車の売買契約書作成ガイド個人間売買必要項目

車の売買契約書作成ガイド個人間売買必要項目

車の売買契約書作成完全ガイド

車の売買契約書の重要ポイント
📝
必須項目の記載

車両情報・売買金額・引き渡し条件を明確に記載

⚖️
責任範囲の設定

瑕疵担保責任や契約不適合責任の期間を明確化

🔒
トラブル防止対策

名義変更期限や特約事項で後々の問題を回避

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車の売買契約書に記載すべき必須項目

車の売買契約書は、売主と買主の双方が取引内容に合意したことを証明する重要な文書です。契約書には法的拘束力があるため、署名後の変更や取り消しは原則として困難になります。

 

車両に関する基本情報

  • 登録番号(ナンバープレート
  • 初年度登録年月
  • 車名・型式
  • 車台番号(車検証記載)
  • 車検満了日
  • 走行距離数
  • 修復歴の有無
  • 車体色

取引条件の詳細

  • 契約日
  • 車両引き渡し日
  • 引き渡し時刻
  • 名義変更期日
  • 売買価格(車両価格、自動車税、自賠責保険料、リサイクル券を含む)
  • 支払い方法
  • 契約キャンセル時の損害金

売買対象の車に関する情報は契約書の必須項目です。具体的には、年式や排気量、走行距離、修復歴、色などがあり、できる限り細かく記載しましょう。これらの情報が不正確だった場合、後々大きなトラブルの原因となる可能性があります。

 

特に注意すべきは走行距離の記載です。契約書には「甲保有期間内に日常使用にて加算される」という文言を入れることで、引き渡しまでの使用による距離増加に対応できます。

 

車の売買契約書における瑕疵担保責任の設定方法

瑕疵担保責任とは、引き渡し後に発見された車両の不具合について、売主がどの程度責任を負うかを定めた制度です。個人間売買では、この責任範囲を契約書で明確に設定することが重要です。

 

瑕疵担保期間の設定
一般的な設定例。

  • 車両引き渡し日より15日間
  • 1ヶ月間
  • 設定しない(0日)

修理費用の負担割合

  • 甲(売主)50%に対し乙(買主)50%
  • 売主が全額負担
  • 買主が全額負担(現状引き渡し)

個人間売買の場合、「現状引き渡し」つまり、売った後なんの責任も負わない、という契約を結ぶことが出来ます。また、1ヶ月だけ保証はするがそれ以降は一切保証なしという契約も可能です。

 

重大な瑕疵に関する特約
原動機や変速機の重大欠陥で走行が不可能または著しく危険と認められる場合については、瑕疵修理負担割合に関わらず販売価格を上限とする修理費用全額を売主が負担するという特約を設けることもあります。

 

契約不適合責任について実例を交えて解説すると、車の売却後、1年保証が必要という誤解がありますが、個人間売買では契約書で責任期間を自由に設定できます。

 

車の売買契約書での名義変更と引き渡し条件

名義変更手続きは車の売買において最も重要な手続きの一つです。契約書には名義変更の期日を明確に記載し、双方の責任を明確化する必要があります。

 

名義変更に関する条項

  • 使用者の移転登録申請期日:車両引き渡し後30日以内
  • 新車検証のコピー提出:移転登録後7日以内
  • 移転登録の責任者:通常は買主

引き渡し条件の設定

  • 支払完了後に双方で協議し決定
  • 具体的な日時の指定
  • 引き渡し場所の明記
  • 運送費用等の負担者

割賦契約(分割払い)の場合は特に注意が必要です。初回支払いを手付金として扱い、車両の引き渡しは車両売買代金の支払い完了後に双方で協議し決定するという条項を設けることが一般的です。

 

引き渡し後の責任
自動車引き渡し後の事故などについては、買主の責任において全ての処理を行い、買主は売主に一切の迷惑をかけないものとするという条項を必ず含めましょう。

 

名義変更が遅れると、自動車税の請求が売主に届き続けるなどの問題が発生するため、期日の設定と遵守は極めて重要です。

 

車の売買契約書トラブル防止のための特約事項

車の個人間売買では、予期せぬトラブルを防ぐための特約事項を契約書に盛り込むことが重要です。これらの特約により、後々の紛争を未然に防ぐことができます。

 

危険負担に関する特約
売買契約が成立してから引き渡しまでの間に、事故や災害、盗難などで対象となる車が損傷・滅失してしまうことがあり、売買が成立しなくなるケースがあります。その場合の負担をどうするのか決めておくのが危険負担です。

 

危険負担の移転時期は民法に規定がありますが、この規定は強行規定ではありませんので、当事者の合意によって別の定めをすることができます。例えば。

  • 「目的物の危険負担は、引渡しが完了した時に、売主から買主に移転する」
  • 「目的物の危険負担は、商品の検査が完了した時に、売主から買主に移転する」

契約解除に関する特約

  • 手付金の扱い:初回支払いの金額を手付金とし、契約解除時の損害金として扱う
  • 支払い遅延時の対応:正当な理由なく買主が支払いを滞納した際は、売主の責任で契約を解除できる
  • 売主の管理責任:引き渡し日までに売主の管理責任により該当車両に大きな変化があった場合は、買主は損害金なしに契約解除できる

協議事項の設定
協議事項とは、万が一何かしらのトラブルが発生したときに「お互いに誠意を持って協議の上で解決する」ということを確認するための文言です。必須項目ではありませんが、「売主・買主ともに契約の履行を誠実に行う」という意志を確認するためには有効な手段で、個人売買でも多くの契約書に盛り込まれています。

 

車の売買契約書作成時の注意点と法的効力

車の売買契約書を作成する際には、法的効力を確保し、将来的なトラブルを防ぐための重要な注意点があります。

 

電子契約の法的効力
近年は、従来の紙の契約書に加えて電子契約を導入する買取業者も増えています。電子契約では、タブレット端末やスマートフォンによる署名で契約が成立し、契約内容はデジタルデータとして共有されます。電子契約も紙の契約書と同等の法的効力を持っているため、いずれにしてもしっかりと内容を確認しましょう。

 

所有権移転時期の重要性
所有権の移転時期は売主にとっては遅い方が都合がよく、買主にとっては早い方がよいということになります。契約書を作成するときには所有権の移転時期をずらすことにより当事者間の利益調整を行うことが必要になってきます。

 

例えば。

  • 所有権の移転時期を代金の支払いが完了した時とする
  • 納品が完了した時に所有権を移転する
  • 名義変更手続き完了時に所有権を移転する

契約書作成時の実務的注意点

  • すべての項目を手書きではなく、印刷された契約書を使用する
  • 修正液や訂正テープの使用は避け、訂正印を使用する
  • 売主・買主双方の署名と実印の押印を必須とする
  • 印鑑証明書の添付を検討する
  • 契約書は最低2通作成し、双方で保管する

トラブル発生時の対応準備
所有権や危険負担の移転の時期によって、いざというときに当事者のどちらが負担を負うかが決まってきます。所有権や危険負担の移転時期は、取引がスムーズに進んでいる間は問題にはなりません。しかし、いざトラブルが発生したときには不測の損害が発生する原因となりかねません。

 

専門家への相談の重要性
売買契約書を作成するときの所有権や危険負担の移転時期をどのように設定するべきかは個別の契約によって異なりますので、専門家である弁護士にご相談することをお勧めいたします。

 

車の個人間売買における契約書は、単なる書類ではなく、双方の権利と義務を明確に定めた法的文書です。クルマのような高額商品の取引では、些細な認識の違いが大きな問題に発展する可能性があるため、詳細な契約書の作成が不可欠です。適切な契約書を作成することで、安心して車の売買取引を進めることができるでしょう。