク溶接の一種です。火花が出ないため、ステンレスやアルミ、チタンなど薄板の精密な溶接が得意で、自動車のマフラー・エキマニ修理やカスタム部品の製作にも広く使われています。


ここで多くの人が疑問に思うのが「資格って本当に必要なの?」という点です。結論から言うと、場面によって答えが変わります。


個人のDIY目的でTIG溶接をする場合、法律上の資格は一切不要です。アルゴンガスは不活性ガスで危険性が低く、取り扱いに厳しい制約もありません。自宅のガレージで自分の車のマフラーを溶接するだけなら、資格ゼロでも問題ありません。


一方、仕事としてTIG溶接を行う場合は話が変わります。労働安全衛生法と労働安全衛生規則第36条第3号により、「アーク溶接等の業務に係る特別教育」の受講が義務づけられています。TIG溶接もアーク溶接の一種に分類されるため、当然この規定が適用されます。つまり業務でやるなら必須です。


無資格で業務として溶接させた事業者には、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。罰則は作業者ではなく雇用した側(事業者)に課される点が要注意です。


自動車好きで整備を副業や趣味の延長で請け負い始めた場合も、「報酬を得る業務」と判断されると適用対象になり得ます。痛いですね。








場面 資格の要否 根拠
個人DIY(自分の車・バイク) 不要 業務に該当しない
会社・工場での溶接業務 必要(特別教育) 労働安全衛生規則第36条
有償での溶接請負 必要(特別教育) 業務として判断される


DIYと業務の線引きを正確に知っておくことが、法的リスクを防ぐ第一歩です。



参考:アーク溶接等の業務に係る特別教育の詳細(一般社団法人 安全衛生推進協会)

アーク溶接等の業務に係る特別教育 | 受講要件・コース・費用の詳細


TIG溶接の最初の関門|アーク溶接等特別教育の内容と費用

業務でTIG溶接を行うための最初のステップが「アーク溶接等の業務に係る特別教育」の受講です。「特別教育」という名前ですが、試験で落ちる性質のものではなく、定められた時間を受講して修了することで資格が得られる仕組みになっています。合格率はほぼ100%です。


講習内容と時間数は法令で決まっています。








区分 内容 時間数
学科 アーク溶接の基礎理論・電気知識・溶接材料・関係法令・安全衛生 11時間
実技 溶接装置の取扱い・基本操作・安全作業の実践 10時間以上
合計 21時間以上


通常の会場講習では学科・実技あわせて3日間で完了します。費用の目安は1万円〜2万5千円程度(テキスト代・材料費込み)です。東京や大阪などの都市部は2万円前後が相場です。


この資格には有効期限がなく、更新も不要です。一度取得すれば生涯有効というのは、運転免許のような期限付き更新と大きく異なる点です。


さらに近年は、学科部分をオンライン(eラーニング)で受講できる機関が増えています。スマートフォン1台で自宅のソファに座ったまま学科11時間を受講できるため、平日仕事をしながらでも週末に実技だけ通えば資格が取れます。これは使えそうです。


実技については、法令上「通信教育のみ」での修了は認められていないため、必ずどこかの会場に出向く必要があります。しかし、CICやSATなどの大手講習機関では学科のWeb受講+実技の会場受講という組み合わせが可能で、スケジュールを柔軟に組めます。


修了証は講習修了当日に交付されるのが一般的です。修了証が手元にあれば、製造現場・建設現場などで溶接業務に従事できる状態になります。



参考:学科のWeb受講方法と費用感(CIC日本建設情報センター)

アーク溶接等特別教育はWeb受講がおすすめ!受講方法と費用を解説


TIG溶接の腕を証明するJIS溶接技能者|種類・難易度・合格率

アーク溶接特別教育はあくまで「溶接を業務として行う許可証」です。これだけでは技術レベルの証明にはなりません。現場や取引先から「どのくらい溶接がうまいか」を求められるとき、必要になるのがJIS溶接技能者評価試験(日本溶接協会・JWES主催)です。


TIG溶接に関連するJIS溶接技能者には、大きく2種類あります。







資格名 主な対象材料 代表的な資格記号 合格率の目安
手溶接技能者(TIG) 炭素鋼 T-1F(基本級)・T-1P(専門級) 基本級:約80%
ステンレス鋼溶接技能者(TIG) ステンレス鋼 TN-F(基本級)・TN-P(専門級) 基本級:約80%


基本級(T-1F / TN-F)は下向き姿勢のみで、比較的取り組みやすい区分です。専門級(T-1P / TN-P)は全姿勢の配管溶接で、これが取れると「どんな姿勢でも溶接できる」という強力な技術証明になります。現場で最も求められるのもこの「パイプ資格」です。


試験は学科試験(20問、60%以上で合格)と実技試験(外観検査・曲げ試験)の2本立てです。学科は過去問1回程度で対策できるレベルですが、実技は練習なしでは通りません。最低でも1〜3ヶ月の反復練習が現実的なラインです。


費用は学科が約1,100円〜1,210円と低コストですが、実技は材料費・受験料・認証料を合わせると数万円になることもあります。2024年10月以降、受験料が改定されているため、最新の料金は日本溶接協会の公式サイトで確認することを勧めます。


資格は基本的に終身有効ですが、定期試験を通じて技量の維持が確認される仕組みです。資格が基本です。



参考:JIS溶接技能者評価試験の料金一覧(日本溶接協会・JWES)

溶接技能者評価試験に係る各料金の一覧(2024年10月1日以降)PDF


TIG溶接の資格と講習の受講手順|流れを3ステップで整理

「何から手をつければいいかわからない」という声は多く聞かれます。ここでは、業務でTIG溶接を始めたい人を想定して、資格取得の流れを整理します。


ステップ① アーク溶接等特別教育を受講する(最優先)


まず全員が通るべき入口がここです。仕事でTIG溶接を1回でも行うなら、この受講が法的な前提条件になります。近くの労働基準協会・建設業教育機関・ポリテクセンターなどで開催されています。スマートフォンで「アーク溶接 特別教育 都道府県名」と検索すれば、最寄りの受講機関が見つかります。


| 手順 | 内容 | 目安 |
|------|------|------|
| 受講機関を探す | 都道府県の労基協会・教習機関・オンライン | 1〜2日 |
| 申し込み・受講 | 学科11h+実技10h(計3日間) | 最短3日 |
| 修了証の受領 | 受講修了当日に交付 | 当日 |


ステップ② 実務経験を積みながらJIS溶接技能者の基本級を取得する


特別教育取得後、1ヶ月以上の実技練習を経たら基本級(T-1F または TN-F)を受験できます。下向き姿勢の試験なので、比較的短期間で到達できるラインです。


ステップ③ 専門級(全姿勢・配管)を取得してスキルを証明する


基本級取得後、3ヶ月以上の実務経験を積んで専門級(T-1P または TN-P)に挑戦します。これが取れると、自動車・プラント・建設など幅広い現場で技量が認められます。結論はこの順番で進むのが最短です。


受講機関によっては、JIS試験直前に「溶接技能者評価試験準備講習会」を開催しているところもあります(神奈川溶接協会など)。初受験者には合格率を上げる有効な手段です。



参考:資格取得の全体フローと費用比較(産業能率センター)

【2026年版】溶接資格の種類一覧|難易度・取得方法・費用を徹底解説


TIG溶接の資格を活かせる場面|自動車整備から転職まで独自視点で整理

溶接資格の記事ではキャリアアップや就職の話が中心になりがちですが、ここでは自動車に深く関わる人の視点から、TIG溶接の資格が実生活・実務でどう活きるかを整理します。


🚗 マフラー・エキマニ修理のDIY→有償化への道


マフラーのクラック(亀裂)や排気漏れをTIG溶接で直すと、工賃だけで3万〜5万円かかる修理が材料費数百円で済みます。DIYなら資格不要ですが、「友人の車も直したい」「副業でやりたい」となった時点で業務扱いになります。そのタイミングで特別教育を取得しておくことが、法的リスクを防ぎながらスキルを活かす正しい順序です。


🏭 自動車関連工場・整備工場への就職・転職


自動車メーカーのサプライヤー(部品製造)や整備工場では、TIG溶接ができる人材の需要は常にあります。特別教育+JIS溶接技能者(ステンレス・基本級以上)を持っていれば、未経験でも入社後戦力になれる根拠として評価されます。


🔩 カスタム・ワンオフパーツ製作の技術基盤


エキゾーストシステムのワンオフ製作、アルミのサスペンションパーツ溶接補修、チタンのボルトオンブラケット製作など、自動車カスタムの世界ではTIG溶接の精密さが欠かせません。JIS溶接技能者(T-1P)があれば、こうした精度が求められる作業に対応できる技術的裏付けを示せます。


📋 資格と経験のセットが収入に直結する


溶接工の平均年収は経験・資格によって大きく変わります。特別教育のみの場合と、JIS溶接技能者(専門級)を持つ場合では、求人の賃金レンジが1.5倍以上異なるケースも珍しくありません。40代の溶接工の平均年収は約526万円(業界データより)とされており、資格を積み上げることで収入の天井を上げられる職種です。これは使えそうです。



参考:溶接工の年収と資格の関係(gaten.info)

溶接工の年収は安い?賞与・日当の相場や経験・年齢別の平均年収も紹介




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