
ボンネットが閉まらない最も一般的な原因は、ボンネットステーの収納不良です。ボンネットステーとは、ボンネットを開けた状態で支えるための棒状の部品で、日本車では一般的に使用されています。このステーが正しく元の位置に戻されていないと、ボンネットが完全に閉じることができません。
ステーの収納確認方法は以下の通りです。
特に注意すべき点として、ステーを無理に曲げたり、強い力で押し込んだりしないことが重要です。ステーが変形すると、今後の開閉にも支障をきたす可能性があります。
高級車や輸入車の場合は、棒状のステーではなく、ガス入りのダンパーでボンネットを支える構造になっていることがあります。この場合は、ダンパーが正しく動作しているか確認しましょう。
ボンネットが閉まらない二つ目の主要な原因は、フックやラッチといったロック機構の劣化です。これらの部品は、ボンネットを確実に固定するための重要な役割を担っています。
フックとラッチの劣化による問題の特徴は以下の通りです。
これらの症状が見られる場合、フックやラッチが以下のような状態になっている可能性があります。
対処法としては、まず車用の防錆潤滑剤をフックやラッチ部分に適量噴霧し、数回開閉操作を行うことで改善する場合があります。潤滑剤を使用する際は、エンジンやベルト類に付着しないよう注意が必要です。
潤滑剤を使用しても改善しない場合は、フックやラッチの位置調整が必要になります。これには専門知識が必要なため、無理に調整せず、整備工場やディーラーに相談することをおすすめします。
ボンネットが閉まらない三つ目の原因として、エンジンルーム内に異物が挟まっている可能性があります。エンジンルームの点検や部品交換を行った後に、工具や交換した古い部品、ウエスなどが落ちていることがあります。
エンジンルーム内の異物確認手順は以下の通りです。
異物を発見した場合は、安全に取り除いてからボンネットを閉めてください。特にエンジンが熱い状態での作業は火傷の危険があるため、エンジンが十分に冷えてから行いましょう。
また、エンジンルーム内のパーツが正しい位置から浮き上がっていないかも確認することが重要です。例えば、エアクリーナーボックスの蓋が正しく閉まっていない、バッテリーカバーが浮いているなどの状態でも、ボンネットが完全に閉まらないことがあります。
ボンネットが閉まらない場合でも、正しい閉め方を知っていれば解決できることがあります。ボンネットの正しい閉め方と注意点について解説します。
【ボンネットの正しい閉め方】
【閉める際の注意点】
特に輸入車では、ボンネットの閉め方が日本車と異なる場合があります。例えば、ボルボの一部モデルでは、ボンネットのサイド部分は押さず、グリルプレート上のボンネット前部のみを押し下げるよう指定されています。車種によって推奨される閉め方が異なるため、取扱説明書を確認することをおすすめします。
ボンネットの開閉トラブルを自分で解決できない場合は、専門家に修理を依頼する必要があります。ここでは、修理費用の目安と、専門家に相談すべきタイミングについて解説します。
【修理費用の目安】
修理内容によって費用は大きく異なります。
修理内容 | 修理工場 | カー用品店 | ディーラー |
---|---|---|---|
ラッチ・フック調整 | 無料〜1,000円 | 1,000円〜3,000円 | 2,000円〜5,000円 |
ロック部品交換 | 8,000円〜15,000円 | 10,000円〜20,000円 | 15,000円〜25,000円 |
ボンネットダンパー交換 | 15,000円〜25,000円 | 18,000円〜28,000円 | 20,000円〜30,000円 |
ワイヤー交換 | 8,000円〜12,000円 | 10,000円〜15,000円 | 12,000円〜20,000円 |
※金額は目安であり、車種や年式によって異なります。
ボンネットの開閉トラブルは、放置すると走行中にボンネットが開いてしまうなどの重大な事故につながる可能性があります。そのため、以下のような症状が見られたら、早めに専門家に相談することをおすすめします。
特に輸入車やガスダンパー式のボンネットを持つ高級車の場合は、部品が特殊なため、自己判断での修理は避け、専門家に相談することをおすすめします。
ボンネットダンパーの場合、経年劣化でガスが抜けると、開いた状態を保持できなくなります。この場合、ダンパーの交換が必要になり、左右両方を交換するため、工賃込みで2万円〜2万5千円程度の費用がかかります。
ボンネットの開閉トラブルを未然に防ぐためには、定期的なメンテナンスが重要です。ここでは、ボンネットのトラブルを予防するための方法と日常的なメンテナンス方法について解説します。
【予防策】
ボンネットのヒンジ部分、ラッチ、フックなどの可動部には、3〜6ヶ月に一度、シリコンスプレーなどの潤滑剤を塗布しましょう。これにより、サビや固着を防ぎ、スムーズな動作を維持できます。
ボンネットのパッキン(ゴム部分)は、紫外線や熱によって劣化します。シリコンスプレーやゴム保護剤を定期的に塗布することで、パッキンの寿命を延ばし、水漏れや風切り音を防止できます。
運転席側にあるボンネットオープナーの動作を定期的に確認しましょう。引いた時の抵抗感が弱くなっていたり、引いても反応しない場合は、ワイヤーの劣化が考えられます。早めの点検・修理が必要です。
洗車の際には、ボンネットの開閉部分も丁寧に洗い、汚れを落としましょう。特に冬場は、融雪剤や塩分がラッチ部分に付着し、サビの原因となります。
【日常的なメンテナンス方法】
特に長期間車を使用していない場合や、ボンネットをほとんど開けない方は、パッキンが固着してボンネットが開かなくなることがあります。定期的な開閉操作を行うことで、このようなトラブルを防ぐことができます。
また、車を購入したら、取扱説明書でボンネットの正しい開け方・閉め方を確認しておくことも重要です。車種によって開閉方法が異なる場合があるため、正しい方法を知っておくことでトラブルを未然に防ぐことができます。
以上のメンテナンスを定期的に行うことで、ボンネットの開閉トラブルを予防し、車を長く快適に使用することができます。日常的なちょっとした心がけが、将来的な修理費用の節約につながります。