韓国ナンバープレートの歴史と特徴と封印廃止

韓国ナンバープレートの歴史と特徴と封印廃止

韓国ナンバープレートの歴史と特徴

韓国ナンバープレートの基本情報
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現行デザイン

2006年11月から導入された欧州連合型の横長デザイン。白地に黒文字が基本。

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桁数の変更

2019年9月から6桁から7桁へ変更。増加する車両登録に対応。

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封印制度

2025年2月21日に封印制度が正式に廃止。新規登録車は封印不要に。

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韓国ナンバープレートの歴史的変遷と日本との類似点

韓国のナンバープレートは、その歴史において日本との深い関わりを持っています。日本からの独立後、1970年代以前の韓国ナンバープレートは、横幅が日本のプレートを模倣したデザインでした。ただし、上下幅は日本より狭く、縦横比は約1:3程度でした。

 

当時の表記法は非常に特徴的で、プレートの左側にはハングルで地名(道やソウル特別市、釜山直轄市など)が縦2文字で縦書きされていました。その右下側には車種区分を示すハングル1文字、さらに右側に4桁の数字が配置されていました。色彩については、自家用車用のプレートは緑地に白文字という組み合わせが採用されていました。

 

1973年から2004年までの期間は、ナンバープレートの形式が大きく変わりました。この時期のプレートは日本のナンバープレートと極めて類似しており、以下の特徴を持っていました。

  • ハングル表記の登録地
  • 車種記号2桁(初期は1桁)
  • 用途記号1字
  • 一連番号4桁(例:서울 01 가 1234)

サイズも日本と非常に似ており、普通車用は縦170mm×横336mm、縦横比も1:2と日本のナンバープレートとほぼ同じでした。色分けについても、自家用車は緑色、タクシーなどの事業用車両は黄色という区別がありました。

 

この時期の車種記号は年代によって異なる意味を持っていました。
【1973年-1996年】

  • 0・1・2・3・4:乗用車(0は特殊目的のみ)
  • 5・6:乗合車(バスなど)
  • 7・8:貨物車
  • 9:特殊車両

【1996年-2004年】

  • 10-69:乗用車
  • 70-79:商用車(バンなど)
  • 80-97:貨物車(トラック)
  • 98-99:特殊車両(キャンピングカーなど、建設機械は除く)

韓国ナンバープレートの現行デザインと欧州型への移行

2006年11月、韓国のナンバープレートは大きな転換期を迎えました。それまでの日本型から欧州連合型へと移行し、現在の形状は欧州連合のナンバープレートと同サイズの横長、白地に黒文字という特徴を持つようになりました。

 

この変更の背景には、増え続ける自動車登録台数への対応という課題がありました。日本型のナンバープレートでは、限られた桁数で全ての車両を識別することが難しくなってきたのです。そのため、現行の車種記号2桁を3桁に拡張する案や、用途記号のハングル1字についても、自動車ナンバー自動読取装置の識別に問題ないパッチム(韓国語の子音)を追加する案が検討されるようになりました。

 

2004年から2006年の過渡期には、ハングルによる登録地表記を省略した新しいナンバーが登場しました。この改定は自家用車のみが対象で、事業用車については変更されませんでした。しかし、この2004年の改正は視認性やデザイン面での不満の声が強く、2006年の再改正につながりました。

 

現行のナンバープレートデザインは、以下の特徴を持っています。

  • 欧州連合型の横長デザイン
  • 白地に黒文字の配色
  • 車種記号と用途記号の組み合わせによる識別
  • 高度な偽造防止技術の採用

さらに、2019年9月1日からは、番号を6桁から7桁に増やした新ナンバープレートが導入されました。これにより、より多くの車両を効率的に管理できるようになりました。当初は、左側にEUのナンバープレートと同様の青帯に、太極模様と韓国の英語略称「KOR」の文字、偽造防止のホログラムを追加したデザインも予定されていましたが、技術的問題から2020年7月に延期されました。

 

韓国ナンバープレートの地域コードと社会的意味

韓国のナンバープレートには、単なる車両識別以上の社会的な意味が込められています。特に地域コードは、車の所有者の出身地や社会的ステータスを示す指標として機能することがあります。

 

韓国のナンバープレートの地域コードは、広域地域名が最初に表示され、その後に細部地域コードが続きます。例えば、「ソウル+55」の組み合わせは、ソウル江南区地域、特に「本物の江南」とも呼ばれる瑞草区地域のナンバープレートを示します。

 

1990年代から2000年代初頭にかけて、「ソウル52」と「ソウル55」のナンバープレートは特に人気がありました。これらのナンバープレート、特に同じ数字が繰り返される「55」は、富裕層の象徴として認識されるようになりました。つまり、特定のナンバープレートが社会的ステータスを表す記号として機能していたのです。

 

また、韓国には地域間の感情対立が存在することも注目すべき点です。特に慶尚道と全羅道のように地域感情の対立が激しい地域があります。このような背景から、ナンバープレートの地域コードは時に社会的な意味を持ち、地域差別の要因となることもありました。

 

地域コードの例。

  • ソウル5○:ソウルの江南地域(江南区、瑞草区、松坡区など)
  • ソウル52、ソウル55:特に富裕層の象徴とされるナンバー

このように、韓国のナンバープレートは単なる車両識別番号以上の社会的意味を持ち、時には所有者の社会的地位や出身地域を示す指標として機能してきました。

 

韓国ナンバープレート封印制度の廃止と影響

韓国では2025年2月21日に、長年続いていたナンバープレートの封印制度が正式に廃止されました。この制度改革により、韓国で新たに登録される車両には、ナンバープレートの封印が不要となりました。

 

封印制度廃止の主な理由は以下の3点に集約されます。

  1. 利便性の向上:これまでナンバープレートの封印は、自動車の登録や名義変更の際に義務付けられており、運輸当局の窓口で専用の封印を取り付ける必要がありました。この作業のために車両を移動させる手間や時間がかかることが問題視されていました。封印制度を廃止することで、登録手続きが簡素化され、所有者や販売業者の負担が軽減されました。
  2. 行政コストの削減:封印制度を維持するためには、封印を取り付けるための専用設備や管理体制の維持が必要であり、これには税金が投入されていました。封印制度を撤廃することで、これらのコストを削減し、行政の効率化が図られました。
  3. 技術的進歩:韓国では近年、高精度な偽造防止技術を採用したナンバープレートが導入されており、物理的な封印をしなくても、車両の登録情報を確実に管理できる環境が整っています。ホログラム技術や特殊フォント、透かし加工などが施されたナンバープレートが普及しており、ナンバープレート自体の改ざんが困難になっています。

ただし、この制度変更は2025年2月21日以降に新規登録される車両にのみ適用され、それ以前に登録された車両については、従来の封印制度が維持されています。つまり、封印制度廃止以前に登録された車両の封印を所有者の判断で取り外すことは認められていません。

 

封印制度廃止の影響としては、以下のような点が挙げられます。

  • 車両登録や名義変更の手続きが簡素化
  • 車両所有者の負担軽減と利便性向上
  • 運輸当局の業務負担減少と行政の効率化
  • ナンバープレートの盗難リスクへの懸念

今後、韓国政府はよりデジタル化された車両管理システムの導入も検討しており、さらなる効率化が進む可能性があります。

 

韓国ナンバープレートの特殊区分と日本への示唆

韓国のナンバープレートには、一般車両以外にも様々な特殊区分が存在し、それぞれ独自のデザインや規則が適用されています。これらの特殊区分は、車両の用途や所有者の特性に基づいて分類されています。

 

商用車
商用車のナンバープレートは、一般的に「[Province/City] ##」という形式で一方の行に表示され、もう一方の行には「L####」という形式で表示されます。これにより、商用車であることが一目で識別できるようになっています。

 

二輪車(バイク)
小型バイク用のナンバープレートは、白地に青色の文字で表示されるのが特徴です。登録番号は1つまたは2つの韓国語の文字の後に4つの数字が続く形式となっています。また、プレートの上部には地区を示す文字と2つの登録センターコードが記載されています。

 

パトカー(警察車両)
警察車両用のナンバープレートは、白地に黒色の文字で表示されます。登録番号は2つの数字、1つの韓国語の文字、そして4つの数字という構成になっています。

 

外交官ナンバー
外交車両のナンバープレートは、青色の地に白色の文字という特徴的なデザインです。プレートの上部には「외교」(外交官)という文字が記載され、プレート本体にはダッシュで区切られた6桁の数字(3桁-3桁)が表示されます。最初の3桁の数字は国を示すコードとなっています(例:086はベトナム大使館の車両を示す)。

 

これらの特殊区分は、韓国の交通管理システムの一部として重要な役割を果たしています。特に外交官ナンバーのような国際的な標準に準拠した区分は、国際交流の円滑化にも貢献しています。

 

日本のナンバープレート制度への示唆としては、以下のような点が考えられます。

  1. 封印制度の見直し:韓国が封印制度を廃止したことは、日本でも同様の議論を促す可能性があります。日本の国土交通省も韓国の動向を注視しており、将来的に日本でも封印制度の見直しが行われる可能性があります。
  2. デジタル技術の活用:韓国では高度な偽造防止技術を採用したナンバープレートが導入されています。日本でも同様のデジタル技術を活用することで、より効率的で安全な車両管理システムを構築できる可能性があります。
  3. 行政手続きの簡素化:韓国の封印制度廃止は、行政手続きの簡素化と効率化を目的としています。日本でも同様の観点から、車両登録や名義変更の手続きを簡素化する取り組みが進められる可能性があります。

韓国のナンバープレート制度の変遷は、日本を含む他国にとっても参考になる事例と言えるでしょう。特に、デジタル技術の活用や行政手続きの簡素化といった観点は、今後の日本の自動車管理制度にも影響を与える可能性があります。

 

日本の国土交通省による自動車登録制度についての詳細情報