

漏電ブレーカーが落ちても、火災が起きている最中のケースがあります。
家の分電盤には、3種類のブレーカーが設置されています。それぞれ役割と「落ちる条件」がまったく異なるため、どれが落ちたかを確認することが原因特定の第一歩です。
まずアンペアブレーカーは、家全体で使える電気の総量を管理しています。電力会社との契約アンペア数(例:30A、40A、60Aなど)を超えた電流が流れると、建物全体の電気が止まります。引っ越し後に家電が増えたのに契約アンペアを変えていない家庭で、特によく起きるパターンです。
次に安全ブレーカー(小ブレーカー)は、部屋や回路ごとの電気を管理しています。「キッチンだけ落ちる」「リビングだけ暗くなる」という現象はこれが原因です。同じ回路で20Aを超える電流が流れた場合、または電化製品がショートした場合に自動で遮断します。
そして漏電ブレーカーは、電気が本来の配線から漏れ出した「漏電」を検知して、家全体を停電させます。感電事故や火災を防ぐための最後の砦とも言えます。
つまり3種類あるということです。落ちた後にどのブレーカーが動作したかを確認するだけで、原因の絞り込みが一気に進みます。
以下の表にまとめると、より分かりやすいです。
| ブレーカーの種類 | 落ちる主な原因 | 影響範囲 |
|---|---|---|
| アンペアブレーカー | 契約アンペア数超過 | 家全体 |
| 安全ブレーカー | 回路ごとの過電流・ショート | 特定の部屋・回路 |
| 漏電ブレーカー | 漏電の検知 | 家全体 |
関西電力|ブレーカーが落ちる3つの原因・復旧方法・対策(各ブレーカーの仕組みを詳しく解説)
電気自動車(EV・PHEV)を購入してから「なぜか家の電気がよく落ちるようになった」という相談が急増しています。意外ですね。しかし、原因を知れば防ぐのはそれほど難しくありません。
EV充電は消費電力がとにかく大きい点が特徴です。一般的な家庭用200V充電器(3kW出力)は、常時15Aの電流を流し続けます。これは、ドライヤーを1時間以上かけっぱなしにしているのと同じ電気量です。ここに夕食後の電子レンジ(15A)、エアコン(8A前後)、洗濯機(5A程度)が重なると、40A契約の家庭なら一瞬で上限を超えます。
特に見落とされがちなのが「専用回路でないコンセントからの充電」です。普通の壁コンセントに充電ケーブルを差してEVに充電すると、そのコンセントが含まれる回路に長時間・大電流が流れ続けます。これは安全ブレーカーが落ちる原因になるだけでなく、配線が過熱して火災リスクにつながることもあります。
また、EV充電設備の設置で契約アンペアを40Aから60Aに増やした場合、東京電力エリアの「従量電灯B」では月額基本料金が約623円上がります。年間では約7,482円の増加です。ただし、充電時間を深夜(電力需要が少ない時間帯)にずらすだけでブレーカーが落ちにくくなる場合も多く、まずはタイミングの工夫から試してみる価値があります。
対策の優先順位が条件です。①充電時間を深夜にずらす → ②不要な家電をオフにしながら充電する → ③それでも落ちるなら契約アンペアの見直し、という順番で試しましょう。
EVee|EV充電中にブレーカーが落ちる原因・契約アンペアの目安・電力プランの見直し方を解説
「漏電ブレーカーが落ちた」という経験は、多くの人にとって「なんか怖い」「でもとりあえず上げておこう」で終わってしまいがちです。しかし、この判断は危険な可能性があります。
漏電とは、電気が本来通るべき配線の外に流れ出す現象です。人体を電流が通過した場合、30mAを超えると危険とされており、100mAを超えると重篤な被害が生じるとされています。数ミリアンペアでも感電した瞬間は強い痛みと筋肉の硬直が起き、体が離れられなくなることがあります。
EV充電との関係でいうと、充電ケーブルや充電器本体の劣化・破損が漏電の原因になることがあります。充電ケーブルが雨に濡れた状態で使用していたり、保管時に傷がついていたりすると、そこから漏電が発生します。漏電ブレーカーが作動した場合、「たまたま落ちた」で済ませず、充電ケーブルや充電器本体の異常を必ず確認してください。
漏電ブレーカーが落ちた後の正しい復旧手順は次の通りです。まずすべての安全ブレーカーを「切」にします。次に漏電ブレーカーを「入」にしてから、安全ブレーカーを1つずつ順番に「入」にしていきます。その途中でまた漏電ブレーカーが落ちたら、直前に「入」にした回路が漏電箇所です。その回路の安全ブレーカーだけを「切」のまま、他は通電して生活しながら、電気工事業者に連絡しましょう。
自分で修理しようとするのはNGです。漏電箇所の修理は電気工事士の資格が必要で、無資格での対処は電気工事士法違反になるだけでなく、重大な事故につながります。
東京電力パワーグリッド|漏電ブレーカーが落ちた時の知識・確認手順・危険なサイン(公式)
ここが、多くの人が知らない盲点です。ブレーカーが落ちていなくても、火災が進行しているケースがあります。
それが「トラッキング火災」です。コンセントに差したままのプラグの根元にホコリが積もり、そこに湿気が加わると、プラグの2つの刃の「間」で微弱な放電が繰り返されます。この放電で発生する電流量は非常に少なく、ブレーカーが感知する閾値を下回るため、初期段階では一切反応しません。
放電は静かにプラグの樹脂を炭化させ続け、やがてある日突然、炎を上げます。総務省消防庁の調査によれば、令和5年の全国火災38,672件のうち、電気機器が原因のものが2,205件(約5.7%)あります。その一部がこのトラッキング火災です。
😱 ブレーカーが落ちた時には、すでに発火寸前かもしれません。
EVオーナーにとって特に注意したいのは、EV充電器の電源タップや延長コードの使用です。充電器は長時間・大電流を流すため、タコ足配線との組み合わせはプラグへの負荷が極めて高くなります。EV充電には専用回路と専用コンセントを設けることが強く推奨されます。
今すぐ確認できる予防チェックリストを以下に示します。
- ✅ 冷蔵庫や洗濯機の裏のコンセントにホコリはないか
- ✅ 10年以上使っている電源タップや延長コードはないか
- ✅ EV充電器を延長コードやタコ足経由で使っていないか
- ✅ 充電ケーブルに傷や変色はないか
- ✅ 分電盤(ブレーカーボックス)が設置から15年以上経過していないか
ピカくま|トラッキング火災の仕組み・ブレーカーが落ちない理由・予防策7選を電気工事士が解説
「契約アンペアを上げれば解決する」と思いがちですが、それだけでは不十分なケースがあります。これが条件です。
分電盤のブレーカーには「家全体の制限(アンペアブレーカー)」と「場所ごとの制限(安全ブレーカー)」の2層構造があります。仮に契約を40Aから60Aに引き上げても、キッチン回路が20Aの安全ブレーカーで管理されていれば、その回路での過負荷は解消されません。どのブレーカーが落ちているのかを見極めてから、適切な対策を選ぶことが重要です。
4人家族でEVを自宅充電する場合の目安は下記の通りです。
| 用途 | 推奨アンペア |
|---|---|
| 4人家族のみ(EV充電なし) | 40〜50A |
| 4人家族+EV普通充電(200V/3kW) | 60A以上 |
| オール電化+EV充電 | 75〜80A以上 |
※目安値であり、生活スタイルや家電の種類によって異なります。
また、EVオーナーにとって「電力プランの変更」は見落とされがちな有効な手段です。大手電力会社の夜間割引プランや、EV向けの専用プランに切り替えることで、深夜充電の単価を大きく下げることができます。契約アンペアを上げても、夜間プランに変更すれば基本料金増加分を電気代の節約で相殺できる場合があります。ブレーカー対策と料金対策を一緒に考えるのが賢い選択です。
さらに、最近の分電盤には「負荷制御機能付きスマート分電盤」と呼ばれる製品があります。これは、EV充電中に他の家電の消費電力が増えると、自動で充電出力を下げてブレーカーが落ちないよう調整してくれる機器です。工事費用は必要ですが、ブレーカーが落ちるストレスを根本から解消したい場合に有効な投資になります。
セーフリー|EV充電でブレーカーが落ちる原因4つ・対処法・必要な電気工事の内容を詳しく解説
あんしん電気|EV充電に伴う契約アンペア見直し・必要アンペアの計算方法を電気工事士が解説

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