

スマートICを通過すると、その場で領収書を受け取ることは一切できません。
高速道路の利用率は2023年1月時点で実に94.4%に達しており、ETCはすでに標準的な支払い手段として定着しています。そのなかでも、スマートIC(スマートインターチェンジ)の数は全国的に増加し続けており、SA・PAに隣接する形で設置された出入口を使って高速に乗り降りするケースが年々増えています。
しかし、スマートICには大きな特徴があります。完全無人のETC専用出口であるという点です。
通常のインターチェンジには係員が常駐するブースや料金精算機があり、ETC/一般レーンを選んでETCカードを手渡しすれば、その場で利用証明書(領収書の代わりになる書類)を発行してもらえます。ところが、スマートICにはそうした設備が一切ありません。ゲートバーが自動で上がり、減速しながら通過するだけです。
そもそも、なぜETCレーン全般で「その場での領収書発行」ができないのでしょうか?
理由はETCの決済構造にあります。ETCカードの多くはクレジットカードに付帯しており、「信用取引」として通行料を後払いする仕組みです。レーンを通過した時点では料金の支払いは完了しておらず、カード会社が一時的に立て替えた後、月次の引き落としで精算されます。領収書とは「金銭の受け取りを証明する書類」ですから、支払いが完了していない段階では発行できないのです。つまり発行できないのが原則です。
スマートICではこの構造に加え、無人設備という物理的な制約も重なります。NEXCO各社のFAQでも「スマートICを通過した場合、利用証明書は発行できません」と明記されており、現地での書類取得は完全に不可能です。
この仕組みを知らずに「会社の経費精算に領収書が必要なのに手元に何もない」という状況に陥る方は少なくありません。事前に正しい対処法を知っておくことが、後の手間を大きく減らします。
スマートICを利用した際の領収書の代わりとして、最も確実で広く使われているのが「ETC利用照会サービス」です。これは便利なサービスです。
NEXCO東日本・中日本・西日本・首都高速道路・阪神高速道路・本州四国連絡高速道路の6社が共同で運営する公式ウェブサービスで、登録料・年会費ともに無料です。登録することで、過去15か月分の走行明細を確認でき、利用証明書(インボイス対応版)をPDFやCSV形式でダウンロード・印刷できます。
登録に必要な情報は以下の5点です。
登録条件で見落とされがちなのが「過去15か月以内のETC無線走行実績が必要」という点です。ETCカードを新規発行したばかりで一度も高速を走っていない場合、まだ登録できません。まず一度利用してから登録に進む必要があります。
また、レンタカーでETCカードを使った場合は少し手順が増えます。レンタカーに搭載された車載器の「車載器管理番号」を登録しないと明細が確認できないため、借受中にダッシュボード付近の車載器に貼られた番号を控えておくか、レンタカー会社に問い合わせて番号を確認する必要があります。これは意外と盲点ですね。
ETC利用照会サービス(公式):無料で利用証明書・利用明細を発行・確認できる
登録完了後はログインして「利用証明書」を検索・表示し、PDFとしてダウンロードするだけです。手元にプリンターがない場合は、セブンイレブン(ネットプリント)、ファミリーマート・ローソン(ネットワークプリントサービス)など主要コンビニのプリントサービスを使えばスマートフォンやPCからファイルを送信して印刷できます。コンビニで完結するのは使えそうです。
2023年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)がスタートし、ETC利用時の経費処理にも大きな影響が出ています。ここが最も見落とされやすいポイントです。
ETC利用照会サービスで発行できる利用証明書には「確定前」と「確定後」の2種類があります。
料金確定までの目安はETC利用照会サービスのFAQ(Q&A 5-13)に記載されていますが、月の日数やシステムの稼働状況によって前後することがあります。一般的には走行翌月中旬以降に確定するケースが多いとされています。料金確定後が条件です。
インボイス制度に対応した利用証明書を発行できるのは「ETCクレジットカード(ETCコーポレートカードおよびETCパーソナルカードを除く)」のみという点も知っておく必要があります。ETCパーソナルカードの場合は、毎月届く「ご利用料金のお知らせ」が適格請求書の代わりとなります。ETCコーポレートカードはNEXCO各社の専用窓口での対応になります。
ETC利用照会サービス Q&A インボイス対応:確定前・確定後の違いや発行方法の詳細(公式)
クレジットカード会社が発行する利用明細は「領収書の代わり」にはなりますが、インボイスとしては認められません。消費税の仕入税額控除を受けるためには、ETC利用照会サービスの「確定後の利用証明書」が必須です。これを混同して申告してしまうと、仕入税額控除が否認されるリスクがあります。
ETC利用照会サービスに登録してデータを確認できるのは、走行日から過去15か月間に限られています。これは非常に重要な制限です。
たとえば、毎年3月に確定申告をする個人事業主が「昨年の1月分の利用証明書を年明けにまとめて取り直そう」と考えた場合、15か月の上限に引っかかり、データが消えている可能性があります。実際に「確定申告の直前に慌ててやろうとしたら去年の分が取得できなかった」というケースが報告されています。痛いですね。
さらに、ETC利用証明書は電子出力される書類であるため、電子帳簿保存法への対応も必要になります。基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は「検索性の要件」が免除されていますが、税務調査の際に電子データの提示を求められる可能性があります。紙に印刷しただけでは不十分で、データ状態でも保存しておくことが推奨されています。
対策としては以下の3点が基本です。
定期的なダウンロードが習慣化できていない場合、会計ソフトや経費精算システムとの連携を検討するのも一つの方法です。たとえば「freee会計」や「マネーフォワード クラウド会計」などは、クレジットカードの明細データを自動取込できる機能を持っており、ETC利用分を含む経費の一元管理がしやすくなります。毎月の作業を一度の設定で自動化する、という発想で取り組むと効率的です。
近税姫路:ETCとインボイス・電子帳簿保存法の対応解説(税理士監修)
「ウェブ登録が面倒」「スマートフォンの操作が苦手」という方には、別の方法もあります。
一つ目は、高速道路のSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)に設置されている「ETC利用履歴発行プリンター」を使う方法です。ETCカードをプリンターに差し込み、案内に従って操作するだけで利用明細書を無料で印刷できます。NEXCO中日本などが主要SAに設置しており、高速を降りる前にSAに立ち寄れるルートであれば活用しやすいです。これは使えそうです。
ただし、このプリンターで発行される明細書はインボイス要件を満たしていません。消費税の仕入税額控除には使えないため、「経費として申請できれば十分・仕入税額控除は不要」という個人利用の方向けの方法といえます。仕入税額控除が目的なら、ETC利用照会サービスの確定後の証明書が必須です。
NEXCO中日本 FAQ:ETC利用履歴発行プリンターの設置場所や使い方について(公式)
二つ目は、ETC利用照会サービスで作成したPDFをコンビニで印刷する方法です。
いずれもスマートフォンのアプリからPDFを登録し、店舗のマルチコピー機で印刷するだけです。自宅にプリンターがない場合でも、近くのコンビニがあれば問題なく対応できます。印刷費用は数十円程度で、手続きも5〜10分ほどで完了します。スマートに解決できるということですね。
なお、コンビニプリントを使う場合も「ETC利用照会サービスへの登録」は前提として必要です。登録を済ませていない方は、まず公式サイトで無料登録を完了させてから印刷作業に進む順序が大切です。

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