

EVを買えば即エコ、と思っているなら製造段階のCO₂はガソリン車の約2倍という事実を知らずに損しています。
「電気自動車=エコ」というイメージは、走行中だけを見た話です。
環境省の試算によると、車両製造段階におけるCO₂排出量は、ガソリン車と比べてEVの方が圧倒的に多く、合計で約2倍に達します。 これはEVに搭載されるリチウムイオンバッテリーの製造工程に、莫大なエネルギーが必要なためです。 バッテリー製造だけで、EVのライフサイクル全体のCO₂排出量のうち3割以上を占めるとされています。 hello-green(https://hello-green.jp/column/ev-co2/)
つまり、乗り始める前の段階ではガソリン車より環境負荷が高いということです。
では、走行距離を積み重ねればいつかは逆転するのでしょうか。
LCA(ライフサイクルアセスメント)の考え方で試算すると、日本のEVはガソリン車に対して走行距離が一定以上になって初めて、トータルのCO₂排出量でガソリン車を下回ります。 4万km以下・3年以内で廃車にした場合、むしろEVの方が環境に悪いという見方もあります。 これは購入前に知っておくべき重要な情報です。 kotsutorisetsu(https://kotsutorisetsu.com/20210615-1/)
長く乗り続けることが条件です。
| 比較項目 | ガソリン車 | 電気自動車(EV) |
|---|---|---|
| 製造時CO₂ | 少ない | 約2倍(バッテリー製造が主因) |
| 走行時CO₂ | 排出あり | 直接排出ゼロ |
| 発電由来CO₂ | なし | 発電方法次第で間接排出あり |
| 廃棄時リスク | 比較的低い | バッテリー処理が複雑・高コスト |
「走行中にCO₂ゼロ」は事実ですが、それは電気がどこから来るかを無視した話です。
日本の電力構成は、2024年時点でも火力発電(石炭・天然ガス)が5割以上を占めています。 EVを充電するたびに、その電気を作る過程で間接的なCO₂が発生する仕組みです。これを「Well to Wheel」(油田・発電所から車輪まで)の視点で見ると、火力発電主体の地域では、EVの環境優位性が大幅に縮小します。 taiyoko-kakaku(https://www.taiyoko-kakaku.jp/archives/1095362.html)
間接排出まで含めた計算が必要です。
発電源の見直しが次の一手です。
EVのバッテリーは「捨てるだけ」では済みません。厄介です。
リチウムイオンバッテリーにはリチウム・ニッケル・コバルト・マンガンなどの希少金属が含まれており、これらの採掘段階で水質汚染や土地破壊などの環境問題が発生します。 使用済みバッテリーを適切に処理しない場合、土壌・水質汚染リスクが現実になります。 廃棄物として埋め立てることは、ほぼすべての先進国で禁止または規制されており、専門施設での処理が義務付けられています。 eco-r(https://eco-r.jp/sdgs_blog/20240909)
リサイクルが前提です。
日本の自動車全体のリサイクル率は95%以上と高水準ですが、EV特有のバッテリーリサイクルの具体的データはまだ限られており、ガソリン車と同じ枠組みで処理されているケースが多い状況です。 さらに、使用済みEVバッテリーには残留高電圧や熱不安定性などの危険性があり、輸送・処理には特別な許可が必要なこともあります。 リサイクルコストが高いため、経済的な課題も残っています。 midtronics(https://www.midtronics.com/ja/blog/how-to-enhance-safety-ev-battery-service-recycling/)
EVを購入する際は、廃棄・リサイクルのコストと手間も含めてトータルで考えることが大切です。
グリーンピース・ジャパン:EVバッテリー製造に伴う温室効果ガスと鉱物資源採掘の環境課題を詳細に解説(バッテリー素材の環境負荷についての参考)
EVが増えれば増えるほど、地球の別の場所が傷んでいます。
EVバッテリーに不可欠なコバルトは、主にコンゴ民主共和国で採掘されていますが、採掘現場では労働問題と同時に、採掘由来の土地破壊・水質汚染が深刻です。 リチウムはチリ・アルゼンチン・ボリビアの「リチウム・トライアングル」と呼ばれる乾燥地帯で採掘されており、大量の水を消費するため地域の水資源を圧迫します。 これらは日本にいる自動車ユーザーには見えにくいデメリットですが、地球規模では確実に存在する環境負荷です。 greenpeace(https://www.greenpeace.org/japan/news/drive-change-blog-3/)
鉱物採掘のリスクは見過ごせません。
一方、バッテリーのリサイクル技術が向上すれば、新規採掘の必要量を減らすことができます。 現時点では、バッテリーをリサイクルして再利用する「二次利用(セカンドライフバッテリー)」の研究・実用化が世界で進んでいます。リチウムなどの資源を再利用することで、採掘由来の環境破壊を大幅に削減できるという試算も出ています。 greenpeace(https://www.greenpeace.org/japan/news/drive-change-blog-3/)
解決策はリサイクル技術の発展にかかっています。
hello-green.jp:EVのCO₂排出量をガソリン車と比較、ライフサイクル全体の数値を解説(製造〜走行〜廃棄の総合比較として参考)
日本でEVを乗るなら、「電力の中身」を無視するとエコ計算が全部崩れます。
日本は原子力発電の再稼働が限定的で、依然として火力発電への依存度が高い状況です。 欧州の一部の国(フランスなど)は原子力・再エネ比率が高く、EVのCO₂削減効果が非常に大きいのに対し、日本では同じEVを同じ距離走らせても削減効果が相対的に小さくなります。国立環境研究所の資料によると、日本でEVを普及させた場合にCO₂排出量を約半分に削減できるとされていますが、これは電力構成の改善も前提条件に含んでいます。 nies.go(https://www.nies.go.jp/social/traffic/7-all.pdf)
発電ミックスの改善なしにEVだけ増やしても限界があるということです。
さらに、急速充電(ファストチャージ)を頻繁に使うとバッテリーの劣化が早まり、交換コストと廃棄物が増えるという側面もあります。日常の普通充電をメインにし、急速充電は遠出のときだけに限定するのが、環境面でも経済面でもベターな使い方です。EVの環境メリットを最大化するには、「何を充電に使うか」「どう充電するか」まで含めた総合的な判断が求められます。
充電方法の選択が、実質的な環境負荷を大きく左右します。
国立環境研究所:ガソリン車とEVのCO₂排出量を電力構成を踏まえて比較した資料(日本の電力事情とEVの環境効果の参考)
地域公共交通のトリセツ:LCAの観点からEVとガソリン車の環境負荷を走行距離別に比較(ライフサイクル評価の参考)