
ホンダ車の塗装が「弱い」と言われる理由には、いくつかの要因があります。自動車業界や専門家の間では、ホンダ車の塗装の特性について様々な見解が存在しますが、実際のところどうなのでしょうか。ここでは、ホンダ車の塗装が弱いと言われる主な理由を詳しく解説していきます。
ホンダ車の塗装が弱いと言われる最大の理由は、その塗料の特性にあります。ホンダ車の塗装は他のメーカーと比較して「柔らかい」という特徴があります。塗装の柔らかさは、一見するとデメリットのように思えますが、実は小さな傷を修復しやすいというメリットもあります。
板金屋や磨き屋の専門家によると、ホンダの塗装は柔らかいため、小さな傷は比較的簡単に消すことができるそうです。しかし、その反面、磨きすぎると塗装がどんどん減ってしまうリスクもあります。つまり、傷の修復はしやすいものの、取り扱いには注意が必要なのです。
また、ホンダ車の塗装は紫外線や雨風といった外的要因による影響を受けやすく、特にルーフやボンネットなど直射日光を受ける部分では塗装が薄くなったり、変色したりする傾向があります。これは塗装の柔らかさが関係しており、硬い塗装に比べて外部からの刺激に弱いという特性があるのです。
ホンダ車の塗装が弱いと言われるもう一つの大きな理由は、クリアコートの厚みにあります。クリアコートとは、塗装の最上層に施される透明な保護層のことで、この層が厚いほど塗装の耐久性は高まります。
しかし、ホンダ車の場合、環境負荷を抑え、車体の軽量化を追求するという方針から、クリアコートが他メーカーよりも薄めに設定されていることがあります。この薄いクリアコートが、紫外線や酸性雨などの影響を受けやすく、結果として塗装の剥がれや退色が起こりやすくなっているのです。
専門家によると、クリアコートの厚さは塗装の寿命に直結する要素であり、薄いクリアコートは必然的に塗装の耐久性を下げることになります。ホンダ車のオーナーからは「洗車後にウォータースポットが残りやすい」「コーティングの効きが悪い」といった声も聞かれ、これらもクリアコートの薄さが原因と考えられています。
特にホンダのNシリーズ(N-BOX、N-ONE、N-WGNなど)は、塗装の弱さが顕著だと言われています。実際に、カー用品店やコーティング専門店の施工者からも「Nシリーズの塗装は特に弱い」という声が多く聞かれます。
あるコーティング専門業者の話によると、Nシリーズの塗装面は特に弱く、専門業者がポリッシャーをかけた時点で傷がつきやすく、磨きが難しいとのことです。また、ユーザーからは「洗車後にウォータースポットが残り、コーティング専用クリーナーで磨いても取れず、塗装面のクリヤー層までシミに侵されていた」という深刻な報告もあります。
さらに驚くべきことに、新車購入後すぐに塗装の問題が発覚するケースもあります。あるフリードオーナーの例では、新車購入後のコーティング施工時に再塗装の痕跡が発見され、メーカー側も再塗装の事実を認めて代替車を提供したという事例もあります。これは品質管理の面で大きな問題があることを示しています。
ホンダ車の塗装の弱さは、ボディカラーによっても差があります。特に黒や赤などの濃色は、塗装の弱さが目立ちやすいと言われています。
黒色の塗装は、太陽光を吸収しやすく、表面温度が上昇しやすいため、塗装の劣化が早まる傾向があります。また、黒は傷や汚れが目立ちやすいため、頻繁に洗車やポリッシングを行うことになり、その結果として塗装が薄くなっていくというサイクルに陥りやすいのです。
一方、白やシルバーなどの明るい色は、太陽光を反射しやすく、表面温度の上昇が抑えられるため、塗装の劣化が比較的遅いと言われています。また、傷や汚れも目立ちにくいため、過度な洗車やポリッシングを行う必要がなく、結果として塗装の寿命が長くなる傾向があります。
実際、ある車のオーナーは「黒のNBOXは嫌がる人も多い塗装の一つ」と述べており、特に新車時は非常に繊細で扱いが難しいとのことです。一方で、「白やシルバーは紫外線に強く塗装が長持ちする」という意見もあり、色選びも塗装の耐久性に影響することがわかります。
ホンダ車の塗装の弱さは、経年変化によっても顕著になります。新車時はそれほど問題を感じなくても、時間の経過とともに塗装の劣化が進行し、弱さが目立ってくることがあります。
一般的に、車の塗装は5年から10年程度で劣化が始まると言われていますが、ホンダ車の場合はその期間がやや短くなる傾向があります。特に、直射日光を多く受ける環境や、塩害地域、酸性雨の多い地域では、塗装の劣化が早まることがあります。
興味深いのは、新車時は確かに塗装が弱いと感じられるものの、時間が経つにつれて塗装が「定着」し、強度が増すという意見もあることです。あるユーザーは「色の強さで言うとはじめは黒が弱いけど、新車から時間がたてば定着して変わらない」と述べています。
また、洗車の頻度も塗装の寿命に大きく影響します。あるユーザーは「年に1度洗車をするかしないかだけど、16年落ちの車を洗車してディーラーに下取りに持って行ったら『新古車ですか?』と言われるくらい塗装のダメージはなかった」と述べており、洗車の回数を減らすことで塗装の寿命を延ばせる可能性があることを示唆しています。
ホンダ車の塗装が弱いと言われる一方で、国産車メーカー間での比較では、実はホンダの塗装は決して最下位ではないという意見もあります。
ある専門家によると「国産の中ではホンダは塗装が2番目に強い」とのことで、特に下回りの塗装は国産車の中で最も良いとされています。これは、ホンダが車の耐久性や信頼性を重視するメーカーであることを考えると、納得できる部分もあります。
各メーカーの塗装の特徴を比較すると、マツダは工場火災後に塗装設備を最新のものに入れ替えてから塗装の品質が格段に向上したという事例があります。一方、トヨタやニッサンの塗装も一長一短があり、完璧な塗装を持つメーカーは存在しないというのが実情です。
塗装の品質は、使用する塗料だけでなく、塗装設備や工程、何層塗り重ねるかなど、様々な要因によって左右されます。つまり、どれだけコストと時間をかけるかによって大きく異なるのです。ホンダの場合、環境負荷の軽減や軽量化を重視する方針が、塗装の耐久性にやや影響を与えている可能性があります。
ホンダ車の塗装が弱いと言われる中、オーナーとしてはどのような対策を取れば良いのでしょうか。ここでは、塗装の劣化を防ぎ、長く美しい状態を保つための方法をご紹介します。
まず、最も効果的な対策の一つが「コーティング」です。新車購入時に専門店でのガラスコーティングやセラミックコーティングを施工することで、塗装面を保護し、紫外線や酸性雨などの外的要因からボディを守ることができます。特にホンダ車の場合、クリアコートが薄い傾向があるため、追加の保護層を設けることは非常に有効です。
次に、「洗車の方法と頻度」も重要です。強い洗剤や硬いブラシを使用した洗車は塗装を傷つける原因となります。中性洗剤と柔らかいクロスを使用し、優しく洗車することが大切です。また、先述のように洗車の頻度を必要最小限に抑えることも、塗装の寿命を延ばす一つの方法です。
「駐車環境の改善」も効果的です。可能であれば、屋内駐車場や屋根付きの駐車スペースを利用し、直射日光や雨風から車を守りましょう。屋外駐車しかできない場合は、ボディカバーの使用も検討してみてください。
また、「定期的なメンテナンス」も忘れてはいけません。半年に一度程度、専門店でのポリッシングやコーティングのメンテナンスを行うことで、塗装の状態を良好に保つことができます。ただし、過度なポリッシングは塗装を薄くする原因となるため、適切な頻度で行うことが重要です。
最後に、「色選び」も一つの対策です。新車購入時には、白やシルバーなどの明るい色を選ぶことで、塗装の劣化を遅らせることができます。特に長期間乗り続ける予定がある場合は、色選びも重要な要素となります。
残念ながら、すでに塗装の剥がれや劣化が進行してしまった場合は、再塗装を検討する必要があります。ホンダ車の再塗装に関する事例や費用について見ていきましょう。
軽度の塗装剥がれであれば、タッチペンでの応急処置が可能です。ディーラーやカー用品店で車種・色に合ったタッチペンを購入し、自分で補修することができます。ただし、タッチペンでの補修は完全に元通りにはならず、あくまで応急処置であることを理解しておく必要があります。
広範囲の塗装剥がれや深刻な劣化の場合は、部分的な再塗装が必要になります。ルーフの塗装は4万円から8万円、ボンネットの塗装は2万円から5万円程度が相場とされています。ただし、これはあくまで目安であり、車種や塗装の状態、施工店によって大きく異なります。
再塗装を依頼する場所としては、ディーラー、専門の板金塗装店、カー用品店などがあります。ディーラーでの塗装は費用が高い傾向がありますが、保証が付くというメリットがあります。一方、専門の板金塗装店は技術力が高く、比較的リーズナブルな価格で施工してくれることが多いです。オートバックスなどのカー用品店は小規模な補修が得意で、手軽に依頼できるというメリットがあります。
近年では、塗装の代わりにカーラッピングを選択するオーナーも増えています。カーラッピングは塗装よりも費用が安い傾向があり、好みに応じて色や柄を自由に選べるというメリットがあります。また、元の塗装を保護する効果もあるため、将来的に元の状態に戻すことも可能です。
実際の再塗装事例としては、あるNBOXオーナーが洗車後のウォータースポットが取れず、塗装面のクリヤー層までシミに侵されてしまったため、再塗装を行ったというケースがあります。また、新車購入後すぐに塗装の問題が発覚し、メーカー側が再塗装の事実を認めて代替車を提供したという事例もあります。
ホンダ車の塗装が弱いという評判を踏まえ、新車購入を検討している方へのアドバイスをまとめます。
まず、「ボディカラーの選択」は非常に重要です。先述のように、黒や赤などの濃色は塗装の弱さが目立ちやすく、メンテナンスも大変です。長期間乗り続ける予定がある場合は、白やシルバーなどの明るい色を選ぶことをおすすめします。実際、あるユーザーは「どこかでホンダの黒は最低だ、って発言を多々見て考えて不人気のブラックアメジストパール(ムラサキ)にしました」と述べており、色選びの重要性を示しています。
次に、「納車時の確認」も欠かせません。新車であっても、工場やPDIセンター(納車前整備センター)で何らかの問題が発生し、再塗装されているケースがあります。納車時には、ボディ全体をしっかりと確認し、塗装ムラや異常がないかチェックすることが大切です。
また、「納車直後のコーティング」も検討すべきです。新車の塗装が最も綺麗な状態のうちに、専門店でのガラスコーティングやセラミックコーティングを施工することで、塗装を長期間保護することができます。特にホンダ車の場合、クリアコートが薄い傾向があるため、追加の保護層を設けることは非常に有効です。
さらに、「保証やメンテナンスパッケージ」の確認も重要です。ディーラーによっては、塗装の保証やメンテナンスパッケージを提供している場合があります。これらのオプションを活用することで、将来的な塗装トラブルに備えることができます。
最後に、「適切な洗車方法の習得」も大切です。新車購入と同時に、適切な洗車方法を学び、実践することで、塗装の劣化を最小限に抑えることができます。強い洗剤や硬いブラシの使用を避け、中性洗剤と柔らかいクロスを使用した優しい洗車を心がけましょう。
以上のポイントを押さえることで、ホンダ車の塗装の弱さによるトラブルを最小限に抑え、長く美しい状態を保つことができるでしょう。