
アクセルを踏んだ時に「ガクン」と感じる不快な振動、これはCVT(無段変速機)搭載車によく見られる「ジャダー現象」である可能性が高いです。特にホンダのフィットなどのコンパクトカーでよく報告されています。
ジャダー現象とは、発進時や低速での加速時にCVTのクラッチがスムーズに接続されず、車体が激しく振動する現象です。この症状が発生する主な原因は以下の通りです。
特に注意すべきなのは、この症状を放置するとCVT本体の故障につながる可能性が高いことです。CVTは精密機器であり、一度内部が損傷すると修理ではなく交換が必要になることが多く、その費用は30万円以上になることもあります。
CVTのジャダー現象を改善するためには、まずはCVTオイルの交換から始めるのが一般的です。CVTオイルは一般的に4〜5万km、または2〜3年ごとの交換が推奨されていますが、メーカーによって推奨交換時期は異なります。
アクセルを踏んだ際に感じる「ガクン」という振動の原因として、見落としがちなのがエンジンマウントの劣化です。エンジンマウントは、エンジンを車体に固定し、エンジンの振動を吸収する重要な部品です。
エンジンマウントが劣化すると、以下のような症状が現れます。
エンジンマウントの劣化は、長年の使用による経年劣化が主な原因ですが、急発進や急加速を繰り返すことで劣化が加速します。特に10年以上経過した車両や走行距離が10万kmを超える車両では、点検を検討すべきでしょう。
実際の事例として、ホンダ モビリオのオーナーが「アクセルを踏み込んだときにタイヤから変な振動が出る」という症状でディーラーを訪れたところ、エンジンマウントが複数箇所で破損していることが判明したケースがあります。この場合、3箇所のエンジンマウントを交換することで問題が解決しました。
エンジンマウントの交換費用は、車種や交換する箇所数によって異なりますが、一般的に1箇所あたり1〜3万円程度、工賃を含めると複数箇所の場合は10万円前後かかることもあります。
アクセルを踏んだ際に「ガクン」とする症状の原因として、エンジンの点火系統の不具合も重要な要因です。特にイグニッションコイルやスパークプラグの劣化は、エンジンの出力不安定を引き起こし、加速時の振動につながります。
イグニッションコイルの劣化による症状。
スパークプラグの劣化による症状。
これらの部品は消耗品であり、定期的な交換が必要です。スパークプラグは一般的に2〜4万km、イグニッションコイルは5〜10万kmを目安に点検・交換を検討すべきです。特に走行距離が10万kmを超える車両では、これらの部品の劣化が進んでいる可能性が高いです。
点火系統の不具合は、エンジンの燃焼効率に直接影響するため、放置すると燃費悪化や排気ガスの悪化、最悪の場合はエンジン内部の損傷にもつながります。症状が出始めたら早めの点検・整備をおすすめします。
点火系統の交換費用は、スパークプラグが1本あたり1,000〜3,000円程度、イグニッションコイルが1本あたり5,000〜20,000円程度です。工賃を含めても、CVTの修理に比べれば比較的安価に済むため、早期発見・早期対応が経済的にも有利です。
アクセルを踏んだ際の「ガクン」という症状は、燃料系統のトラブルが原因となっていることもあります。燃料の供給が不安定になると、エンジンの出力にムラが生じ、加速時の振動として感じられます。
燃料系統のトラブルによる主な症状。
燃料系統のトラブルとして考えられる主な原因は以下の通りです。
これらの問題を診断するには、燃料圧力テストや燃料ポンプの電流値測定、インジェクターの噴射パターン確認などの専門的な診断が必要になります。一般的なカーオーナーが自己診断するのは難しいため、症状が出た場合は専門の整備工場での点検をおすすめします。
燃料系統のメンテナンスとして、定期的な燃料フィルターの交換(2〜4万km毎)や、良質なガソリンの使用、燃料添加剤によるクリーニングなどが効果的です。特に長期間同じガソリンスタンドを利用している場合は、たまに別のスタンドで給油することで、燃料の品質による影響を確認できることもあります。
アクセルを踏んだ際の「ガクン」という不快な振動を予防するためには、適切なメンテナンスだけでなく、日常の運転方法も重要です。特にCVT車は、その構造上、運転の仕方によって寿命や性能に大きな差が出ます。
CVT車の適切な運転テクニック。
これらの運転テクニックを日常的に実践することで、CVTの寿命を延ばし、「ガクン」という症状の発生を予防できます。また、燃費向上にもつながるため、経済的なメリットもあります。
特に注目すべきは「アリさんブレーキ」のテクニックです。これは駐車場などの狭い場所での移動や渋滞時に有効で、アクセルを踏まずにブレーキペダルの微妙な調整だけで車をコントロールする方法です。このテクニックをマスターすることで、ブレーキ操作が繊細になり、停止時のカックンブレーキも防げるようになります。
JAF公式サイト - 安全運転テクニック
定期的なメンテナンスと適切な運転習慣を組み合わせることで、車の寿命を延ばし、快適なドライビングを長く楽しむことができます。特にCVT車は繊細な機構を持っているため、丁寧な取り扱いが重要です。